「夜、何してるの?」というよくある疑問
今回のテーマは、重度訪問介護の夜勤で実際に何をしているのか、という話です。
川﨑さんによれば、この疑問は面接や見学に来た人からよく質問に上がるといいます。だからこそ、先に答えておこうという回です。
一対一の現場で、夜に何をするのか。パッと考えてもわからないけれど、少し考えるとわかる、と川﨑さんは切り出します。
夜勤、一対一の現場で夜に何をするかっていうのは、パッと考えてもわからないんですね。でも少し考えるとわかるんです。
鍵は「寝返り」にある
答えの手がかりは、健常者が無意識にしている行動にあります。
人は寝ている間、気づかないうちに何度も寝返りを打っています。右を向いたり左を向いたり、足を伸ばしたり曲げたり、絶えず体勢を変えているのです。
もし同じ格好のまま寝続けたら、体はひどく痛くなります。川﨑さんは身近な例を挙げます。
冬こたつで寝てしまったとか、ソファーで寝落ちしてしまった人とかいると思うんですけど、そんな時って体がバッキバキになると思うんですね。
フラットでない場所で寝たり、窮屈な体勢のまま眠ってしまうと、寝たはずなのに疲れが取れていない。そんな経験は多くの人にあるはずです。
普段ぐっすり眠れて朝スッキリ目覚められるのは、ベッドできちんと寝返りを打っているからだ、と川﨑さんは説明します。
夜勤スタッフが実際にしていること
ここで、夜勤の役割がはっきりします。
当事者である障害者が体が痛くなったら寝返りを打つ。言われた通りに手や足を動かし、呼吸器を調整し、体位交換をする。夜もそうしたケアを続けているのです。
介助者も横になって休んではいます。ただし、呼ばれたらすぐ起きられる体制をとった上での休息です。
だから介助者も横で休んではいます。もちろん呼ばれたらすぐ起きるような体制をとって休んでいるっていうことになります。
「夜はやることないんじゃないですか」と言われることもあるけれど、答えはこうしたところにある、と川﨑さんは話します。
当事者が語る「熟睡できない」という現実
ここから話は、川﨑さん自身の経験へと移ります。
障害を持った人は、夜も体が痛かったり痰の吸引があったりして、一般の人と同じように熟睡したり朝まで目が覚めなかったりすることは本当にない、といいます。
記憶にある唯一の例外は、18歳ごろに一度だけ、夕方から翌日の夕方まで爆睡したことだそうです。それ以外は前も後も、ずっと起きていると語ります。
実家にいた頃は、夜になると「お母さん、寝返り打って」と親を呼んでいたそうです。「お母さん」が口癖になっていて、自立生活を始めた当初はその呼び方が抜けず、恥ずかしかったといいます。
実家にいる頃はね、親を呼んでお母さんって寝返り打ってって。これ自立生活したら当初抜けなくてめっちゃ恥ずかしかったんですよ。
夜勤にはいろいろな人が入るため、今日いたのが誰だったか思い出せずイライラして、そのまま覚醒してしまうこともあったといいます。それほど、夜に熟睡することがないのです。
夜を守ることの意味
だからこそ、と川﨑さんは夜勤の重要性を強調します。
障害者の夜の生活を守るとは、その人が寝る環境を整えることです。睡眠はとても大事であり、しっかり眠れる環境を確保することが求められます。
いつでも寝返りができる体勢が整っていれば、その人の生活のクオリティは大きく上がる。だから意義のある仕事なのだ、というのが川﨑さんの考えです。
もちろん出かける日もあり、夜勤の体系はさまざまだ、とも付け加えられています。
まとめ
重度訪問介護の夜勤は「何もしていない」のではなく、当事者が眠れる環境を守る大切な仕事です。健常者が無意識に打つ寝返りを介助し、睡眠の質を支えることが、その人の生活全体の質につながっていきます。
- 夜勤の中心は、体が痛くならないよう寝返りやケアを続けること
- 介助者はすぐ起きられる体制で横になって休んでいる
- 重度の障害者は熟睡が難しく、川﨑さん自身も熟睡経験はほとんどないという
- 睡眠環境を整えることは生活のクオリティに直結する
- 夜勤は「何もしない時間」ではなく、夜を守るポジティブな仕事である
