質問「牛ってずっとミルクを出し続けるの?」
今回のお便りは、あるアプリのリスナー「もぐらさん」から寄せられた質問です。
牛ってずっとミルクを出し続けるの?
シンプルながら、多くの人が疑問に思うテーマだと川上さんは話します。
いろんな人が疑問に思うんですけど、正解はよくわからない。そんな質問なんじゃないでしょうか。
細かく説明する機会がなかなかないため、今回は丁寧に答えていきます。
結論はミルクの出る条件から
川上さんの結論は明快です。牛はずっとミルクを出し続けるわけではありません。
ミルクが出るには条件があります。最も大事なのは、牛は出産して初めてミルクが出るという点です。これは人間と同じだと説明されています。
妊娠から出産という流れがあって、初めて泌乳が始まります。
大きくなれば雄でも雌でも乳が出ると思われがちですが、そうではありません。
乳牛が雄でも雌でも大きくなればお乳が出るみたいなことも思われている方も結構おられるんですけど、何もしなくても出続けるわけではありません。
泌乳と乾乳、牛にも休む期間がある
出産後、ミルクは約十ヶ月ほど出続けます。ただし個体差があり、時間とともに量は減っていきます。
この期間を泌乳期間と呼びます。量が減ると、酪農では次の出産に向けて牛を妊娠させ、準備を進めていきます。
そして、ミルクを出さずに休む期間もあります。これを乾乳期と言います。
出産の約二ヶ月前からミルクを止め、体を回復させたり次の出産に備えたりします。
つまり乳牛は、ずっとお乳を出し続けているわけではないのです。
「無理やり出させている」は誤解
よくある誤解として、「ずっと絞られているから出ている」「無理やり出させている」という見方があります。川上さんはこれは違うと話します。
出産によってホルモンが働き、ミルクが作られます。搾乳は出ているものを出しているだけだと説明されています。
酪農の現場では、出産、泌乳、乾乳、そしてまた出産というサイクルで牛と向き合い、牛の体に合わせたリズムで進めているといいます。
夏の猛暑と牛乳の需給バランス
牛には休む期間や乳量が減る期間があります。それでも一年中安定して牛乳を届けるため、酪農家はさまざまな工夫をしています。
妊娠の時期をコントロールしたり、北海道などほかの牧場から牛を買ってきて生産量を落とさないようにしたりしていると話されています。
こうした技術や品種改良の積み重ねによって、いつでも牛乳が飲める環境が成り立っています。
一方で、近年は夏の猛暑が課題になっています。暑さのため夏には牛が受胎しにくく、分娩が秋から年末に固まってしまうのです。
その結果、夏に牛乳が足りず、冬に余るという需給の偏りが起きています。
酪農家は暑熱対策として、牛舎に換気扇や扇風機、細霧装置をつけたり、屋根に散水したり遮熱塗料を塗ったりと努力を続けています。
いろんなことを努力して、それでも皆さんが毎日牛乳飲めるような環境を一生懸命作ってるんで、そういうバックグラウンドを知って牛乳を飲んでもらえると嬉しいなと思います。
夏休みや春休み、冬休みには需要と供給のバランスが崩れやすいため、そうした背景を知って飲んでほしいと呼びかけています。
まとめ
牛はずっとミルクを出し続けるわけではなく、出産・泌乳・乾乳というサイクルの中で乳を出しています。搾乳は出ているものを絞っているだけで、無理やり出させているわけではないという点が今回のポイントです。
- 牛は出産して初めてミルクが出て、泌乳は約10ヶ月続く
- 出産の約2ヶ月前には乳を止めて休ませる乾乳期がある
- 搾乳はホルモンで作られた乳を出しているだけで、無理やりではない
- 夏の猛暑で分娩が偏り、夏に牛乳が足りず冬に余る需給の課題がある
- 酪農家は暑熱対策や妊娠時期の調整で通年供給を支えている
