昆虫食を取り上げるきっかけになったニュースとは
この回で川上さんが取り上げたのは、AIがまとめたニュースです。テーマは、食用コオロギ企業の自己破産に関する報道でした。
話題になったのは、徳島大学発のスタートアップ「グリラス」です。食用コオロギの養殖と商品開発を手がけていた企業でした。
コオロギは環境への負担が少なく、高タンパクな食材として注目されていて、グリラスもその可能性を追いかけていました。
ところがグリラスは2024年11月に自己破産を申請します。その背景には、消費者の抵抗感や、SNS上でのデマの拡散があったと報じられています。
「子供に虫を食べさせるのか」批判が招いた炎上
特に批判が集中したのは、学校給食でのコオロギ商品の提供でした。「子供に虫を食べさせるのか」という声が殺到し、企業イメージが悪くなっていきました。
グリラスはこうしたデマに対して法的措置を取らず、結果として炎上が加速し、事業を続けるのが難しくなったと報じられています。
この出来事は、昆虫食を広めるうえでの課題を浮き彫りにしました。消費者の理解を深める教育や、正確な情報発信の大切さがあらためて意識されるきっかけになったと言えます。
川上さんは、この結果を残念なものとして受け止めています。というのも、川上さん自身が昆虫食の推進派だからです。
僕は昆虫食推進派ですね。農業をやっていると、本当に食料危機の問題をもう真っ先に感じているので。
ただ、日本での失敗例だけを見て終わらせたくない、という思いから、川上さんは海外の成功事例も調べてもらったと話します。
海外ではどう活かされている?昆虫食の成功事例
ここから川上さんは、AIに調べてもらった海外の事例を紹介していきます。日本の失敗例とは対照的な取り組みが並びます。
まずタイでは、食品廃棄物を餌にアメリカミズアブを育て、魚用の飼料やペットフードを作る企業があります。廃棄物の再利用と、栄養価の高い飼料の生産が同時に実現しているそうです。
アフリカの一部地域では、家庭の生ゴミや農業廃棄物を餌に昆虫を育て、その廃棄物を有機肥料として活用する取り組みが行われています。食料・飼料・肥料の生産がつながり、食料安全保障の強化にも役立っているそうです。
ヨーロッパのEUでは、タンパク質飼料の自給率を上げることや持続可能性への貢献を目的に、昆虫の飼料利用が注目されています。多額の投資が行われ、研究と実用化が進められているとのことです。
日本でも昆虫飼料の研究は進んでいて、アメリカミズアブを使った、魚粉も魚油も使わない配合飼料でマダイを育てることに成功しているそうです。
廃棄物
食品廃棄物や生ゴミ、農業廃棄物が出る
昆虫が食べる
アメリカミズアブなどの昆虫が廃棄物を餌に育つ
飼料・肥料に
育った昆虫が家畜や魚の飼料に、残った廃棄物が有機肥料になる
学校給食での提供に何が起きたのか
成功事例と比べたうえで、川上さんは今回の学校給食の取り組みそのものは良いものだった、と振り返ります。今後の食料を考えるきっかけを子供たちに伝える意味があったからです。
一方で、その取り組みを見た一部の人が、切り取って批判につなげてしまったと話します。
さらに、昆虫には甲殻アレルギーの問題もあります。給食ではエビやカニなどはほとんど使われていないため、そこにも慎重さが必要になる面があると触れています。
川上さんによれば、家庭科の調理でコロッケに混ぜて作ったものがニュースになった事例もあったそうです。ただ、これは別の企業だったかもしれない、と記憶をたどりながら話しています。
いずれにせよ、こうした取り組みが炎上し、失敗事例として広まってしまったことを、川上さんは悲しいニュースとして受け止めています。
日本の食品残渣が「循環」の鍵になる理由
昆虫粉は、今のところ牛の飼料としてはほとんど使われていません。ただ海外では、魚や鶏、豚などに魚粉や昆虫粉が使われている例があるそうです。
そのうえで川上さんが注目するのが、日本で出る食品残渣の多さです。コンビニやスーパーでは、いっぱい捨てられているものがありますよね。
その食品残渣を昆虫に食べさせ、その昆虫を家畜に食べさせる。そうした循環ができれば、ものすごくいいと川上さんは考えています。
だからこそ川上さんは、消費者の理解が進み、新しい取り組みを頑張っている企業を応援する文化が日本に育ってほしい、と願いを語りました。
新しい取り組みを頑張ってる企業を応援する、そういう文化が日本にできてくれたら嬉しいなと思うところでございます。
リスナーからの質問と、命の教育の橋渡し
この回では、Spotifyで初めてついたコメントも紹介されました。取り上げたのは、屠畜を見せるか見せないか、命と教育の橋渡しを大人がどう担うのかというテーマの配信についたコメントです。
面白いレストランがあるんですね。ドッキリ。母親としてはいきなり連れて行きたくないですね。中学生でもギリギリ連れて行けるか悩みますね。
この声に対して川上さんは、共感を示しつつも、人生経験や教育の一環として見てほしい、というのが個人的な思いだと話します。
そのうえで大事にしているのが「ステップ」です。いきなりではなく、段階を踏むための入り口として、川上牧場のYouTubeを紹介していました。
川上牧場のYouTubeには、高校生のインターン生や研修生とのやりとりをまとめた「夏休み子供酪農相談室」があります。「牛さんにどうやってお乳を飲ませるんですか」といった子供向けの内容もあるので、まずはそうした配信から段階的に触れてみてほしい、という提案です。
画質はあまり良くないので、音声だけでも聞いてみてほしい、と川上さんは笑いを交えて案内していました。お子さんの質問もコメント欄で受け付けているそうです。
まとめ
昆虫食企業の破産という残念なニュースをきっかけに、川上さんは海外の成功事例と日本ならではの課題を酪農家目線で語りました。食料危機を身近に感じる立場から、消費者の理解と、挑戦する企業を応援する文化の大切さが伝わる回でした。
- 食用コオロギ企業グリラスは、消費者の抵抗感やSNS上のデマを背景に2024年11月に自己破産を申請した
- 海外ではアメリカミズアブなどを使い、廃棄物を飼料や肥料に変える循環の取り組みが進んでいる
- 日本は食品残渣が多く、それを昆虫、家畜へとつなぐ循環に大きな可能性があると川上さんは考えている
- 命や食の教育は「ステップ」が大事で、その入り口として川上牧場のYouTubeが紹介された


