大晦日の朝も牛乳を出荷、恒例の総集編スタート
配信はいつもの朝の挨拶から始まります。舞台は島根県出雲市にある小さな牧場です。
この日は12月31日、大晦日。2025年の最終日です。世の中が年末年始のお休みに入るなか、酪農家の川上さんはこの日もいつも通り牛乳を出荷したと話します。
今日もえー、しっかりとね、牛乳を出荷させていただきましたよ。何事もなくね、乳搾りが終わって、一回区切りができたかなというところですね
川上牧場の配信は今年で3年目。毎年大晦日に1年の振り返りをしているそうで、今回は「川上牧場2025総集編」としてお届けします。
振り返りの前に、まずは今年最後の牛乳での乾杯。1年間、毎日牛乳を飲んでくれた人たちへの感謝が語られます。
皆さんが飲んでいるおかげで酪農を続けることができたと思っております。引き続き2026もですね、飲んでいただけたら嬉しいなと
概要欄には、XのAIで1月から12月までの投稿をまとめたリンクが用意されているので、それを見ながら聞くとより楽しめる、と案内されています。
1月〜2月、支援制度・AIプロジェクト・毎日配信の始動
まず1月。島根県の酪農教育ファーム活動の支援事業が始まったことが挙げられます。
これまで出雲地区では、体験に来た子供たちへの牛乳費用などに補助が当てられる程度でしたが、教育ファームに取り組む牧場からの声を集めた結果、活動すればそれだけ支援が受けられる形になったといいます。
これ本当に道のりとしては長かったんですよ。やっとできたなっていうところが2025年の1月ですね
続いて、ゲノム編集などのテクノロジーで日本の水田を「油田に変えよう」というプロジェクト、JBCNのコアメンバーになったことも。この活動をきっかけに、2026年は社会実装に向けて動き始めるそうです。
そしてこの年の大きな柱が、ポッドキャストの毎日配信のスタートです。ちょうどChatGPTが進化し、台本やSNSの投稿文を高い精度で作れるようになったことが後押しになったといいます。
今日の配信で330回ですね、1年間で。他にも一日2本撮りとか、他の動画配信アプリでもやってるんで、まあ毎日やってるような感じです
2月には高校生研修生3人が来牧。高校に通いながらの研修は大変で、月1回ペースの子もいたそうです。この様子は「川上牧場研修生日記」のXアカウントなどで見られます。
また、牛乳の積み上がり解消を目指すスタートアップが、クラウドファンディングで脱脂粉乳から作ったTシャツを販売しており、それを支援したエピソードも紹介されました。
3月〜4月、スタートアップ連携と牧場のリアルな出来事
3月は、水田のメタン抑制や牛の堆肥からカーボンクレジットを生み出すスタートアップ「グリーンカーボン」と、メタグリ研究所をつなげてセミナーを開催しました。
当時はまったく想定していなかったものの、その後、実の妹がこの企業に就職することになり、川上さんは縁のつながりに驚いたと話します。
同じ3月には、加工向け乳価の値上げというニュースも。酪農家の手取りは増えた一方で、ケーキなどの価格上昇を通じて消費が落ちる面もあり、複雑な思いだと語られます。
酪農家の手取りは増えたんですけど、やっぱ消費が落ちてるっていうところがあって、まあ嬉しい反面、ちょっと複雑な思いですね
牛舎に設置した分娩用の監視カメラの映像がプチバズりしたことも。牛の出産時の川上さんの動きを各SNSに上げたところ、TikTokやInstagramで再生数が伸びたそうです。
さらに、日本のランキング上位の血統から子牛が生まれたことは特に嬉しかった出来事として語られます。この子は来年の種付けに進む予定です。
4月には、農水省とメタグリ研究所のプロジェクトが始動。農産物の輸出企業を支援する取り組みにメタグリ研究所が加わり、デザインコンテストにも多くの人が参加したといいます。
一方で、堆肥車の壁が崩壊するという事故も。「メキメキ」と建物が倒れていく様子は本当にきつかったと振り返ります。
あれ、マジでもう酪農終わるんじゃないかって思ったもん。川上牧場。ここから堆肥車半分になりながら堆肥回したんで、よく頑張ったわ
5月〜7月、AI活用と黒毛和牛、そして万博
5月は、川上牧場の黒毛和牛の受精卵から生まれた子牛が、広島・三次市場でトップセールを取ったことが大きな喜びとして語られます。
受精卵移植を始めて6年ほど。品種改良が早すぎて値がつかないのではと言われたものの、兵庫県の肥育牧場が高く評価してくれたそうです。
同じ5月には、Googleの動画生成AIで「牛乳で乾杯」のミュージックビデオを制作。5秒ずつの動画をつなげたもので、今後さらにレベルを上げたいと話します。
