📝 エピソード概要
本エピソードでは、経営者が直面する採用難の課題について、ベンチャーキャピタリストの戦略的視点から掘り下げています。長谷川氏の福祉事業における人材不足を題材に、高宮氏が「採用」というHow(手段)に入る前に、事業のKSF(成功要因)やビジョン、提供価値といった上位概念を明確化する必要性を解説します。
採用難や高い離職率の根本原因は、往々にして曖昧なカルチャーや価値観の定義にあると指摘。根っこから課題を解決し、自社に適合する人材の解像度を上げるための戦略的な思考法が示されています。
🎯 主要なトピック
- 採用難の課題提起: 長谷川氏の福祉事業で法定人員配置を満たせず、採用が急務になっている状況を共有。安易な募集を出す現状が、既に「解像度が低い」ことの証左であると指摘。
- 離職防止(リテンション)の優先順位: 人員不足を新規採用で解決しようとする前に、まず「なぜ人が辞めるのか」という離職の根本原因(ルートコーズ)を特定し、組織から辞めなくする打ち手を考えるべきである。
- カルチャーと価値観のミスマッチ: 離職の原因は、会社が目指すカルチャーや価値観が明確でないために、多様な(価値観が合わない)人材を採用してしまっている点にある可能性が示唆された。
- 事業のKSFから逆算する戦略: 事業の成功要因(KSF)を特定し、そこに貢献度の高い領域から組織や人材の課題に手をつけることで、モグラ叩き的な対処療法から脱却する必要性が議論された。
- 求める人材像の具体化と採用力の強化: 高い報酬を払いつつも、活躍する人のプロファイリングを行い、そのコンピテンシーを見極めるための面接精度を向上させることが重要である。
- ビジョンと提供価値の明確化: 組織や採用はビジョンを実現するための手段であり、誰に、どのような価値を提供するのか(提供価値)を明確にすることが採用戦略の土台となる。
💡 キーポイント
- 採用がうまくいっていないという課題は、その上流にあるビジョンや戦略、組織構造の曖昧さに起因していることが多い。
- 採用や組織は「戦略を実現する手段」であり、KSFへの貢献度が高い部分から手を打つことが、長期的な課題解決につながる。
- 人材の質を高めるためには、報酬を妥協するのではなく、成功する人材のロールモデルを分析し、自社の見極め能力(採用精度)を高めることが肝要である。
- 企業戦略論の歴史で磨かれてきたフレームワークを、戦略論が未熟な領域(例:福祉事業)に適用することで、競争優位性を確立できる可能性がある。
