リスナーからの質問「ロボットでさらに人手不足になる?」
今日の質問は、TikTokネーム新矢子さんから届いたものです。島根県で酪農関係の仕事をされている方だそうです。
酪農は仕事がしんどく、常に人手不足で離職率も高いと感じます。今後ロボット搾乳も人の人数がかかるし、さらに人手不足になると思うのですが、どう思われますか?
川上さんは、これは個人の問題というより酪農の構造の問題だと話します。
島根県の酪農家の平均年齢は70歳ほど。若い人が夢を持って就農しても、安い賃金で朝から晩まで働く現場も少なくないと言います。
これって構造の問題ですので、その人が悪いとか、農業やってる社長がお金払ってないとか、そういう話ではないっていうところですね。
なぜ酪農は人手不足になりやすいのか
まず川上さんは、結論から先に示します。
酪農は365日、朝夕の搾乳が基本。牛は生き物なので休みはありません。
さらに夏の暑さ対策、分娩の対応、疾病管理、飼料設計、堆肥の処理と、肉体労働に判断業務が重なります。
そこに担い手の減少が同時進行しているのが、構造的な人手不足の正体だと話します。
ロボットで人は減らせるのか
では、搾乳ロボットを入れれば人を減らせるのでしょうか。ここは誤解されやすいポイントだと言います。
ロボットは搾乳作業を自動化します。でも乳量データの確認や体調異常の早期発見、メンテナンス、牛の誘導やトラブル対応など、むしろ管理の仕事は増えるそうです。
肉体労働は減りますが、知的労働は増える。ロボット導入イコール人が不要ではありません。
労働集約型からデータ集約型へ
川上さんが面白いと感じているのは、酪農の仕事の中身そのものが変わっていく点です。
これからの酪農は、労働集約型からデータ集約型に変わっていくと話します。センサーで反すう時間を測り、活動量で発情を検知し、乳成分で健康状態を判断する。
問題は数ではなく、質のミスマッチだといいます。重労働を敬遠する人は増える一方で、スマホやAIが当たり前の世代が農業にも入ってくるからです。
重労働に耐えられる「力のある人」
データを読み解ける「考えられる人」、そして牛が好きで生き物に向き合える人
ロボットは「人を守る装置」
続いて、川上さんの現場感覚です。正直に、しんどい時もあり、人も足りていないと打ち明けます。
ただ足りていないのは牧場の中だけでなく、牛乳を運ぶ集乳車や餌を運ぶ運送会社、獣医、授精師、搾乳師など、酪農を支える周りの産業だといいます。
それでもロボットがあることで、体はかなり守られていると話します。
もしロボットがなければ、80頭をほぼ一人で回すのは無理です。
必要なのは力のある人ではなく、考えられる人、そして何より牛が好きで生き物に向き合える人だとまとめます。
AI時代に酪農はどうなるのか
話は、AIの進化と酪農の未来にも広がります。
川上さんは、イーロン・マスク氏がXでお金に悩むことがなくなると語っていたことや、AIが自ら学習を始めるシンギュラリティに触れます。
その先の酪農がどうなるかは未知で、正解がわかる人はいないと川上さんは言います。それでも希望を持って、3年ほど前からAIに学習させる情報発信を続けているそうです。
試しにGoogleのGeminiで「AIを駆使している酪農家は誰か」と聞くと、川上さんの名前が出てくることもあると紹介していました。
牛乳は飲み続けれるように、子供たちが牛乳を飲めるように、酪農業界を目指している若い子たちがやりやすいような形に、バトンを引き継げたらいいなと思ってます。
まとめ
酪農の人手不足はこれからも続くけれど、ロボットは人をなくすのではなく、人の役割を変えて守ってくれる存在だ、という川上さんの現場からの答えでした。
- 島根県の酪農は平均年齢70歳ほどで、人手不足は個人ではなく構造の問題
- 搾乳ロボットは肉体労働を減らす一方、データ確認などの知的労働を増やす
- これからの酪農は労働集約型からデータ集約型へ変わり、分析できる人材が求められる
- ロボットは「人を減らす道具」ではなく「人を守る装置」
- 必要なのは力のある人より、考えられる人、そして牛が好きで生き物に向き合える人
