歯磨きアプリ「たのしくはみがき」が生まれた理由
今回マナミさんが開発したのは、歯磨きを応援するアプリ「たのしくはみがき」です。きっかけは、多くの家庭で共通する「子供が歯磨きを嫌がる」という悩みでした。歯磨きするよと声をかけても来ない、逃げる、やっと座っても長い時間はさせてくれない。しかもこれが朝と夜、そして子供の人数分あるとなると、負担は一気に大きくなります。
このアプリでは、LINEスタンプでおなじみのダジャレキャラクターたちが、1分もかからないくらいの短い音楽を流してくれます。映像もついていますが、オフにすることも可能です。子供は楽しい歌を聴いたり歌ったりしながら、その間に歯磨きを済ませてしまえる、という仕組みです。
これは我が家の緊急事態でもあったので。
シールのチューニングとアップデートの試行錯誤
このアプリには、歯磨きが終わるとご褒美シールが貯まる仕組みが用意されています。子供のモチベーションを保つ工夫ですが、ここで一つ問題が浮かびました。元々LINEスタンプの原画を素材に使っているため、シールの中にネガティブな表現のキャラクターも混ざっていたのです。
「悲しいたけ」や「怒りんご」といったキャラクターがランダムで当たっても、子供はあまり嬉しくありません。そこでマナミさんは、ネガティブ表現のものはもらえるシールに含まれないよう調整しました。基本はポジティブな表現を中心にしつつ、「お寿司」くらいなら時折入ってもいいかな、という細やかなチューニングです。
この時点でアップデートはすでに3回目。子供が見たときの反応を見ながら「これはちょっとイマイチだな」と気づいた点を、開発者として自分で改善できるのが良いところだとマナミさんは語ります。細かすぎて伝わらないような点でも、自分の判断で変えられるのがアプリ開発の魅力です。
「自分が使いたいもの」を作るという開発姿勢
マナミさんが大切にしているのは、「他の人にニーズがあるか」「役に立つか」よりも、まず「自分がとにかく使いたいものか」「我が子が見たとき・使ったときにどうか」という視点です。この基準で作った方が、アプリ開発はうまくいく気がすると振り返ります。
この姿勢は、公開後の反応にもつながりました。インスタグラムで「こんなの作ってみたよ」と投稿したところ、意外なほど反応をもらえたそうです。夫婦それぞれのスマホにすぐアプリを入れて使ったり、「早速シールゲットしました」とスクリーンショットを送ってくれる人もいました。
アプリの良いところは、ウェブアプリも含めて、スマホやiPadなど好きなデバイスに入れられる点だとマナミさんは言います。育児アプリというテーマだったこともあってか、インスタのフォロワーから温かいフィードバックをもらえたことを素直に喜んでいました。
子供のためにやってあげても喜ばれない問題
話は子育ての本質的な部分にも及びます。SNSでよく見かけるのが、「子供が喜ぶと思ってやったのに喜んでくれなかった」という投稿です。マナミさんは以前から、音声配信やnoteでこのテーマを発信し、「目から鱗だった」という反応をたくさんもらってきたと言います。
その主張は明快です。「子供のために」と思って何かをするのは、あまりおすすめしないというもの。特にお出かけ系がそうで、子供が喜ぶからとイオンや動物園、遊園地に行くのではなく、親がやりたいことに子供を巻き込むくらいの姿勢がちょうどいい、という考え方です。
子供が喜ぶと思って、動物園や遊園地に連れて行く(→喜ばれずガッカリしがち)
親が動物を見て癒されたい、そこに子供を巻き込むくらいの自分本位な発想で動く
時間もお金もかけて「やってあげたのに」報われない、という状況はマジで多い。そう感じるからこそ、自分本位で動いた方がいいというのがマナミさんの持論です。少し過激に聞こえるかもしれませんが、期待と結果のギャップに疲れてしまう親にとっては、肩の力を抜くヒントになりそうです。
次に作っている時計・タイマーアプリ
マナミさんの開発は歯磨きアプリだけにとどまりません。今取り組んでいるのが、時計系のアプリです。一つは、スマホの全画面がデジタル時計になる「無限時計」というアプリからヒントを得たもの。そこにダジャレキャラクターがちょこっと出てくるデザインを考えているそうです。
もう一つは、残り時間を色の面積で見せる「実感タイマー」風のアプリです。例えば60分のタイマーを設定すると、30分で半円ほどが色で埋まり、そこから20分、10分と色がどんどん減っていく。あとどれくらいで時間が終わるのかが、数字が読めなくても直感的にわかる仕組みです。
このタイマーは、お片付けの時間、テレビやゲームの時間、「この時間になったらママが手伝えるからね」といった声かけなど、親子のコミュニケーションに使える設計を目指しています。マナミさん自身、アナログの実感タイマーを使って「色がなくなったらテレビ見ようね」「むしろやめようね」と伝えてきた経験が土台になっています。自分がスマホを使っていることが多いので、実際に使うならiPadが多いかな、とも話していました。
悩みを子供ではなくアプリの仕様で解決する発想
マナミさんの開発の根っこには、独特の問題解決アプローチがあります。子供に直接あれこれ働きかけて変えようとするのは、とても難しい。でも、間にツールやアプリを挟むことで、試行錯誤の視点がアプリの方に向かうのです。
子供に直接働きかけて変えようとする(真っ向勝負で難しい)
アプリの仕様を変える。こう変えたら子供が動くのでは、親が楽になるのでは、と工夫する
「こういう風に変えたら子供が動くんじゃないか」「こう変えたら親が楽なんじゃないか」を、自分と子供のケースに合わせて考えながら作る。この方法の方が、マナミさん自身にとってはずっと楽なのだと言います。実際、歯磨きアプリは子供たちのお気に入りになり、「ごしごしごしごし」という歌を覚えて歌ったり、どのボタンで始まるかも覚えたそうです。
子供に絶対スマホを触らせたくないというマナミさんも、この歯磨きアプリのときだけはOKにして、「ここのボタンを押したら始まるよ」と伝えて使わせているそうです。日常のバタバタや子育ての難しさに悩みながらも、自分の好きなこと・やれることを少しでも進めることが、今の救いになっているといいます。
まとめ
今回は、マナミさんが子育ての切実な悩みを起点に、自分の手でアプリを作り出していく過程が語られました。歯磨きアプリ「たのしくはみがき」から時計・タイマーアプリまで、共通するのは「今の自分と子供に必要なものを、自分本位で作る」という一貫した姿勢です。
子供を直接変えようとするのではなく、間にツールを挟んで解決の視点を移す。この発想は、子育てに疲れを感じている人にとっても、新しい選択肢のヒントになるかもしれません。夏休みやイレギュラーな予定が続く時期でも、発信を止めないことが自分を救う、とマナミさんは語っていました。
- 歯磨き応援アプリ「たのしくはみがき」は、ダジャレキャラクターの歌と映像、ご褒美シールで子供の歯磨きをサポートする
- ネガティブ表現のシールを除外するなど、子供の反応を見ながら細かくアップデートを重ねている
- 「他人のニーズ」より「自分が使いたいか・我が子がどう反応するか」を基準に開発している
- 「子供のために」やってあげるより、親のやりたいことに子供を巻き込む発想がラクという子育て観
- 次はダジャレキャラクター付きの時計アプリや、残り時間を色で見せる実感タイマー風アプリを開発中
- 子供を直接変えるのではなく「アプリの仕様」を工夫して悩みを解決するアプローチをとっている
