薬学の専門性を活かすことは、患者のためになるのか
たいぞーさんは、薬剤師が薬学の専門性を活かして関わることで、患者さんの薬物治療をより良くしていけると考えて活動しています。
その専門性を活かすことは患者さんのためになるだけでなく、薬剤師が臨床をやる上での面白さややりがいにもつながる、と話されています。
ただ一方で、そういった取り組みをする中で、別の声も聞くことがあると言います。
「それは薬剤師のエゴでは」という問いかけ
たいぞーさんが受け取ったのは、専門性を活かして関わると言っても、そもそもそれを望んでいる患者さんがどれだけいるのか、という問いです。
薬学の専門性を活かして患者さんに関わるというけれど、薬剤師に薬学を使って関わってほしいと思っている患者さんって、一体どれぐらいいるんやろうか。
それって薬剤師がただただ自分の力を使いたいだけの、患者さんを置き去りにしたエゴなんじゃないか。
たいぞーさん自身も、患者さんから「専門性を活かして関わってほしい」という強い期待を感じて関わったことは、正直ほとんどないと認めています。
多くの患者さんが薬剤師に思っているのは、正しい薬を揃えて早く渡してほしい、治療の第一歩を早く踏み出させてほしいということだと考えられます。
専門性を活かすと、患者から返ってくる反応
では、専門性を活かすことは患者さんにとって意味がないのかというと、たいぞーさんはそうは思っていないと言います。実際に現場で実践すると、驚くような反応をされることが多いそうです。
薬剤師さんってそんなこともできるんですか、そんな風に患者さんのことを見てるんですね、というお声掛けをいただくことも多々あります。
つまり、専門性を活かした関わりは、最初から求められているものではないかもしれません。
しかし、患者さんが潜在的に困っている問題を解決できる存在として、薬剤師を認識してもらうきっかけになると考えられます。
患者が抱える「見えない不安」
たいぞーさんは、患者さんが治療を続けながら抱えている不安に目を向けます。血圧が下がって状態が良くなっていると体感していても、不安は残ると言います。
この薬はほんまにこのまま飲み続けてていいんだろうか、いつまで飲み続けないといけないんだろうか。そういった不安を抱えながら治療されている方は非常に多い。
血圧のように数字で見える薬なら、効果を実感しやすく、飲む価値も感じやすいとされます。一方で、疾患によっては効果が実感しにくいものもたくさんあります。
その場合、本当に意味があるのか分からないまま、医師に言われたからとりあえず続けている患者さんもいるのではないか、と話されています。
薬剤師の専門性が「判断」を届ける
たいぞーさんは、薬剤師を薬理作用や薬物動態から薬の働きを読み解ける専門家だと位置づけます。
その力を使えば、患者さん自身では見えない薬の働きを読み解き、専門家の目で患者さんの体に起きている変化を判断してあげられると考えられます。
患者さんの多くは、分からないなりにとにかく続けるしかないと思って治療しています。だからこそ、週刊誌などで「この薬は飲んではいけない」といった情報が出ると、不安に襲われて治療を中断してしまうこともあると言います。
専門性を「エゴ」から「ニーズ」へ変える
たいぞーさんは、薬剤師が患者さんの状態を踏まえて薬の影響を見立て、それを共有していくことの意味を語ります。
治療が順調か、うまくいかなくなっているか、副作用の兆候はないか。そうした変化に早期に気づき、その都度カスタマイズしながら薬物治療を届けていく関わりです。
そうした関わりは、実は求められているのに、解決できる人が誰か分からず患者さんが日々困っている、というのが実際ではないかと考えられます。
専門性を活かして関わる
最初は患者から強く求められているわけではない
驚くような反応が返る
「そんなこともできるのか」と薬剤師を認識するきっかけになる
解決できる存在だと伝える
潜在的な困りごとを解決する専門職だと伝わる
ニーズが生まれる
エゴではなく、患者に求められる関わりへと変わる
まとめ
専門性を活かすことはエゴではないか、という問いに対して、たいぞーさんは、それを解決できる力だと患者さんに伝えることでニーズに変わっていくと語りました。専門性の価値をどう届けるかが鍵になります。
- 薬剤師の専門性を活かした関わりは、最初から患者に強く求められているわけではない
- 専門性を実践すると、患者から驚くような反応が返り、認識のきっかけになる
- 患者は薬を続けてよいのかという見えない不安を抱えていることが多い
- 薬剤師は薬理作用や薬物動態から薬の働きを読み解き、変化を判断できる専門家である
- 解決できる力だと伝えることで、専門性はエゴからニーズへと変わっていく
