今日の牧場と牛乳で乾杯
配信は7月12日の日曜日。最高気温34度の晴れという真夏日で、川上さんはこの日の仕事として育成牛舎の掃除、種付け1頭、生まれた子牛への耳標牛の耳に付ける個体識別番号のタグ。日本ではすべての牛に装着が義務付けられており、トレーサビリティ(生産履歴の追跡)の基礎になる。装着やワクチン接種などを予定していると話します。翌週には子牛の家畜市場も控えているとのことでした。
川上さんは牛乳を飲みながら「うまい、マジうまい。なんでこれ飲まない人がいるのかって思うぐらい上手い」と乾杯。夏場は生産量が落ちるため、地域によっては牛乳が品薄になる可能性にも触れました。
牛乳がなかったら乳飲料。手を離した瞬間になくなってしまいます。それぐらい危機的状況です。
映画『羊探偵団』と動物描写のリアル
アマプラで『羊探偵団』を見ました。アスファルトの道を怖がる場面があるけれど、牛はいつもと違うことをすごく怖がる。羊たちも同じように怖がって、でも大好きな飼い主のために乗り越える場面にすごく感動しました。
川上さんもこの映画が気になっていたそうで、「時間が空いた時に見させてもらおう」とコメント。アスファルトの道を怖がる描写について、牛にも同じ「あるある」があると共感します。動物を扱った映画では実際にはあり得ない描写もあるなかで、生き物としてリアルに描かれている点を評価しました。
あわせて、同じメープルさんからの「牛も糖尿病になるの?」という別コメントにも回答。川上さん自身は酪農をやってきて糖尿病の牛は見たことがなく、非常に稀なケースだろうと答えました。「牛乳は牛の健康診断書でもある」というメープルさんの言葉にも「確かにその通り」と同意しています。
牛乳の旬と美味しい飲み方
牛乳はいつでも買えるから、旬があるなんて知りませんでした。牛乳だけ飲むより、何かと割ったりコーヒーに入れて飲むことが多いです。ちゃんとありがたく味わっていただきたいと思います。
川上さんは、いろんな飲み方を楽しんでほしいと応じつつ、おすすめの飲み方を紹介しました。挙げたのは黒ゴマきな粉を使った「黒ゴマラテ」と、ボスの「チャイティーラテ」。
牛乳は鉄分やタンパク質がもう少し欲しい飲み物だと川上さんは言い、黒ゴマラテのように栄養を補いながら美味しく飲める組み合わせを勧めていました。
北海道依存という日本酪農の弱点
北海道は近いうちに千島海溝沿いの巨大地震が来るとも言われているので、北海道があるから大丈夫ではないですよね。釧路や苫小牧の港が津波被害にあったら、本州へ牛乳を運べなくなるので。
このコメントに川上さんは、日本の酪農が置かれた構造的な問題を語ります。酪農家の件数はもうすぐ9,000件を切り、8,000件台に入ろうとしている状況。そのうち約6割が北海道に集中しており、生産量では北海道が日本全体の6〜7割を占めているといいます。
つまり、もし北海道で大きな災害が起きれば、日本の牛乳の需給は崩壊しかねない。だからこそ川上さんは、各地域の特色ある地元の牛乳と酪農家を守っていく必要があると訴えます。
スーパーで地元の牛乳と北海道の牛乳が並び、北海道産が安く売られていることもありますが、そこには送料や運搬の手間が上乗せされていると説明します。牛乳の原価自体は安く、運べば運ぶほど運賃がかさむジレンマがあるとのこと。牛乳は農産物であり鮮度が命だからこそ、地元の牛乳を選んでほしいと呼びかけました。
牛乳で背は伸びるのか
(牛乳で背は伸びるの?という投稿に対して)シンプルに「伸びません」。
「牛乳だけでは伸びない」という趣旨の投稿だったため、川上さんは「その通りなんです」と認めます。身長は遺伝や環境、普段の食生活によって変わるもので、牛乳を飲むだけで伸ばすことはできないと解説しました。
運動や食生活、そして睡眠をうまく活用したうえで、そこに牛乳を取り入れる。それでも「伸びる人は伸びる、伸びない人は伸びない」というのが川上さんの結論でした。
子牛「さくらちゃん」誕生
女の子おめでとうございます。お名前は何になるのかな?
