牛乳大好きだった男が飲むのをやめた理由
今回のテーマは牛乳です。冒頭は恒例の牛乳クイズで温まった後、なかせこさんが自身の変化を打ち明けます。
なかせこさんは中学生の頃、多い時で一日一リットルほど牛乳を飲むほどの牛乳好きでした。ところが今は、ほとんど飲んでいないと話します。
今飲んでないんやけど、元々はね、牛乳大好きやったんよ。特に中学生ぐらいはもう多い時は一日一リットルぐらい飲んでた時もあったよね。でも今は本当に全然飲んでない。
アイスやクリームスープも控えようと思っているというなかせこさん。ただし、牛乳を悪者にしたいわけではないと繰り返します。
牛乳を悪者にしたいってことではないんです。なぜあなたは牛乳を飲むんですか。そうやって一度立ち止まって考えてみませんか、という会です。
なぜ大人が別の動物の乳を飲むのか
話の起点は乳糖不耐症です。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする、あの状態のことです。
大人になると乳糖を分解するラクターゼの働きが低下する人がいます。地域差はありますが、一定数の人は大人になると乳糖を分解しづらくなります。
なかせこさんは、これを病気というより自然なことだと捉えます。哺乳類は本来、離乳後に乳を飲まなくなるからです。
大人になってラクターゼが減る方が、哺乳類としては普通と。
赤ちゃんの時は母乳が主な栄養源なので、分解できないと困ります。しかし大人になれば乳を飲む必要はなくなり、ラクターゼは基本的に仕事を終えます。
なかせこさんが牛乳をやめた一番の理由は、この違和感でした。
調べてみると、人類が他の動物の乳を飲みだしたのは約一万年前の新石器時代ごろ、農耕や牧畜が始まった時期とされます。乳を取れば継続的に栄養を得られるからです。
古代のDNA研究では、当時の多くの人は大人になると乳糖を分解できなかったと考えられています。そのため、最初は生乳をごくごく飲むより、チーズやヨーグルトなど発酵させたものが先だった説が濃厚だといいます。
発酵の過程で乳糖が減るため、乳糖不耐症の人でも食べやすくなる、という仕組みです。
日本人と牛乳、そして骨の話
一方で日本は、歴史的には乳にあまりなじみがありませんでした。最も普及したのは、栄養政策や学校給食による近代以降だといいます。
乳の文化と、乳糖を分解する遺伝的な力には相互関係があるため、日本人には乳糖不耐症の人が多いと考えられています。中国人や日本人の集団では、離乳後の三、四年以内にラクターゼの活性の八十から九十パーセントが失われるという研究もあると紹介されました。
ここで、うれしのさんが中学時代のエピソードを披露します。部活後に余った牛乳を、一人二本以上飲むよう指導されていたというのです。
部活が終わった後に牛乳が余ってるから、お前ら飲めって言われて。一人二本以上飲みなさいっていう指示があってさ。
給食と合わせると相当な量です。乳糖不耐症の人がいることを考えると、こうした指導は考え直した方がよいという話になりました。今はこうした指導は行われていないだろうと二人は話します。
学校給食といえば「牛乳を飲むと骨が強くなる」という思想も、日本人に子供の頃から植え付けられていると話が進みます。
牛乳は骨の材料として優秀です。カルシウム、タンパク質、リン、カリウムを含みます。アメリカではビタミンDを添加した乳飲料も普通に売られています。
思春期までは骨の量を増やす大事な時期で、カルシウムとタンパク質をしっかり取る必要があります。そのため成長期の子供にとって牛乳の有用性は高いと言えます。
ただし大人については話が変わります。牛乳と骨密度の関連を調べたレビューでも、骨粗しょう症のリスクを下げるエビデンスは不確かだといいます。
骨折予防に牛乳を、というふうには、堂々と科学的にはまだ言えないんですよ。
骨を強くする要素は栄養だけではありません。運動、ビタミンD、睡眠、飲酒や喫煙を控えることなど、多くの要素が関わります。牛乳だけを抜き出して語るのは難しいのです。
牛乳が好きで耐性も残っている人はうまく取り入れればよく、そうでない人はやめても問題ないと結論づけます。豆乳や強化豆乳、ヨーグルト、チーズ、大豆製品、魚、アーモンドミルク、オーツミルクなど代替品も多いからです。
ローミルク、砂糖、プロテインという落とし穴
続いて、牛乳を取り巻く問題が紹介されます。まず話題に上ったのが、欧米のウェルネス界隈で注目される生乳、いわゆるローミルクです。
二人は、生乳が良いというより「加工されていないから素晴らしい」というイメージだけで語られている点に注意が必要だと話します。
生乳がいいっていうわけじゃなくて、加工されてないから素晴らしいって言ってる話だけなんですよね。
なかせこさんが用意したリスクは三つです。一つ目は食卓支配問題。牛乳は栄養価が高くお腹が満たされるため、特に子供が飲み過ぎると他の栄養素が取れなくなります。
