7年半の幕引き──Off Topic最終回、二人が語る感謝と学び
草野ミキさんと宮武テツローさんがホストを務めるOff Topic // オフトピックが、2026年5月7日の配信をもって最終回を迎えました。2018年11月の開始から約7年半、1,000エピソード以上を配信してきた番組の終わりに、二人はこれまでの歩みを振り返り、リスナーへの感謝を伝えています。その内容をまとめます。
急な最終回の発表と解散の理由
冒頭、草野さんが「今回は最終回をお送りしたいと思います」と切り出すと、宮武さんは「急に来ましたよね」と応じました。リスナーにとっても予期せぬ発表だったことがうかがえます。
皆さんびっくりでしょうか。
クリックベイトでも何でもないっていう話ですよね。
解散の理由について、草野さんは「Off Topic株式会社という会社として二人でやってきたが、メディアとして成長するのが難しいかもしれない」と説明しました。宮武さんも「いろんな施策を試してきたが、思ったようにことが進まず」と補足し、それぞれの道を前向きに進むための決断だと語りました。
二人は「Off Topicの考え方やビジョンは今後も持ち続ける」とし、今後コラボする場面もあれば個々で動く部分もあると示唆しました。
最後の二つの告知──イベントと書籍
最終回の中で、二人は最後の告知を行いました。
告知①:Podcast Expoへの登壇
2026年5月9日(土)に開催されるPodcast Expo国内最大級のポッドキャストイベント。2026年5月9日・10日に開催。クリエイター、リスナー、プラットフォーム関係者が一堂に会します。に、草野さんと宮武さんが登壇します。LobsterFMというニュースレター・Podcastメディアと共に、アメリカや海外のPodcast事情について4人で語る予定です。
草野さんは「二人で出るのは多分これが最後」と述べ、メンバーシップ会員向けには物理カードも配布するとのことです。
告知②:書籍『未来検索』の予約受付中
2026年9月18日(金)に、Off Topicとしての初の書籍『未来検索』が発売されます。宮武さんは「Off Topicの考え方やフレームワークが詰まった内容」と説明し、情報収集の方法からフレームワーク化、そして未来予測への活かし方までを書いているとのことです。
| 購入先 | 特典内容 |
|---|---|
| Amazon | ボーナスPodcastエピソード(書籍発売記念回・未収録) |
| 楽天ブックス | Off Topic公式ステッカー |
草野さんは「最初で最後のお願いです。皆さんお願いします」と呼びかけ、宮武さんも「8年間貯めて、これをお願いしたかった」と強調しました。また、予約だけでなく、SNSでのシェアも依頼しています。
Off Topicを始めた理由と成長の軌跡
草野さんは、Off Topicを始めたきっかけについて振り返りました。二人は元々、同じVCベンチャーキャピタル(Venture Capital)の略。スタートアップ企業に投資し、成長を支援する投資会社。に勤めており、草野さんは新卒で入社、宮武さんは先輩として米国担当をしていました。
宮武さんの話が面白くて、ポッドキャストにして、面白そうだねみたいな感じで始めて。
草野さんは「きっかけを作る」というミッションに共感し、宮武さんの語るアメリカのテック・カルチャー情報を広く伝えたいと考えました。「ザ・IT企業、スタートアップ、ビジネス、AI」だけでは語れない、カルチャーやデザイン、消費行動を交えた視点が、Off Topicの特徴になったと語ります。
宮武さんは「最初は期待値もなく、面白いからやってる」というスタートだったが、続けるうちにコンテンツが進化していったと振り返りました。DtoCやリテールの話題から、カルチャー、哲学へと広がり、二人とも成長しながら世界観を進化させていったといいます。
「きっかけを与える」ミッション
宮武さんは、リスナー向けアンケートで寄せられた声を紹介しました。「Podcastを始めた」「Peter ThielPayPal共同創業者、Palantir創業者。シリコンバレーを代表する投資家・起業家。『ゼロ・トゥ・ワン』の著者。について調べた」「起業した」「転職した」「TikTokをマーケティングに使った」「『SeveranceApple TV+で配信されたSFサスペンスドラマ。オフィスで記憶を分離される労働者の物語を描き、評論家から高い評価を得ました。』を見た」「MBAに進学した」など、Off Topicがきっかけとなった行動は多岐にわたります。
