なぜ今、リスナー調査をお願いするのか
この回の冒頭で、草野さんはOff Topicのリスナー属性調査への協力を呼びかけています。番組として調査をするのは過去に1〜2回あり、宮武さんによれば最後は2〜3年前だといいます。
草野さんによると、Podcastは再生数などの大まかな数字はわかっても、どんな人が何をしながら聴いているのかといった詳細がわかりません。今後どんなコンテンツを届けるかの参考にするため、アンケートフォームを用意したと説明しています。
やっぱりなんか誰が聞いてるかっていうのがふわっとしか我々がわかってないっていうところで、もっと直接知りたいっていうところですよね。
宮武さんは、ほかの面白い番組にファンが熱心についているのを見ると羨ましく感じ、ときどき心が折れることもあると打ち明けます。草野さんも、反応が少ないと「意外と刺さらなかったな」と寂しくなるといいます。
いや、(コメントは)意外と結構、結構ちゃんと我々読んでるんで。
口コミで番組を広めるのが難しい人は、アンケートに全力で答えてもらえたら嬉しい、と草野さんは締めくくっています。回答期限は2月28日(金)23:59までで、全リスナーが対象です。
スーパーボウル、チーフスの3連覇はなぜ消えたのか
本編は「ゆるニュース回2月前半」として始まります。扱いたいトピックが多すぎるため、2月は前半・後半に分けるかもしれないと二人は話しています。最初の話題は、収録日と重なったスーパーボウルです。
あの、どこまでテックなんですかっていう話にはなっちゃうんですけど。
宮武さんによると、試合はフィラデルフィア・イーグルス対カンザスシティ・チーフスでした。チーフスは前年・前々年の王者で、3連覇がかかっていました。
チーフスにはテイラー・スウィフト ── アメリカを代表するシンガーソングライター。チーフスのトラビス・ケルシー選手との交際が大きな話題になり、試合観戦の様子も注目されてきましたの交際相手であるトラビス・ケルシー選手がいます。ただ、宮武さんは一番のスターとして29歳のクオーターバック、パトリック・マホームズ選手を挙げています。
結果はチーフスの敗戦で、3連覇はなりませんでした。ケルシー選手もあまり活躍できず、テイラー・スウィフトさんが中継に映る時間も少なかったといいます。
宮武さん自身は特に応援するチームはなく、イベントとして観ていたそうです。8年ほどボストン近辺に住んでいた時期はペイトリオッツを応援しており、当時のエースだったトム・ブレイディ氏が今回は解説を務めていたのも面白かったと話しています。
1億人が観る大会の経済効果はどれほどか
宮武さんによると、スーパーボウルは毎年1億人以上が視聴する超大型イベントです。メディアが分散したアメリカで、ここまで1つのイベントに注目が集まる機会はほとんど残っていないため、巨額の予算をかけてCMを出すブランドも多いといいます。
経済効果も大きく、今年の開催地ニューオーリンズでは、ホテルやレストラン、交通機関の利用で、週末だけで3億〜5億ドルの効果があるという話があります。さらに、家や友人宅で観るのが一種の儀式になっているため、去年はスナックだけで約6億7000万ドルが使われたそうです。
草野さんは、同じような規模のイベントが出てこないことに驚きます。宮武さんは、日本でいえば紅白歌合戦のような注目度で、CMに加えてハーフタイムショーも毎回人気だと説明しています。
草野さんはハーフタイムショーのケンドリック・ラマーを絶賛し、SZAやセレナ・ウィリアムズの登場、ドレイクを意識したカメラ目線に「痺れた」と振り返ります。一方で宮武さんは、全体のリアクションは過去ほどポジティブではなかった印象があると話しています。
30秒800万ドルの枠で光ったCMは?
