恵比寿で響くファッションビクティム、奇跡のW納品へ
番組はいつもの掛け合いから始まります。チキンライス店「海南鶏飯」のメガ盛りを食べた直後で、ふたりとも腹パン状態のまま恵比寿の路上を歩いていきます。
向かう先はWesco。約1年前にこの番組がスタートしたばかりの頃にオーダーしたブーツが、ふたり同時に納品されるという奇跡のタイミングです。
だから一緒のタイミングでブーツが来るなんて奇跡ですよ。
オーダーまでの道のりは長く、明石さんは待ちきれずにストックのボスを購入し、その後ジョブマスターも追加で買うほどWescoにのめり込んでいました。
ロメオが思い出せない問題と、ガクト流リンチカスタムの仕様
会話の途中、横山さんが履いている短めのWescoの名前が出てこなくなります。クロムハーツとの別注も出している定番モデルなのに、ふたりとも思い出せません。
ことごとく自分で履いててもこれなんだかわかんなくなるんですけど、これとんでもなくいいです、やっぱ。
正解はロメオWescoの定番モデルのひとつ。短めのプルオンタイプのブーツで、近年クロムハーツとの別注でも知られる。明石さんのオーダーは通常11インチのボスを9インチに短くした特別仕様です。
さらに今回のオーダーは、ストラップ金具と先端パーツをリンチシルバースミス神戸を拠点とするシルバーアクセサリーブランド。Wescoとのコラボでブーツの金具をシルバー製にカスタムする仕様があるのシルバーに置き換える特殊仕様。半完成のブーツがアメリカから神戸へ送られ、そこで仕上げられる手の込んだ工程です。
半分完成した状態のブーツが送られてきて、で、さらにそこにそれをその神戸にね、リンチシルバースミスの工房があるんで、そっちへ送ってそこで完成させるみたいなね。
ガクトのボス対面。リンチカスタム×バブルトゥ×ハーフスリップの究極仕様
店に入り、まず明石さんのブーツが箱から登場します。9インチに短くしたボスに、バブルトゥつま先部分を丸く膨らませた仕様。ボリュームのあるシルエットになる人気のオプション、ハーフスリップソールの中間に厚みを足すオプション。全体のボリューム感が増し、シルエットが整う、そしてリンチカスタムを盛り込んだ仕様です。
やば。かっこいい。
店員のウエスコ店員さんから、ハーフスリップを入れるとバブルトゥのボリューム感が際立つこと、追加料金は5,500円と良心的であることが説明されます。
シャフトを細くするオプションは料金が高めですが、細身のパンツを履いたときにブーツインしやすく、パンツを被せるシルエットも作りやすくなります。
シャフトがシンデレラフィットですよ。
トゥデイのジョブマスター対面。バイソン×ブラックタイのツートーン
続いて横山さんのブーツも開封されます。下がバイソン、上がブラックタイという光沢のある黒のツートーンで仕上げたジョブマスターです。
8インチのシャフトに100番ソール、レースアップ仕様。明石さんが履いているジョブマスターと同じ高さですが、革の組み合わせとソールの違いで印象がかなり変わります。
革のチョイス。ブラックドメーンと、なんかだからバイソンのおかげでちょっとモードな雰囲気もあり。
話題はブーツ前面の「フォルスター」へ。本来は泥や石の侵入を防ぐためのパーツで、つけると隙間が埋まり防水性も上がります。
砂とか水が入りにくくなる。
明石さんは東京の生活ではオーバースペックと判断して外していますが、横山さんもこの場でフォルスターを外してすっきりさせる選択をとります。
ジョブマスターは紐があるほうがいい。用途で履き分けるWesco
横山さんはジッパーユニットを作らず、紐仕様にこだわりました。店員さんもジョブマスターはしっかり締めたほうがフィット感が出ると話します。
僕としてはやっぱしっかり閉めてもらった方がフィット感全然違う。
店員さんは1日の行動内容によってボスとジョブマスターを履き分けていると話します。よく歩く日はジョブマスター、バイクに乗る日は安全性の高いボスという使い分けです。
プルオンタイプのエンジニアブーツ。バイク乗車時の安全性が高い
レースアップで足にしっかりフィットし、長く歩く日に向く
横山さんは1年間ほぼロメオばかり履いていたと振り返り、ヒールの減り方を見て店員さんも驚きます。
ちなみに私も二足いただいたんですけど、この一年間ほぼウェスコしか履いてない。
100番ソールのステッチに見るWescoの「伝統」
横山さんがソールのステッチに気づきます。フラットソールではぐるっと1周入るステッチが、100番ソールでは途中で止まる仕様になっています。
100番ソールだと後ろまでステッチ入らないんですよ。
