お風呂で指がシワシワになるのはなぜ?公開収録「ハイパー理科クイズ」が熱い
科学をエンタメ感覚で楽しむポッドキャスト番組「サイエントークレンとエマの夫婦が、科学や歴史などのトピックを独自の視点で語る人気ポッドキャスト番組。」が、ついに初の公開収録を実施した。会場となったのは東京・赤坂のTBSスタジオ東京都港区赤坂にある、TBSホールディングスの本社スタジオ。数多くの番組収録が行われる。。約140名のリスナーが集まる中、ゲストに「おしゃべりな理科東京書籍が提供する、教科書編集者と小学校教諭が理科の魅力を語るポッドキャスト番組。」の森田さんと木月先生を迎え、大人も子供も唸る「ハイパー理科クイズ」が繰り広げられた。
日常のふとした疑問に隠された科学の真実とは。公開収録ならではの熱気と共に、その内容をまとめます。
理科室からアルコールランプが消えた?
最初のトピックは、理科室でおなじみの「加熱器具」についてだ。我々が子供の頃、実験といえばアルコールランプメタノールなどの燃料を入れた容器に芯を浸し、点火して加熱する器具。現在は学校現場で減少中。が定番だったが、今の教室は劇的な変化を遂げているという。
理科室で使われているのはアルコールランプか、それともカセットコンロか?
今は、実験用のカセットコンロ家庭用よりも小型で、一点集中で加熱できるなど、実験に適した工夫が施されたカセットコンロ。が主流なんですよ。
会場からは驚きの声が漏れる。理由は「安全面」と「効率」だ。東京書籍日本最大手の教科書出版社。理科や算数など、多くの小中高向け教科書を発行している。の編集者である森田さんによれば、アルコールランプは火の扱いが難しく事故のリスクがある。一方でカセットコンロは、加熱時間が短縮でき、理科が苦手な先生でも扱いやすいという。しかし、現場の先生には葛藤もあるようだ。
今の子供たちはマッチ摩擦によって発火させる棒。オール電化やチャッカマンの普及により、マッチを擦れない子供が増えている。を擦った経験がほとんどありません。だから、あえてアルコールランプで火に慣れさせてからコンロに移ることもありますね。
砂糖と塩、100gで「多く」見えるのはどっち?
続いての問題は、視覚と重さのギャップについて。砂糖100gと塩100gを並べたとき、どちらがボリュームがあるように見えるか。これには「密度単位体積あたりの質量。同じ重さでも密度が小さい(スカスカな)ものほど、体積(見た目の大きさ)は大きくなる。」という科学的な概念が関わってくる。
砂糖の方が分子が大きく、集まり方が「ふわっ」としているため、見た目は砂糖の方が多くなる。
現役の小学校教諭である木月先生がクラスの子供たちに聞いたところ、「砂糖」と答えた子が圧倒的だったという。その理由が実にユニークだ。「綿あめ砂糖を熱して繊維状にした菓子。空気を含んで非常に大きく膨らむため、子供にとって砂糖=軽いという印象の源泉になる。は軽いから」「コンビニのシュガースティックコーヒー等に入れる棒状の砂糖。軽量化されており、手に取った時の「軽さ」が直感として残りやすい。は軽い」といった、生活実感に基づいた鋭い推論が披露された。
「指のシワシワ」は自ら引き起こしている?
番組が最も盛り上がったのは、「お風呂で指がシワシワになる理由」だ。多くの人が「皮膚が水を吸ってふやけたから(浸透圧濃度の異なる液体が膜を隔てて接したとき、濃度を均一にしようとして水分が移動する力。によるもの)」だと信じているが、実は最新の科学では異なる見解が示されている。
実は、あれは「自律神経自分の意志とは無関係に、心拍や体温などを調節する神経。交感神経と副交感神経からなる。」の反応なんです。指の神経が「濡れた」ことを感知して、わざと血管を収縮させてシワを作っているんですよ。
え、じゃあ「自分からふやけに行ってる」ってこと?
レンが紹介した2013年の論文英国王立協会の専門誌「Biology Letters」に掲載された論文などを指す。濡れた環境でのグリップ力向上を検証した。によると、指にシワができることで、濡れた場所でも滑りにくくなる「タイヤの溝」のような役割を果たし、グリップ力物体を掴むときの摩擦力や保持力のこと。を上げているのだという。驚くべきことに、神経が麻痺している人はお風呂に入っても指がシワシワにならないそうだ。
- 目的 ── 濡れた手で物を掴みやすくするための進化上の適応。
- 仕組み ── 水を吸うのではなく、神経の指令で血管が縮んでシワができる。
- 証拠 ── 手足の神経を損傷していると、このシワは発生しない。
進化の誤解と「教科書の行間」
「哺乳類は爬虫類が進化した姿か?」という問いに対し、会場の多くは「×」を選択した。正解は×だ。かつては魚類→両生類→爬虫類→哺乳類という一本道の図がよく見られたが、実際には爬虫類と哺乳類は共通の祖先(有羊膜類胚を保護する「羊膜」を持つ脊椎動物。これにより水辺を離れて陸上で繁殖することが可能になった。)から早い段階で枝分かれした「親戚」のような関係なのだという。
また、理科教育の現場ではあえて「教えすぎない」こともあると、東京書籍の森田さんは語る。例えば、月や太陽の動きを観察する際、小学校では地動説地球が動いているとする説。コペルニクスが提唱。小学校では「観察事実」を重視するため、見たままの動きをベースに学ぶ。という言葉を使わずに、まずは「どう見えるか」という観察事実を大切にする。知識として知っている子供が「地球が回ってるんだよ」と言い出しても、木月先生は「じゃあ、地球が回っているとしたら、どう見えるかな?」と、問いを返して思考を促すのだそうだ。
「ラーメンがふやけるのと指のシワは同じだ」って考える子供の発想、大人はなかなか出ないですよね。その「考えるプロセス」こそが価値があるんだなぁ。
というわけで
科学とは、単なる知識の暗記ではなく、目の前の現象に対して「なぜ?」と問いを立てるプロセスそのものだ。アルコールランプが消えた理科室も、お風呂での指のシワも、すべては私たちの好奇心を刺激する入り口に過ぎない。
公開収録の最後は、リスナーおなじみの挨拶「ウルトラ4!」の合言葉で締めくくられた。知っているつもりの常識が、科学の視点でひっくり返る瞬間の快感は、いくつになっても色褪せないものかもしれない。