宮武さんの注目はむしろ試合とCMでした。スーパーボウルのCMは毎回80〜100本ほど流れ、全米向けと地域ごとの枠、試合前の枠などが別々に売られています。今年は最大30秒の枠で800万ドルでした。
宮武さんによると、800万ドルを払ったのは10社ほどです。半年以上前に枠を買う企業はディスカウントが入ることもあり、今年は700万ドル台が多く、ギリギリに買った企業が800万ドル前後を払ったのではないかといいます。
草野さんのお気に入りはUber EatsのCMでした。「フットボールは食べ物でお腹を空かせるためにある」という陰謀論を延々と語り、最後に『バービー』などを手がけたグレタ・ガーウィグ ── アメリカの映画監督・俳優。『レディ・バード』『バービー』などで知られ、俳優としても『20センチュリー・ウーマン』などに出演していますに映画化を頼む構成です。チャーリーXCXも出演していたといいます。
宮武さんは、会場が「シーザーズ・スーパードーム」とサラダの名前に通じるなど、食べ物に掛けられた点も良かったと話しています。
宮武さんのお気に入りの1つは、キックオフ直後に最初に流れたリロ&スティッチのCMです。試合映像からそのまま続いても違和感のない作りで、タイミングが非常に良かったと評価しています。
もう1つは、アルコールブランドのミケロブのCMです。ウィリアム・デフォー氏らがピックルボール ── テニスと卓球を合わせたようなラケットスポーツ。コートが小さく初心者でも楽しめるため、アメリカで幅広い年齢層に急速に広がっていますで有名アスリートに挑み、年齢を逆手に取った演出が上手いと宮武さんは話します。
ピックルボールっていうのを選んだのも、なんか、あの、結構その初心者でも遊べるし、その年齢問わず、えー、遊べるゲームだったりするので。
セレブ起用が増える中、OpenAIの初CMはどう見られたか
宮武さんが紹介した面白いデータは、セレブを起用するCMの割合が年々上がっているというものです。2010年はセレブを起用しない広告が3分の1ほどあったのに対し、今は起用する広告が半分以上になっているといいます。
そんな中で、セレブを使わなかった例がOpenAIの初CMです。草野さんは、白と黒のドットだけで表現した点に感心していました。
宮武さんによると、反応は分かれました。テック界隈は満足していた一方、それ以外のマーケターは「そこまで」という印象だったそうです。
クリエイティブ自体は割と好きではあるんですけど、「スーパーボウルのCMとしてはそこまで」って思っちゃいました。
そのマス向けに、なんか伝わるのかなっていうところはすごいあったので、なんかもうちょっと違うやり方があったのかなっていうふうには思っちゃいましたね。
食料品配達サービスのInstacartは、別の意味の「セレブ」を起用しました。チートスのチーターなど、誰もが知る食品ブランドのマスコットを集めたのです。宮武さんは、ブランド側にもプロモーションになるため、大きなお金は発生していない気がすると推測しています。
去年は5秒広告で話題を作ったDuolingoは、今年は出していませんでした。宮武さんは、話題性を作るために毎年続けなければならないプレッシャーがあるのではないかと話します。
逆に久しぶりの出稿がナイキで、27年ぶりほどだったはずだといいます。宮武さんは、番組で以前話したナイキの課題もあり、ブランドを強く打ち出したのではないかと見ています。ほかにもダンキンのシリーズ化や、Liquid Deathなど初出稿のD2Cブランドが目立ちました。
トランプ関税とデミニミス免除停止で何が起きたのか
次の話題は、スーパーボウルにも姿を見せていたトランプ大統領の関税です。宮武さんによると、トランプ大統領は大統領令で、中国に10%、メキシコとカナダに25%の関税を課すと発表しました。
ただしメキシコとカナダの新関税は、両国が交渉中であることから一時停止されました。中国への関税は続いています。
10%の関税。現在も継続中
25%の関税。交渉中のため一時停止
関税と並ぶもう1つの重要な施策が、デミニミス免除 ── 少額の輸入品に関税をかけない制度。アメリカでは800ドル未満の小口輸入が対象で、越境ECの急成長を支えてきましたの停止です。この制度を大いに活用していたのがSHEINとTemuでした。
