乾燥機は共同デザイナー。コインランドリーで服を縮ませる出張収録
今回のファッションビクティムは、いつものスタジオを飛び出して目黒のコインランドリーからお届けする出張回です。オーバーサイズの時代が終わりつつあるなか、手持ちの服を[[ガス乾燥機::高温で一気に乾かすコインランドリーの業務用乾燥機。家庭用より縮みやフェードが出やすく、ヴィンテージ加工としても使われる]]で縮ませる実験を、藤原ヒロシさんの展示の話題と一緒にゆるく語っていきます。
出張収録、目黒のコインランドリーから
今回の収録場所は、横山さんがよく通っているという目黒のコインランドリー。乾燥機にまあまあな金額のアイテムをぐるぐる回しながら、併設のカフェでコーヒーを飲みつつ収録が始まります。
きっかけはゴールデンウィーク中の労働疲れと、最近の「服が縮みすぎた」というリスナーコメントの多さでした。明石さんも「自分はLとXLしか買ってこなかったから、サイズが合わない人が多いはず」と振り返ります。
なんで今日はもうコインランドリーでどんぐらい行くんだっていう、ちょっとこう、確かめたくて。その後ね、もしかしたらそのウォッシュをかけて販売するかもしれないですね。
洗濯機が空かず、横山さんが他のお客さんの終わった洗濯物の時間を延長してまで枠を確保する一幕も。多少の無理やり感を残しつつ、今回のテーマが告げられます。
today何着る?inコインランドリー
恒例の「today何着る?」コーナー。今日の明石さんは、ダル着をモノトーンでまとめた「コインランドリーファッション」です。
キャップはHE藤原ヒロシ氏が手がけるブランドの一つ。シンプルなロゴキャップが定番アイテムのファーストモデル。Tシャツはカニエ・ウェスト米国のラッパー・プロデューサー。現在はYeとして活動のアルバム『Vultures』のオンライン購入特典としてついてきた「いじめっ子」プリントのロンTで、サイズは普段の3ではなくあえて2を選択しています。
ブリーってアルバム、すごい非常に最近ようやくファイナル版というか、ちゃんとしたのが出て。で、なんと野田洋次郎さんとかレコーディングに参加されていて、めちゃくちゃ出来が良くて。
ボトムスは横山さんから韓国土産でもらったALOロサンゼルス発のヨガ・アスレジャーブランド。ALO YOGAとして展開のバスケットショーツ。ヨガ界隈ではルルレモンから乗り換える人が増えているとのこと。
足元はヨーロッパのデザイナーがインド製で作っているリカバリーサンダル風のもの。OOFOSほど柔らかくないため扁平足足裏のアーチが低下した状態。柔らかすぎるサンダルの常用が一因とされることがある対策にもなり、洗えるのが利点だと話します。
横山さんはいつもどおりのコーディネートで、唯一の変化点は明石さんからの誕生日プレゼントである「A LITTLE KNOWLEDGE」のTシャツ。これは後半の重要なトピックにつながっていきます。
テーマは「縮ませたい」。なぜ今ガス乾燥機なのか
今回のテーマは「乾燥」。明石さんは手持ちの服をガス乾燥機で意図的に縮ませ、痛めることを目的に持ち込みました。背景には3つの理由があります。
時代の変化
明らかにオーバーサイズの時代が終わり、トップスはひと回り小さく、短丈が主流に
体型の変化
明石さんが約10キロ減量し、背中や腹の肉が落ちて服の丈が相対的に長くなった
ブランドの動き
クロムハーツが洗いをかけたヴィンテージ風の新作「ソーピー」シリーズをリリースした
そのクロムハーツの新作は、Soap and Waterの略で「ソーピーパーカー」と呼ばれるシリーズ。クリーニング屋が「ソーピーな匂いがするぜ」と評するほど洗いまくった、洗剤の匂いがしてきそうな服というコンセプトです。
問題は値段で、ジップパーカー単体が定価40万円、上下セットアップは二次流通で1万ドル超え。「布が1万ドル以上」と二人は引いてしまいます。
これは俺らが前から言ってるクロムハーツ二次流通と値段揃えてくるよっていう説があって。VCMとか言ったらね、まさに。オールドクロムハーツのパーカーが4、50万とかで売ってて、きっちりここ値段揃えてた。
そこで導いた結論が「だったら、もうあるやつ(手持ち)を自分でソーピー化すればいい」。家庭用洗濯機で5年10年かけて育てるところを、ガス乾燥機で時短しつつ、ついでにオーバーサイズも適正サイズに縮めようという作戦です。
