📝 エピソード概要
本エピソードでは、ベンチャーキャピタリスト(VC)の高宮慎一氏が自身の職業について詳しく解説します。VCが富豪ではなく、機関投資家(LP)から資金を預かって運用するプロフェッショナルであるという一般的な誤解を解きながら、その具体的な戦略と役割を深掘りします。特に、投資後の事業支援(バリューアップ)の重要性を強調し、起業家を「クリエイター」と捉え、VCが「編集者」や「プロデューサー」のように協業する戦略的な立ち位置について熱く議論されています。VCの業務が「投資実務」「ファンドマネジメント」「ファーム戦略」という3つのレイヤーで成り立っている構造も明らかにされます。
🎯 主要なトピック
- VCの語源と役割: ベンチャー(挑戦)に投資するキャピタリストという意味を持ち、その起源はコロンブスの航海にまで遡るという説がある。
- VCの資金源と誤解: VCは自己資金を投資するのではなく、年金基金や生損保などの機関投資家(LP)の資金を預かり、運用する専門職(サラリーマン)である。
- VCの活動内容とリードの役割: 投資実務においては、資金提供に留まらず、社外取締役や採用支援などで事業の価値向上(バリューアップ)を支援することが求められ、特に最大の出資者である「リード投資家」にそのインセンティブが集中する。
- VCと編集者の共通点: 起業家は最高のクリエイターであり、VCはプロデューサーや漫画編集者のように、彼らを尊重しながら「現実最適解」を共に追求する戦略的なパートナーであるべきだという提言。
- VCの具体的な実務の3つのレイヤー: 日常的な「投資実務」(ソーシング、バリューアップ、イグジット)、中期的な「ファンドマネジメント」(資金配分戦略)、そして会社全体の「ファーム戦略」の3層構造で業務が構成されている。
💡 キーポイント
- VCは、投資家側(LP)とスタートアップ側(起業家)の両方を相手にする「リボンズ(両側にお客さんがいる)」の構造を持つ。
- 投資家は起業家に対して「これが正しい」と万能感を持って指示するのではなく、常に起業家の腹落ちと100%の実行を促すための複眼的な視点とオプション提供に徹するべきである。
- バリューアップ支援が差別化要素となる中で、リード投資家は汗をかくことが自分のリターンに直結するインセンティブ構造にあるため、実質的な支援が求められる。
- VCのパートナー層は、個々の投資案件だけでなく、ファンド全体、さらにはファーム(会社)全体の戦略を設計する必要があり、3つの異なる「帽子」を被り分ける必要がある。
- ジャフコのようなVCが上場するケースは稀であり、通常VCは未上場であることが一般的で、上場は創業者のイグジットや資金調達といった特殊な背景を持つ。
