ちいかわ映画の大盛況と、この番組の狙い
映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』の公開を記念した回です。酒井は、映画が話題になる前から島田先生が「ちいかわ」を好きだったことを知っていたと切り出します。
島田先生は、ファンダムの熱量の高さは随一ではないかと話します。酒井も、映画館のチケットサイトで席がほとんど埋まっていたことに驚いたと語ります。
もうほんとファンダムの熱量の高さは随一なんじゃないかと。
一方で酒井は、「ちいかわ」を知る人は二つに分かれると考えています。島田先生のような熱心なファンと、存在は知っていても内容を知らない人たちです。
当然存在は知ってるけど内容全然知らんよっていう。なんならキャラクターだけ、IPとしてのアイコンとしか認識してない気もするし。
そこでこの回では、初心者の素朴な疑問をしらみつぶしにして、映画館に足を運んでもらうことを狙いとしています。
可愛い見た目の裏にある、死と隣り合わせのシビアな世界
まず酒井は、ざっくりした世界観を尋ねます。島田先生は、一見すると日常系に近いものの、かなりシビアな世界だと答えます。
ストーリーっていうストーリーは、日常系に一見近いので、なかなか難しい感じなんだけど、世界観でいうと、かなりシビアな世界。
その厳しさは人間関係ではなく、環境にあると言います。草や花が生える一見平和な場所ですが、実は死と隣り合わせだと語られます。
普通に草とか生えたり、花とかそういうとこなんだけど、まあ結構もう死と隣り合わせ。本当にもうやばいのよ。
キャラクターには性別すら明示されていません。そして、この世界には「労働」が存在します。
二大労働「草むしり」と「討伐」、そして討伐の相手
島田先生によれば、労働の中心は二つあります。ひとつは貴重な草を集める「採取(草むしり)」、もうひとつが「討伐」です。
討伐という言葉に、酒井さんは急に面白そうだと反応します。討伐対象が存在するということは、それだけ危険な相手がいることを意味します。
酒井はこの厳しさを、理不尽な巨人が現れる進撃の巨人壁の外から現れる巨人と人類の戦いを描いた漫画・アニメ作品。過酷でシビアな世界観で知られる。に例えます。島田先生も、それくらいの厳しさはあると同意します。
初っ端から厳しいじゃん、あの世界観。理不尽に巨人が現れてさ。
討伐は単騎では歯が立たず、三人一組ほどのチームを組んで臨みます。無事に倒して帰れれば大金がもらえますが、そうでなければ命を落としかねません。
貴重な草などを集める仕事。栗まんじゅう先輩はこの草むしり系をテキパキこなすとされます。
デカツヨなどの対象を倒す仕事。単騎では厳しく、チームで挑む命がけの任務です。
名前を呼ばないメインキャラと、ちいかわ族という総称
酒井は、キャラクターの話に移ります。初期メンバーは、ちいかわ、ハチワレ、うさぎの三人です。
驚くのは、この三人がお互いを名前で呼んでいないという点です。第三者に伝えるときは、吹き出しの中に相手の顔が思い浮かぶだけで、読者には呼び名がわからないと言います。
面白いのがね、名前って呼んでないんよね。
名前がはっきりしないキャラは他にもいて、カブトムシのキャラは「ちいカブ」と呼ぶ人と「カブトムシ」と呼ぶ人に分かれるそうです。
「ちいかわ」は主人公individualの名前であると同時に、二頭身のキャラクターたち全体の総称「ちいかわ族」でもあると説明されます。裏を返せば、ちいかわ族ではない種族もいることになります。
三人の関係はとても良好で、みんな友達です。島田先生は、この「友達」がこの世界のキーワードになると話します。
衣食住の「衣」と、鎧さんという謎の存在
話題は衣食住に移ります。まず「衣」ですが、キャラクターたちはほとんど服を着ていません。思いつくのはラッコのマントくらいだと言います。