理由を尋ねても明確な答えはなく、「昔から決まっている」「伝統」とのこと。理屈ではなく長い年月で積み上がってきたディテールが、Wescoらしさを形作っていることが伝わるやり取りです。
ヘラクレスちゃん再来。トラックファニチャー製ブーツジャックでブーツを脱ぐ
続いて、ふたりの会話で語り継がれてきた「ヘラクレスちゃん」が再登場します。これはトラックファニチャー京都発の家具ブランド。Wesco恵比寿店ではブーツジャックなどの木製アイテムも展開している製の特注ブーツジャックで、節の残った木材で作られています。
これがまるでヘラクレス大兜のようだということで、ヘラクレスちゃんという風に呼んでいました。
明石さんは初めて自分用のヘラクレスちゃんを使って、目の前でブーツを脱ぐ手順を実演します。まず台を踏み、ブーツの踵をU字部分に引っ掛け、つま先を前の板に当ててから持ち上げて脱ぐ流れです。
全然脱げない。それが要はもうここのこの板によって支えられることで。
他社のブーツジャックを使った経験のある明石さんは、Wescoのものは「ブーツを優しく包み込んで美女が脱がしてくれるみたい」と独特の表現で評価します。
Wescoのミッションは「足元を守る道具」。質実剛健の究極形
話題は7月1日からのWesco値上げに移り、ベースで約1万円の値上げになるものの、ウエスコジャパンは1ヶ月の移行期間を設けてくれたと明石さんは話します。
会話はWescoというブランドの本質に向かいます。Wescoの起源はアメリカの林業従事者が履くロガーブーツ木を伐る職人が履く長めの作業ブーツ。長いシャフトとスパイクのあるソールが特徴。そこから工場作業者向けのエンジニアブーツ(ボス)、さらにジョブマスターへと派生していきます。
今でもウエスコのその本社行くとめっちゃブーツ作ってるけど、半分ぐらいは林業の人のブーツ。だからもう林業の人はもうそれ買う買うんだと。仕事として。
クロムハーツの店員さんが「Wescoじゃないと足やられちゃうんで、僕バイク乗ってるんで」と話していたエピソードが紹介され、Wescoはあくまで職人の足を守る道具なのだという原点が浮き彫りになります。
ふたりはバイクにも林業にも従事していませんが、その道具としての本気さに惹かれていることを認めます。
俺たちそれほどのワイルドさが足りてないから、これウエスコに助けてもらってる。
ウエスコだと思って買わない、というアドバイス
最後に横山さんが、これから初めてWescoをオーダーする人へのアドバイスを語ります。それは「Wescoだと思って買わない方がいい」というものです。
ウエスコだと思って買うと、今回はね、先ほどちょっとガクさんが話してたこと、やっぱ僕結構刺さったんですけど、1年間ウエスコを履いた時の俺たちがまたオーダーするもう違うんじゃねえの?って話だったじゃないですか。
いきなりオーダーすると「ザ・Wesco」を作ってしまいがちで、それも良いけれど、ストックで1年履いてみると見えてくる景色が変わってくる。だからこそ、まずはストックから入るのがおすすめだと話します。
明石さんの今回のオーダーも、シャフトを細くしバブルトゥとリンチカスタムを盛り込んだ結果、ぱっと見はWescoらしくない雰囲気に仕上がりました。横山さんは思わずグイディイタリアの革靴ブランド。独特のシルエットと素材感で知られるっぽいと感じたほどです。
Wescoの質実剛健な作りを土台にしながら、自分仕様のWescoらしくないWescoを作る。それが1年履いた人だからこそ辿り着く、オーダーの醍醐味だという結論です。
まとめ
1年越しに完成した2足のオーダーWescoを通じて、ふたりがブーツの仕様だけでなくブランドの哲学そのものに改めて向き合う回でした。
- 明石ガクトさんはボスを9インチに短縮し、リンチシルバースミスのシルバー金具、バブルトゥ、ハーフスリップ、細めシャフトを盛り込んだ特別仕様のWescoを納品。
- 横山昴さんはジョブマスターをバイソン×ブラックタイのツートーン、8インチ、100番ソール、紐仕様で仕立て、Wescoらしくないモード感のある1足に。
- Wescoは7月1日から値上げ予定だが、ウエスコジャパンは6月末まで旧価格でオーダーを受け付ける移行期間を設けている。
- Wescoの本質はロガーブーツやエンジニアブーツに代表される「職人の足を守る道具」であり、その質実剛健さがふたりを惹きつけている。
- 初めてオーダーする人へのアドバイスは、まずストックを1年履いてから「Wescoらしくない自分仕様のWesco」をオーダーすること。
