AIで日本が有利になる条件は、意外と限定的だった
最初に私がたどり着いた結論から書きます。
AIやロボットが人手不足を埋める技術として機能する場面なら、日本は相対的に有利になる。ただし、それだけでは決まりません。
アメリカは資本力もAI開発力も移民の吸引力も強いんです。
結局、AIに仕事を代替された人間をどう再配置できるかによって決まる、というのが今の私の考えです。
仕事はざっくり、AIで代替できる仕事と代替できない仕事に分かれます。
そして代替できない仕事の中にも、生産性がぐっと上がる仕事と、そんなに上がらない仕事がある。
AIで仕事がなくなった人が、生産性の上がる仕事にコンバートできるなら最高なんですが、できないなら、そんなに有利にはならないんじゃないかと思います。
IMFの論文を読んで気づいた、日本特有の事情
調べる中で、IMFが去年の9月に出したワーキングペーパーにたどり着きました。公式見解というより、議論を喚起するための研究論文みたいなものです。
そこに日本のことも書いてあって、読んでみたら興味深かったんです。
日本は高齢化と人手不足が生産性低下の圧力になっている。これはまあ、そうですよね。
問題は、日本の労働市場は「AIが効きやすい職種」の比率が他の先進国より低いという点でした。
論文によると、AIが効きやすく人間を補完しやすい職種は、日本が17%。
一方でドイツは33%、イギリス30%、アメリカ30%だそうです。
つまり、AIによって生産性がぐっと上がるタイプの職種が、そもそも日本には少ないんですね。
ここに私は、へえ、と思いました。
事務員を介護に、はそう簡単じゃない
論文を読んで一番きついなと思ったのが、労働の再配置の難しさです。
日本には事務員や販売職、テレマーケッターといったAIに置き換えられやすい職種の人が多いらしいんです。
一方で、介護や警備、対人サービスはAIに置き換えられにくい。人手不足の分野です。
じゃあ事務職の人を介護に回せばいいじゃん、と言っても、そんな単純じゃないんですよね。
コールセンターで働いていた人に、いきなり警備の仕事をやってくださいと言っても、全然違うわけです。
技術者や外科医みたいなAIとの補完が大きい仕事も、今までアパレルの販売をしていた人が外科医に絶対なれないよね、という話で。
スキルの移動が大きすぎて、簡単に配置転換できない。ここが他の国と比べて大変そうなんです。
だから労働を移動させる仕組み、リスキリング、制度改革がめちゃくちゃ重要になる、と論文には書いてありました。
ちなみに、私も原文を全部読んだわけじゃなくてAIを使いながら読んだので、怪しいところもあると思います。それでも、そうかもなと思ったのでシェアしました。
じゃあ日本に効く手は何なのか
では、AI時代の日本に本当に効く取り組みは何でしょうか。企業向けか、労働者向けか。
私が今思っているのは、解雇規制を緩和して人材の流動性を上げることです。
ただ、流動性を上げても労働者が不安にならない仕組みがセットじゃないと厳しい。
失業保険が半年出るから、クビになってもその間にAIを勉強しておいてね、支援金も出るよ、という状態です。
そうなれば、まあそういうもんだよね、という空気になってスキルが上がる気がするんです。
今は会社にしがみつくのが合理的になっていて、文化的にもそうなっている。だからそこかなと思いました。
もちろん、これは相当厳しいやり方です。犠牲者もめちゃくちゃ多い。
ただ、明治維新で廃藩置県や刀狩りをやったくらいのスピード感がないと、AI時代の変化には追いつけないのかもしれません。
とはいえ政治はそんなに犠牲者を作れないので、だからこそ明治維新はすごかったんだな、とあらためて思います。
まとめ
調べる前は、少子高齢化の日本はAIで有利になるかも、くらいに思っていました。でも今は、有利になる条件はあるけれど、そのために越えなきゃいけない「労働の再配置」という壁がかなり高い、というのが私の現在地です。答えが出た話ではないので、また考えが変わるかもしれません。
- AIが人手不足を埋める場面では日本は有利だが、代替された人をどう再配置できるかで結果が決まる
- IMFの論文によると、AIが効きやすい職種の比率は日本が17%と、他の先進国より低い
- 事務職から介護へ、のようにスキルの離れた配置転換は簡単ではなく、リスキリングと制度改革が鍵になる
- 日本に効くのは、流動性を上げつつ労働者が不安にならない仕組みを同時に作ることではないか