6月には酪農雑誌の取材を受けましたが、尖った内容にしすぎたため、掲載内容が実際の取材とかなり違ったといいます。原文はnoteのメンバーシップで読めるそうです。
また、川上牧場初のKindle本「酪農未経験者のために」が発売。研修生シリーズで扱った牛群検定の読み方をまとめたもので、2026年は2冊ほど作りたいと意欲を語ります。
7月には、AIハッカソンで牛乳の需給調整AIシステムと「ミルクモンスター」というアプリを制作してもらいました。消費と生産をつなぐ仕組みで、2026年の社会実装を目指すそうです。
そして家族で万博へ。とにかく暑かったものの、大屋根リングをはじめ楽しめたと振り返ります。
8月〜10月、教育の受け入れと研修生の全共での活躍
8月から10月は、人を受け入れる活動と、その成果が実る出来事が続きます。
新卒の県職員の研修受け入れ、地元スポーツ少年団への牛乳支援、夏休みの県外親子の1週間受け入れなど、食育やふれあいの活動が並びます。
県外から来た中学生親子の受け入れでは、印象的な感想が残ったといいます。
牛乳のこととかじゃなくて、朝日が綺麗ですごい良いなって思ったっていう、こういう感想を言って、またここで繋がりができたらいいなと
9月には、SNSで以前からつながっていた飼料会社と実際に会い、もやし粕や酒粕などの食品副産物を安定して供給してもらえるように。餌代が下がり、牛の調子も良くなったそうです。
同じ9月、JBCNの活動の一環で茨城県の農研機構を視察。ゲノム編集されたお米を目の前にして、社会実装できないもどかしさを強く感じたといいます。
これがあればもう世界中にね、飢餓なんてなくなるんじゃないかなと思ったっていうのが個人的な意見なんで、どんどんこれを進めていけたらいいなと
そして10月、10年ぶりのホルスタイン全共が北海道で開催され、島根県から出品された牛が上位入賞。この舞台で活躍したのが、かつて川上牧場に研修や職場体験で来ていた人たちでした。
出品したリードマンも、裏方を支えたメンバーも、川上牧場に通っていた研修生たち。自分は出品していないものの、彼らの活躍が何より嬉しかったと語ります。
11月〜12月、イベント・品種改良・そして次の1年へ
11月は、豊洲公園で開催された「ミルクフェス2025」で紙芝居を担当。即興で子供たちとやりとりし、YouTubeのチャンネル登録につながった人も多かったといいます。
同じく11月には、家畜改良事業団に勧められた種を使って和牛が誕生。改良スピードの速さに、SNSでは「時空が異次元だ」との反応もあったそうです。
TikTokライブも、リスナーからの情報をきっかけに始めたところ、あっという間にフォロワー1000人を超え、2026年も継続したいと話します。
12月には、4月に壊れた堆肥車がようやく修理完了。ただし収録当日には給餌機のVベルトが切れるなど、設備の不安は続いていると笑います。
4月に壊れたやつが12月に直りました。どんどん直して壊れていくところがあるんで、2026年どうなるんでしょうかね
さらに、9月に農研機構で出会った職員とメタグリ研究所をつなげ、ゲノム編集のセミナーを実現。そのセミナーから研究所に入ってきた人もいたそうです。
最後は、酪農家の後継者向けAIセミナーの講師を務めたこと。ここから2026年3月のセミナーへとつながっており、川上さんは全国からのオファーを待っていると呼びかけます。
1年を振り返り、音声配信を軸にInstagram、X、TikTok、Threadsを動かしてきた結果、再生時間も大きく伸びたといいます。
そのうえで、聞くだけでなく行動につなげてほしいと呼びかけます。
川上牧場の配信は聞くだけではなくて、ぜひアクション、行動にね、つなげていただけたら嬉しいなと。毎日コップ1杯牛乳飲む
まとめ
島根の小さな牧場の1年は、酪農の現場のリアルと、AIや教育、SNSを通した外とのつながりが折り重なった1年でした。堆肥車の崩壊のようなトラブルと、研修生の全共での活躍のような喜びが同居しています。
- 川上牧場は2025年、ポッドキャストの毎日配信を軸にSNS全体で活動を広げた
- AI・ゲノム編集・カーボンクレジットなど、新しい技術を酪農の現場につなげる挑戦が続いた
- 研修生や中学生、県外親子など、人を受け入れる活動が全共での活躍などの形で実を結んだ
- 乳価の上昇や設備トラブルなど、酪農経営のリアルな難しさも率直に語られた
- 2026年は社会実装やセミナー、書籍づくりなど、この年の取り組みを次につなげる方針が示された