ニュアンスを大切にしたコンテンツ作り
草野さんは、Off Topicのミッション「ニュアンスから生まれる余白を考えて、新しいコンセプトを定義して、新しい可能性を見つけてもらう」について語りました。Podcastというメディアと二人の会話形式は、テキストだけでは伝えられないニュアンスを伝えるのに適していたといいます。
テックとカルチャー、スタートアップとビッグテック、日本と海外──こうした「間にあるニュアンス」を言語化することが、Off Topicの価値だったと振り返りました。
宮武さんは、ニュアンスを大事にするとメインストリーム化しにくくなる課題があったと認めつつも、「Bytes」のような短尺コンテンツでも「ニュースを羅列しても面白くない。インサイトを入れる」ことにこだわったと語りました。
「私たちが言ってることも疑ってほしい」
草野さんは、Jin's Parkメガネブランド「Jin's」が運営するメディア。定期的に編集長が変わるユニークな編集方針を持っていました。でのインタビューで「私たちが言ってることも信じないでほしい」と語ったエピソードを紹介しました。宮武さんは「矛盾だらけ」と自己評価しつつ、仮説を常にアップデートすることの重要性を強調しました。
7年前の自分を見て、全く同じことを言ってて、それで正解だったらまだいいかもしれないんですけど、基本結構間違ってること多いと思うんですよ。
代表的な予測ミスとして、宮武さんは「NetflixがDtoCDirect to Consumer。メーカーが直接消費者に販売するビジネスモデル。中間業者を介さないため、顧客データを直接収集でき、ブランド体験をコントロールしやすいのが特徴。しすぎてうまくいかないんじゃないか」と予想したが、「めちゃくちゃ間違ってた」と笑いながら認めました。
7年半の思い出──イベント、グッズ、インタビュー
二人は、Off Topicの7年半を象徴する出来事を振り返りました。
Podcast Awardノミネート
宮武さんは「こんなポッドキャストでもノミネートされるんだ」と当時の驚きを語りました。不定期配信で、気軽にやっていた時期だったため、予想外の評価だったといいます。授賞式はコロナ禍でオンライン開催でしたが、これがきっかけで「Bytes」などの新番組にも挑戦できたとのことです。
Dispoの日本展開支援
宮武さんは「言ったことないと思うんですけど」と前置きしつつ、写真アプリ「DispoYouTuberのDavid Dobrikが開発したレトロ風カメラアプリ。撮った写真が翌朝まで現像されないユニークな仕様で話題に。Off Topicは日本語版リリースの初期を支援していました。」の日本展開を初期段階で手伝っていたことを明かしました。日本語版が早く出たのは、Off Topicが裏でDispoチームと連携していたからだといいます。
また、Clubhouse音声版SNS。2020年のコロナ禍で爆発的に流行しましたが、その後ユーザー数は減少。招待制、リアルタイム音声のみという仕様が特徴でした。などの新サービスも早期に取り上げ、場合によっては創業者にインタビューするなど、スピード重視で動いていた時期を懐かしみました。
公式グッズの販売
2021〜2022年頃に、草野さんデザインのスウェットとステッカーを販売しました。宮武さんは「ブランドになったんだな」と感慨深げに語り、モデル撮影も本格的に行ったエピソードを紹介しました。
スウェットのタグには、裏表に異なる言葉が記されており、Off Topicのビジョン・ミッションが込められています。また、ロゴのグラデーション(ブルーからピンク)は、テック系に多いブルー一色へのカウンターカルチャー主流文化に対抗する文化・価値観。1960年代のヒッピー文化などが代表例。Off Topicは、テック界の画一的なイメージに対して、カルチャーやデザインを重視する姿勢を示しました。的な意味が込められているとのことです。
USスタートアップへのインタビュー