先日生まれた子牛は女の子。母牛は「ハイパーループ」という日本の国産種牛(総合評価3,300ほど)で、そこに「マクローリン」の種を付けて生まれたそうです。川上さんはNTPNet Merit(正味利益指数)などの遺伝評価指標を指すと思われる。牛の乳量・健康・繁殖性などを総合し、経済的な価値を数値化したもの。数値が高いほど能力の高い牛と期待される。3,000超えや高いネットメリットを期待し、「骨太のゴツゴツした、絞れそうな牛」と楽しみそうに語りました。
名前はTikTokライブでリスナーと相談して決定し、「さくらちゃん」に。6月生まれなのに桜?と思われそうですが、「響きがいいから」という理由だそうです。牧場ではこれで3頭目の「さくらちゃん」になりますが、実際の管理は個体識別番号で行うため、名前が重複しても問題ないとのことでした。
「牛は撫でられたい」への酪農家の答え
人間が手をかけてこそ生まれるものがあると私は思います。牛だって声をかけられたいし、撫でられたい。人間にしかやってあげられないことがある……。
この心温まるコメントに対し、川上さんは意外にも異なる立場を、正直に語りました。AIやDX、スマート農業が進み、人間が手をかけなくても牛を育て牛乳を生産できる酪農場が海外では一般的になり、日本でも始まっています。そのうえで川上さんは「人間が手をかけることはなくてもいいんじゃないか」と考えているといいます。
人間が手をかけてこそ生まれるものがある。牛は声をかけられたい、撫でられたい。
人間はなるべく介入しない。快適な環境を作れば、牛は勝手にのびのび育ち能力を発揮する。
川上さんによれば、人間の手が必要なのは種付けと治療くらい。ハイテク化してデータ管理すれば病気になる牛も減らせるといいます。人間が牛に介入しないほうが、この子たちにとってはいいのではないか──そう考える川上さんは、あえて牛舎にあまりいないようにしているそうです。
牛が自分たちでのびのび暮らせる快適な環境を作ってあげるだけ。それだけをすれば、勝手に牛は大きく育ってくれるし、自分の能力を発揮してくれる。
川上さん自身も、消費者の多くは「手をかけて、いつも牛を気にかけている牛乳のほうが美味しい、飲みたい」と感じるだろうと理解しています。それでも自分は、牛本来の姿を大切にし、あまり人間が介入せずにきっちり分けてあげる飼い方をしていると明言しました。
「牛は撫でられたい」という優しいコメントに、あえて自分の異なる考えを正直に返す。この率直さこそ、この回のいちばんの聴きどころでした。
まとめ
今回のコメント返し回は、映画の動物描写から牛乳の需給構造、そして牛との向き合い方まで、リスナーの声をきっかけに酪農の幅広いテーマが語られました。特に「牛は撫でられたい」への回答では、川上さんが世間のイメージとは違う自分の飼育方針を隠さずに伝えており、酪農家それぞれの哲学があることが伝わってきます。
また、北海道に生産が集中する日本酪農の構造的リスクにも触れ、地元の牛乳を選ぶことの意味を改めて考えさせられる内容でした。夏場の品薄が懸念されるなか、「牛乳製品から手を離さないで」という川上さんのメッセージが印象的です。
- 夏場は牛乳の生産量が落ち、地域によっては品薄になる。牛乳製品から手を離さないことが酪農を守ることにつながる
- 日本の酪農家件数は約9,000件を切る水準で、生産量の6〜7割が北海道に集中。災害リスクを考えると地元の牛乳を選ぶ意味が大きい
- 牛乳だけで身長は伸びない。遺伝・環境・食生活・運動・睡眠が大切で、そこに牛乳を取り入れるのがよい
- 川上さんは「人間が牛に介入しないほうがいい」という考えで、快適な環境づくりに徹し、あえて牛舎にあまりいない飼い方をしている
- 新しく生まれた子牛は、リスナーと相談して「さくらちゃん」と命名された