デミニミス免除の停止も結果的に一時停止になりましたが、宮武さんによると、理由は中国との交渉ではなくアメリカ側の問題です。対象となる荷物は毎日400万個、アメリカに入る貨物の92%にもなるといいます。
へー、みんな何買ってるんだ。
関税をかけるには、これまでたまにチェックしていた荷物を400万個すべて識別しなければなりません。草野さんがAIの活用を提案すると、宮武さんは「今ゼロスタートなので、すぐにはできない」と答え、仕組みが整うまで一時停止になっていると説明しました。
ただしTemuは、すでにアメリカに倉庫を置き、まとめて輸入して国内配送する体制を作っています。宮武さんは、これは関税対策というより配送スピードを上げる狙いがメインだったと見ています。それでもSHEINとTemuは1日に入る荷物の約3割を占め、直接的な影響を受けます。
Amazon、Shopify、Metaにも影響が及ぶ理由
デミニミス免除の停止は、SHEINとTemu以外にも波及します。宮武さんがまず挙げたのはAmazonです。Amazonは去年、Temuと明らかに競合する「Amazon Haul」を始めていました。
宮武さんは陰謀論っぽいと断ったうえで、AmazonがHaulを出したのは、デミニミス免除の問題に注目を集めて禁止させるためだったという説を紹介します。Temuの成長が鈍れば、アメリカで一番喜ぶのはAmazonだからです。本当かどうかは置いたうえで、草野さんは「全然ありえますね」と応じています。
次はShopifyです。Amazonには自社倉庫にまとめて送る選択肢がありますが、Shopifyにはありません。中国から配送するクライアントのブランドが直接影響を受けるため、Shopifyはデミニミス免除を守るべきだというブログを出したといいます。
わかりにくい影響先がMetaです。マーケットプレイスではなく、中核の広告事業に響くと宮武さんは説明します。噂ベースでは、2023年にTemuがアメリカのMetaで使った広告費は約20億ドル、SHEINは約10億ドルとされています。
中国全体からの広告はMetaの売上の約10%に達したという話もあり、去年は5〜6%ほどとされます。ここ2〜3年伸びてきた中国からの広告売上で、大口の2社が抜ける可能性があるわけです。
(広告事業で)頼りになるクライアントが、パッて抜けた時の衝撃たるやっていうのは怖いですよね。
宮武さんは、分散すべきだとわかっていても、多額を払ってくれる相手にはどうしても頼ってしまうのが難しいところだと応じます。Temuは去年のスーパーボウルでも7〜8回ほどCMを流していたそうです。
デミニミス免除はなぜ生まれ、関税は誰を苦しめるのか
デミニミス免除の対象額は、実は少しずつ引き上げられてきました。宮武さんによると、現在の800ドル(日本円で約12万円)になったのは2016年で、それ以前は200ドルでした。
そもそもこの制度は、アメリカ人観光客が海外で買ったものを税金なしで自宅に送れるようにするために作られたと宮武さんは説明します。言葉自体は、ラテン語の「ミニマル」に近い意味から来ているのではないかと話しています。
一方、中国への10%の関税はそのまま実行されています。ELF Beautyの社長は「10%で良かった」とコメントしたといいます。関税がかかると、ブランドは値上げで対応し、そのぶんを消費者が払うことになります。
影響は完成品にとどまりません。宮武さんによると、関税は中国から輸入する部品や素材にもかかるため、テスラやフォードなどの自動車会社が鉄、銅、アルミニウムを輸入するときも価格が上がります。
部品・素材に関税
中国からの鉄・銅・アルミニウムなどが値上がりする
米国メーカーのコスト増
テスラなどはより高い素材コストを払い、より高く売る必要がある
中国メーカーは影響なし
BYDは部品を中国国内で生産しているため関税がかからない
競争力の逆転
結果的にBYDの競争優位が増す可能性がある
宮武さんは、トランプ政権の考えはわからないとしつつ、関税強化がアメリカにとって本当にポジティブなのかはエコノミストの間で議論されていると話します。関税は必ずしも自国に有利に働くとは限らないというのが、この話の要点です。