その代わり、ポシェットなどの小物は身に着けています。着ぐるみやパジャマ、レインコートを作ってくれる存在もいます。
ここで登場するのが、等身の高い全身鎧の「鎧さん」です。討伐や採取の木札を掲げる受付をしたり、店をやったりしていますが、その正体はよくわかっていません。
酒井は、木札から仕事を探す仕組みをドラクエドラゴンクエスト。RPGの代表作で、酒場などで討伐依頼を受ける展開が知られる。のようだと感じます。島田先生もその通りだと応じます。
鎧さんには複数の個体がいて、それぞれ個性があるようです。ある鎧さんが可愛い服を作ってあげていると、別の鎧さんから意味深な言葉をかけられる場面があります。
別の鎧さんに「ちょっとあんまり仲良くしすぎるなよ」っていう、意味深な単語を投げかけられてるシーンがあって。
この一言から、鎧さんはちいかわ族を管理する存在ではないか、という考察も生まれていると言います。何のために管理しているのか、その上には誰がいるのか、といった余白が読者の考察を呼びます。
衣食住の「食」 湧きどころと栗まんじゅう先輩のグルメ
続いて「食」です。食事はカレーやおにぎり、プリン、フルーツポンチなど、現実世界と同じようなものを食べています。
食べ物は、味噌汁が流れる川のように、自然に湧いてくる「湧きどころ」から得ることもあります。ただし無限に湧くわけではなく、枯れれば次の場所へ移る必要があります。
食にまつわるキャラとして、酒好きで食通の栗まんじゅう先輩が挙げられます。ひと手間を加えた良い食べ合わせを楽しむ姿が印象的で、島田先生自身も真似したことがあると話します。
「ビールのおつまみはこれだよね」とか、そういうの合わせる時に、ちょい一手間、この人は工夫することが多い。
一方で、主人公三人はお酒を飲めません。飲酒には資格証が必要だという設定があり、その意味も含みを持たせているようです。
作中には現実のお店をモデルにした店も登場します。「老」はラーメン二郎、「山」は山岡家がモデルとされ、作者の趣味が反映されています。
衣食住の「住」 一人暮らしと、家が当たった理由
最後は「住」です。キャラクターたちは、ほぼ全員が単身生活を送っています。家族や親、兄弟の描写は一切ありません。
みんな一人で暮らして、一人でやってるっていう世界。
住まいには格差があります。ちいかわは一軒家に住む一方、ハチワレはドアもない横穴の洞窟に、煎餅布団一枚で暮らしています。
そのハチワレの家は、鎧さんが雨宿りで偶然入ったことで、誰かの住まいだと気づかれる場面で描かれます。極貧ながら、稼いだお金を友達の喜ぶ顔のために使うのがハチワレの人柄だと語られます。
島田先生は、この単身生活や家族の不在を、都会の孤独や、働いても豊かにならない現代社会のメタファーとして読む批評もあると紹介します。
では、できない子扱いされることもあるちいかわが、なぜハチワレより良い一軒家に住めるのか。酒井さんは「親ガチャ」と推測しますが、そもそも親がいません。
答えは、懸賞で家が当たったからでした。家の前でピースして写真を撮る場面もあるそうで、それまでどう暮らしていたかは明かされていません。
ラッキーボーイ。
まとめ
可愛い見た目の裏に、討伐や単身生活といったシビアな世界が広がる「ちいかわ」。初心者の素朴な疑問を通じて、その世界観と衣食住、そして考察を呼ぶ余白の魅力が語られました。
- 見た目は可愛いが、環境は死と隣り合わせのシビアな世界観
- 主な労働は「草むしり(採取)」と命がけの「討伐」の二つ
- 初期メンバーの三人は仲が良いが、お互いを名前で呼ばない
- 食事は現実と同じで、食べ物が湧く「湧きどころ」も存在する
- 住まいには格差があり、ちいかわの一軒家は懸賞で当たったもの