宮武さんは、Figmaデザインツール。ブラウザ上で複数人が同時にデザイン作業できる革新性で、Adobe XDなどを圧倒。2022年にAdobeが約200億ドルで買収を発表(後に破談)。、Stripeオンライン決済プラットフォーム。シンプルなAPI設計で開発者に支持され、世界中のスタートアップ・大企業に導入されています。、HubSpotマーケティング・セールス・カスタマーサービスを統合したCRMプラットフォーム。インバウンドマーケティングの提唱者として知られます。などのカンファレンスに招待され、キーメンバーにインタビューした経験を「結構大きかった」と振り返りました。
中でも、防衛テック企業AndurilPalmer Luckey(Oculus VR創業者)が設立した防衛テック企業。AI・自律システムを活用した次世代兵器の開発で注目されています。の創業者Palmer LuckeyOculus VR創業者。Facebookに約20億ドルで売却後、Andurilを設立。アニメ好きとしても知られ、Off Topicのインタビューでもその話題が出ました。へのインタビューは、二人とも「めちゃくちゃ緊張した」と語りました。
あともう少しで来るから」って秘書に言われて。で、その時草野さんがお互い見て、「ちょっとやばいことやってますよね」みたいな。
セキュリティが厳重で緊張したものの、Palmer Luckeyは「めちゃくちゃフランクな人」で、アニメの話などもしたといいます。草野さんは、帰り際にAndurilのメモパッドをもらったエピソードを懐かしそうに語りました。
リスナーミートアップとイベント
草野さんは、クリエイターエコノミー企業Night MediaYouTuber MrBeastのマネジメントなどを手掛けるクリエイターエコノミー企業。Reed Duchscher氏が創業者。のReed Duchscher氏を招いた日本イベントや、リスナーミートアップの思い出を語りました。「Off Topicを聞いている人で集まると、面白い人が集まる」と、コミュニティの可能性を感じたとのことです。
宮武さんは、第1回ミートアップで草野さんがコロナ感染で来られなかったエピソードを「伝説」と笑いながら紹介しました。その後、サンフランシスコでもミートアップを開催し、2週間前のTwitter告知にもかかわらず多くの人が集まったといいます。
note記事とテキストコンテンツ
2020年は、Off Topicのグロースにとって重要な年でした。宮武さんは、Black Lives Matter2020年にジョージ・フロイド事件をきっかけに世界的に広がった人種差別反対運動。Off TopicはこのタイミングでBLMの背景を解説する記事を公開し、大きな反響を得ました。についての記事を出すか迷ったとき、草野さんに「出した方がいいんじゃないですか?」と背中を押されて公開したエピソードを語りました。その記事は、今でもOff Topicのnote記事で最も多く読まれているとのことです。
草野さんも、映画配給会社A24『ムーンライト』『ミッドサマー』などで知られる映画配給会社。独特なマーケティング手法で、カルト的なファン層を獲得しています。のマーケティングについて書いた記事が、今でも読まれていることを喜びました。宮武さんは「テキストと音声をどっちもやってたのは一つ大きいことだった」と総括しました。
リスナーとチームへの感謝
宮武さんと草野さんは、Off Topicを支えてくれた人々への感謝を述べました。
ハリーさん(編集・撮影)
Off Topicの編集を約4年間担当し、イベントでのカメラ・マイクサポートも行ってきたハリーさんに、二人は深く感謝しました。Off Topic本編の編集は主にハリーさんが担当していたとのことです。
ナツメさん、メモフリートさん
ショートフォームや一部エピソードの編集を担当したナツメさん、毎週インフォグラフィックを作成してくれたメモフリートさん(Twitter: @memofleet)にも感謝を伝えました。
宮武さんは、メモフリートさんが「毎週、引用元を全部読んでくれる」ため、途中から音声ファイルと引用元を事前に送る体制にしたエピソードを紹介しました。
SpotifyやApple、その他パートナー
「Bytes」を一緒に制作したSpotify、機材提供したAppleなど、プラットフォーム側のパートナーにも謝意を示しました。
