📝 エピソード概要
本エピソードでは、サイバーエージェント社長の藤田晋氏が、広告代理業からメディア・ゲーム事業へという歴史的な転換期を自ら先導した経営の軌跡を語ります。特に、現場の総合プロデューサーへの転身や、スマホシフトにおける大胆な決断の秘訣が、過去の実績(トラックレコード)と結びつけて明かされます。
また、現在取り組んでいる60歳での事業承継(サクセッション)のプロセスを通じて、創業者が会社を「仕組みで回るパブリックカンパニー」へ変革する難しさと、経営者が直面する「引き際」の葛藤について深く考察されています。
🎯 主要なトピック
- メディア事業(Ameba)への本格シフト: 2007年頃、広告代理業中心だった会社を転換するため、藤田氏が社長室ごとメディア部門の現場に降り、アメーバブログを中心とした内製文化を本格的に築き上げた。
- 全社的なスマホシフトの決断: 普及率が10%の段階で、直近の業績を度外視し、広告・メディア部門の優秀な人材をスマホ関連部門へ大量に異動させ、全社的にフルシフトする大胆な経営判断を実行した。
- 過去の実績が経営の信用を担保: 大胆な先行投資や方針転換を株主や社内に納得させられたのは、上場初期の危機からの立て直しやAmebaでの成功といった過去の確かな「トラックレコード」(実績)があったためである。
- ゲーム事業への参入戦略と育成: ソーシャルゲーム市場参入時には、社内常務2名による「専務対決」で競争を煽り事業を立ち上げ、後にサイゲームスを子会社として設立し、高クオリティな内製力を高めた。
- サクセッション(事業承継)の仕組み化: 創業者が手塩にかけた会社を次世代に引き継ぐ特殊な状況において、自分が居なくても仕組みで回る「パブリックカンパニー」を目指し、組織文化や経営哲学の言語化に注力している。
- 「復讐」としての言語化戦略: 中長期的な経営判断が短期的に批判されるたびに、結果を出した後に本などでプロセスを言語化し公開することで、社内外からの信用と理解を深めてきた。
💡 キーポイント
- 経営者が組織づくりではなく、サービスそのもののプロデューサーとして現場に深く関わる「逆のプロセス」が、事業のブレイクスルーにつながった。
- 上場直後の買収危機という最大のハードシングス以降、常に先のリスクを洗い出し潰すという徹底した危機管理体制が、その後の平穏な経営の礎となった。
- サイバーエージェントは、独自の組織文化(純血主義)を重視するため、大規模なM&Aや外部のプロ経営者の登用は最小限に抑え、内製と育成によって成長するスタイルを貫いている。
- 会社を成長させる根幹には、「21世紀を代表する会社になる」というビジョンを掲げ、「ふかし続けてきた」(強く信じ続けた)経営者の強い意志の力がある。
- 経営者の「引き際」は極めて難しく、引退後の人生や晩節を汚すリスクを避けつつ、後継者に引き継ぐための決断は、今もなお正解が分からないチャレンジであると認識している。

