📝 エピソード概要
本エピソードでは、資金調達を事業成功のための「戦略論」として捉え直し、VCが高宮氏がその本質を解説します。資金調達は事業をブーストさせるための「手段(How)」であり、目的化すべきではないと強調。起業家は、目指すビジョンと競争環境から逆算(バックキャスト)し、必要な資金規模と、それによって達成すべき明確な「マイルストーン」を投資家と握ることが重要であると説きます。
🎯 主要なトピック
- 資金調達は「目的」ではなく「手段(How)」: エクイティ調達は事業をブーストするための手段であり、調達なしで成長できるならそれが最善。急成長が宿命付けられているスタートアップは、全体のごく一部である。
- 資金調達時に投資家と交わす「マイルストーン」の約束: 調達額は、次のラウンドを成立させるために達成すべき目標(マイルストーン)から逆算して決定され、起業家と投資家間で目標ベースのコミットメントが必要となる。
- シリアルアントレプレナーの大規模調達戦略: 経験豊富な起業家が巨額の資金を調達するのは、競争の激しい巨大市場で競合に先んじて「面を取り、勝ち切る」ために、短期的な赤字を掘ってでも最大限にスピードを上げる戦略をとっているため。
- 投資家側の論理と「エグジット」の必要性: 外部資本、特にVCは期限付きであり、どこかで現金化(エグジット)してリターンを生み出す必要がある。成長が止まる(リビングデッド化)ことは、投資家のエグジットを困難にする。
- 日本とシリコンバレーにおけるプロジェクトの見切り: 起業家という希少資源の回転数を上げるため、見込みのないプロジェクトは早く「見切り」、ゼロベースで新しい挑戦を始めることの戦略的な重要性が高まっている。
💡 キーポイント
- エクイティ調達は「ニトロを入れる」行為であり、極端な比喩では「悪魔に体の一部を渡す」行為でもあるため、そのリスクを理解し、本当に必要な場合のみ実行すべき。
- スタートアップ戦略において、スモールビジネスか否かといった「型」に安易に当てはめるのではなく、自社の事業が目標達成のためにいくらお金を必要とするのかをゼロベースで考えることが重要。
- VCとの契約は、お互いに切羽詰まっていない状況で、将来発生しうる問題(例えば廃業時の判断)の解決方法を冷静に定義する役割を持つ。
- コロナ後の市場環境では、金融引き締めにより株価の評価倍率(マルチプル)が下がり、大規模調達をした企業が成長してもトントンになるなど、リターン創出の難易度が上がっている。