リスナー
宮武さんは「リスナーがいなければ、これだけ続いてない」と強調し、初期から聴いている人も今回だけ聴いた人も含め、すべてのリスナーに感謝しました。
本当に。ありがとうございます。こんなに私も、こんなに続くとは思ってなかったので。
お互いへの感謝
宮武さんは「一人でできなかったもの」と語り、草野さんが番組を始めるきっかけを作ってくれたこと、会話があったからこそ成り立ったことに感謝しました。「一人でずっとボソボソ話しても面白くなかった」と述べ、二人のスタイルが自分にとってやりやすかったと振り返りました。
草野さんも「宮武さんのおかげで新しい出会いや可能性を見せてもらえた」とし、テックとカルチャーの両方を理解し共有できる相手は少ないと強調しました。
探求のプロセスを楽しむこと
宮武さんは、Off Topicが他のメディアと異なる理由について、「単純に努力の問題」と語りました。毎日ひたすらコンテンツをインプットし、テック情報だけでなくカルチャーも含めて、世の中を理解しようとする努力が支えだったといいます。
「これにフルタイムでやってたっていうところが、一つめちゃくちゃ大きい」と述べ、VCやスタートアップが似た番組を作りにくい理由も、労働時間の制約にあると分析しました。
そして、テックニュースなどの流れに流されないためには、一つ一つを「データポイント」として見て、フレームワークと仮説を持つことが重要だと語りました。そのために必要なのが、「ニュアンスとコンテキスト」だといいます。
プロセスを好きになる
草野さんは「好きじゃないとできない」と述べ、好奇心を持って消費行動やカルチャーを観察することの重要性を語りました。「つまらないものはない」と考え、どんなものにも面白さを見つける姿勢が大切だといいます。
宮武さんは「探求することそのもの、そのプロセスを好きになる」ことが重要だと強調しました。アウトプット(学んだこと)ではなく、「なんで?」と問いかけるプロセス自体が面白いのだと語ります。
探求って永久に終わんないですし。とりあえずやり続けたら、一時間経っちゃったみたいな感じだと思うので、それを、プロセスを楽しむっていうのは、よくバスケとかでも言われてますけど。
人を動かす力の凄さ
草野さんは、広告やマーケティングといった「毛嫌いされがちなカテゴリー」にも芸術性があると語りました。人の行動を変える仕組みを考えることは、クリエイティブでありアートでもあると捉えられるようになったのは、Off Topicを通じた学びだといいます。
宮武さんも「人を動かす力ってすごい」と同意し、お金が流れる、ユーザーが購入する、ダウンロードする──そうした行動を作れる人を理解することは、人生の中で役立つ視点だと語りました。
まとめ
最後に、宮武さんは「唯一のお願い」として、書籍『未来検索』の予約購入を呼びかけました。「これを買ってください。一回でも聞いた方は、聞かなくてもいいです」と、ユーモアを交えながらも真剣に訴えました。
草野さんは「私たちの集大成」と述べ、本がOff Topicとして残す最終的な形だと語りました。
宮武さんは、2,722日間の感謝を改めて伝え、「また、何かしらの形で関わっていくと思うので、見守っていただければ」と締めくくりました。草野さんも「それぞれ頑張って、高みでまた会いましょう」と応じ、番組は終了しました。
- Off Topicは2018年11月開始、2026年5月7日に最終回を迎えた(通算1,000エピソード以上配信)
- 解散理由は「会社形態での成長の難しさ」だが、二人は前向きに次のステップへ進む
- 2026年5月9日のPodcast Expoに登壇、9月18日には書籍『未来検索』が発売
- Off Topicのミッションは「きっかけを与える」こと──転職、起業、学びなど多くのリスナーに影響を与えた
- 「ニュアンス」を大切にし、テックとカルチャーの間を言語化することに価値があった
- Podcast Awardノミネート、Dispo日本展開支援、Palmer Luckeyインタビューなど、数々の思い出
- ハリーさん、メモフリートさんなど、多くの協力者とリスナーに支えられた
- 宮武さん「探求のプロセスを楽しむことが大事」、草野さん「つまらないものはない」