牛乳そのものには鉄があまり含まれません。体内では鉄とカルシウムが吸収を巡って競合するため、大量に飲むと鉄の吸収率が下がり、場合によっては鉄欠乏性貧血につながることもあると説明されました。
二つ目は、甘い乳飲料の問題です。コーヒー牛乳やイチゴ牛乳などは、牛乳と同じ感覚で飲むのは避けた方がよいといいます。
あれ五百ミリリットルって、角砂糖十個分を超えますよ、砂糖の量。
「牛乳」とついているから体に良さそうと思って取りすぎると、肥満や糖尿病のリスクを上げかねません。成分表示を見て、牛乳なのか乳飲料なのかを確かめることが大切だとされました。
砂糖といえば練乳も話題に上ります。なかせこさんの大好物ですが、砂糖の含有量はおよそ四十五パーセント。控えめにした方がよいと注意します。
三つ目はホエイプロテイン問題です。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロすると言いながら、ホエイプロテインをガブガブ飲む人もいます。腎機能が下がっている人は特に気をつけた方がよいと話します。
結論として、牛乳は優秀だが万能ではない、という点を知ってほしいとまとめられました。物事はほどほど、バランスが大切という、いつもの着地です。
飲み過ぎで他の栄養が取れなくなる。鉄とカルシウムが競合し鉄欠乏性貧血につながることも
コーヒー牛乳などは砂糖が多く、五百ミリリットルで角砂糖十個分超のものもある
腎機能が下がっている人が大量に取り続けると腎臓に過剰な負荷がかかることがある
哺乳類対抗ミルクグランプリ
凡庸な結論で終わるのも面白くないと、なかせこさんが「哺乳類対抗ミルクグランプリ」を宣言します。うれしのさんが審査員です。
一般的に、乳は乳糖が多いほど甘みを感じやすいとされます。乳脂肪の含有量でも感じ方は変わります。そこで、なかせこさん調べによる暫定の甘さランキングが発表されました。
牛の乳脂肪はおよそ3.5から3.6パーセントなので、水牛はその約二倍の濃厚さです。そして牛は他の乳に比べてとても安価だと確認されました。
一位をうれしのさんが予想します。ロバや馬など筋肉質な動物が続いたことから、カンガルーと回答しました。
ちょっとこう引き締まった筋肉から出てくる乳は、かなり甘いのかもしれない。
正解は人間でした。人間は哺乳類の中で最も乳糖が多く、タンパク質やミネラルは少なめだといいます。
1位は、多分このリケダン健康論を聞いてる方は全員飲んだことがあるでしょう。人間です。
うれしのさんは、人間は不完全な状態で生まれるから母乳が甘いのではと考察します。なかせこさんは方向が合っていると評価しました。
人間の赤ちゃんは体だけでなく、長い間、脳や神経系を発達させる必要があります。脳は多くの糖を必要とするため、乳の糖が多めになっていると説明されました。四足歩行の動物はすぐ歩く必要があるため、筋肉を作るタンパク質やミネラルが多めになります。
乳の成分は、それぞれの動物の成長速度や発達の仕方を反映している、というわけです。
人間の母乳を手に入れる方法として母乳バンクも紹介されました。
なぜあなたは牛乳を飲むのか
話は「他の生物の乳を栄養源にして繁栄する人間」という不思議さに戻ります。うれしのさんは、乳だけを問題視するのは納得がいかないと投げかけます。
他の動物の肉も食べるし、卵も食べるし、乳だけ飲むっていうのをNGとするのは、なんかそこだけ切り取ってどうなの、っていうのがしっくり来ないんだよ。
なかせこさんは、大人が他の哺乳類の母乳を飲むという点にどうしても違和感が残ると答えます。ただし、あるのは違和感だけで、飲めば美味しいとも認めます。
そのうえで、この回で一番伝えたかったことを改めて語りました。
うれしのさんは、この問いは牛乳にとどまらないと受けます。何を食べ、何を身につけるのか、その理由を考えるきっかけになる回だったと振り返りました。
たとえばヴィーガンの人たちも「なぜ動物の肉を食べるのか」という問いから始まっているとし、自分たちが当たり前に口にするものを問い直す自然な話だとまとめました。
まとめ
大人になって乳糖を分解しづらくなるのは哺乳類として自然なことで、牛乳が飲めなくても代替品は多くあります。牛乳は優秀だが万能ではなく、この回が伝えたかったのは飲む飲まないの是非ではなく、「なぜ自分は牛乳を飲むのか」を一度立ち止まって考えることでした。
- 大人がラクターゼを失うのは哺乳類として自然で、日本人には乳糖不耐症が多いとされる。
- 成長期の子供に牛乳は有用だが、大人の骨折予防を裏づけるエビデンスは不確か。
- 甘い乳飲料は砂糖が多く、飲み過ぎによる鉄欠乏やプロテインの過剰摂取にも注意が必要。
- 乳の甘さや成分は、その動物の成長速度や発達の仕方を反映している。
- 問いは牛乳に限らず、何を食べ何を選ぶのか、その理由を問い直すきっかけになる。