アメリカ国内で生産するオンショアリングは徐々に増えるだろうと宮武さんは見ています。ただし施設や技術面がまだ整っていません。中国は今や安いものだけでなく高度な製品まで作る世界トップレベルの製造拠点で、アメリカが同じように真似できるかが問われていると指摘しています。
トランプ大統領が関税の理由に挙げたのは、カナダ・メキシコ・中国からのフェンタニル流入です。宮武さんは、毎日400万個の小包はほとんどチェックできず、そこに紛れ込む問題は実際にあるため、その点では一理あると話しています。
ルカ・ドンチッチのレイカーズ移籍はなぜ衝撃だったのか
最後は宮武さんによるバスケのニュースです。25歳の若手スターで、前年にファイナルまで進んだルカ・ドンチッチ選手が、ダラス・マーベリックスからLAレイカーズへトレードされました。
宮武さんによると、どのNBAファンも衝撃を受けたのは、トレードの釣り合いが取れていないように見えたからです。ダラスに来た2〜3人の中にスター選手が1人いますが、その選手は31歳です。
25歳のスーパースター。7〜8年、場合によっては10年ほど活躍が見込める
非常に良い選手だが31歳。ピークは32〜33歳ごろまでとされ、時間が限られる
トレードの第一報は、移籍情報を最速で伝える有名記者のツイートでした。宮武さんによると、あまりに衝撃的で誰も信じず、冗談かアカウントのハックだと全員が思ったため、記者は「これは本当」と再度ツイートしなければなりませんでした。
草野さんは、事前にリークされなかったことにも驚きます。宮武さんによると、話はダラスとレイカーズのGM同士だけで決まりました。本来は複数チームと交渉して条件を競わせるのが一般的なため、せめてドラフト指名権をもっと得られたのではないかという批判はフェアだと話しています。
陰謀論が飛び交う中、選手たちが受け取った教訓とは
このトレードをめぐっては、さまざまな陰謀論が出ています。ダラスとルカ選手の関係悪化、怪我の多さ、最近の体重増加、ディフェンスへの評価などが理由として取り沙汰されています。
宮武さんが個人的に「これなのかも」と感じているのは、ダラスのオーナー側の問題です。チームはラスベガス移転の噂もあり、オーナーシップも最近変わっています。かつてのオーナーで、テック業界でも知られるマーク・キューバン氏は持ち分の半分以上を売却しており、今回のトレードについて知らされていなかったといいます。
草野さんは、リークの多さで知られるMetaのザッカーバーグ氏も見習うべきだと冗談を交えます。宮武さんは、1週間以上たっても理屈が合わないトレードだと話しています。
ルカ選手自身はトレードを拒否する権利を契約に盛り込んでおらず、事前に知らされてもいませんでした。NBAではほとんどの選手がその権利を持っていないそうです。記者会見でルカ選手は驚いたと話しており、最近ダラスで1500万ドルの家を買ったばかりでした。
(家を買ったのにトレードされたのは)それやばいですね。
宮武さんによると、このトレードを見て多くのNBAスターが驚き、試合中にスマホを取り出して確認する選手もいたといいます。スーパースターでも安全ではないというのが、選手たちの共通した受け止めでした。
バスケの話を聞きたいという声もあるため、今後はニュース回でバスケのハイライトを差し込みたいと二人は話しています。最後に草野さんは、10〜15分ほどで答えられるアンケートへの協力をあらためて呼びかけました。
まとめ
この回では、スーパーボウルのCMの工夫から、トランプ関税とデミニミス免除停止が中国ECや米国企業に及ぼす影響、そしてルカ・ドンチッチ移籍が示したNBAのビジネスとしての厳しさまでが語られました。
- スーパーボウルは1億人以上が観る大会で、30秒の枠は最大800万ドル。OpenAIの初CMはテック界隈とマーケターで評価が分かれた
- デミニミス免除の対象は毎日400万個、米国の貨物の92%に及び、チェック体制が整うまで停止は一時保留になっている
- 影響はSHEINとTemuにとどまらず、Amazon、Shopify、Metaの広告事業、さらに部品関税を通じて米国の自動車メーカーにも及ぶ
- ルカ・ドンチッチのトレードは釣り合いの悪さと秘密裏の交渉で衝撃を呼び、スターでも安全ではないことを示した