持ち込んだ5アイテムと縮みの計測結果
明石さんは事前に身幅・着丈・袖丈を測ったうえで、5アイテムをコインランドリーに投入しました。
まずはクロムハーツのジップパーカー。明石さんが「期待できるね、この仕上がり」とソーピー感に満足するほどの結果になりました。
XLサイズで着丈が長く、痩せた体に対して丈が伸びがちだった状態
着丈74cm→71cm、身幅は70cmへむしろ拡張、袖丈66cmで完全にボックスシルエット化
今日結論こうソーピーパーカーは作れるね。
続いてグッドイナフ×シュプリームのGDHカレッジロゴT。生地が高品質な分、縮みも理想的だったと明石さんは評価します。
一方、レギュラーボディのグラムG Tシャツは着丈マイナス2cm程度で、ほとんど変化なし。生地が違うと縮み方も大きく違うという発見になりました。
注目のリーバイス505は、股下77cmが変化なし、ウエストが2cm、股上が4cm縮むという結果。横山さんは「乾燥が足りないんじゃないですか、あと一発」とさらなる追加乾燥をすすめます。
乾燥機の醍醐味は乾燥しきるまで。これがゴールですから。こんなちょっと甘いなんか湿り気が残ってる。ダメ。カリッカリまでやりますから。
なお、横山さんのクリスチャンダダ日本のデザイナー森川マサノリ氏のブランド。CHRISTIAN DADA。後継的なラインとしてCS(Christian Stack)などが言及される系のスタックジャケットは、本人もノリで縮ませようとしましたが、明石さんが「肩がジャストだし、デニムなのでワンウォッシュで一気に縮みすぎる」と止め、今回は見送りに。
藤原ヒロシ「INSEPTION」展と「自分自身」というお守り
話題は乾燥機を回しながら、収録の少し前に二人で出かけた藤原ヒロシさんのINCEPTION展藤原ヒロシ氏が企画した、セックス・ピストルズおよびヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンによるパンク・カルチャーの大規模展示。表参道ヒルズで開催の話へ。
セックス・ピストルズの「God Save the Queen」ポスターや、セディショナリーズのボンテージパンツ、ガーゼシャツ、アナーキーシャツ、ペッティング・ミッキーのプリントTシャツなど、リアルな原典が大量に並ぶ展示だったと振り返ります。
俺はそのおっぱいのTシャツが有名なやつがあって。それが元ネタになってる。ヒロシさんが昔やってたELECTRIC COTTAGEってブランドのTシャツを持ってたわけ。当時別に普通に来てたけど、これが元ネタなんだみたいな。
問題は出口の物販コーナー。アンダーカバーとのコラボなど、明らかに「いっちゃうか」となるラインナップが並んでいました。前回キヨスクで買いすぎてデッドストックを増やした反省から、二人は事前に「自分自身」という合言葉を決めていたのです。
物販コーナーをなんとか「自分自身」で乗り切った二人ですが、続いて表参道ヒルズの大階段にあるポップアップ「踊り場」で危機が訪れます。ここはミルクやエア(代官山)など、二人が10代20代の頃に通っていた東京のクラブカルチャーをモチーフにした店でした。
そこで出会ったのが、ヘインズのパックTにJUNが独自パターンを当て、藤原ヒロシ氏のメンズノンノ連載タイトル「A LITTLE KNOWLEDGE」のボックスロゴを左下に乗せたTシャツ。
クラブシリーズTシャツ、アンダーカバーコラボなど展示物販のグッズ群
A LITTLE KNOWLEDGEのヘインズパックT(明石さんが横山さんの誕生日プレゼントとして贈呈)
明石さんいわく「Lサイズが理想の白Tバランスで、アメリカコットンの質感も良く、値段もそんなに高くない」とのこと。後ろに並んでいたマルジェラのジャケットを着た客が、クラブシリーズTを3枚買いしている姿に「あの人は本当に自分自身がある」と感心した、というエピソードも語られます。
ノムくん遭遇とビズビム、そしてステーキ屋での再会
同じ日にはビズビム原宿店にも立ち寄り、入荷の谷間で品薄だったものの、安心できる空間に癒されたという二人。途中、別の客が何かを尋ねた際の店員の即答が強烈だったと振り返ります。
全国的にないですって。シュプリームのないを超える。日本中でない。日本中にないぞと。
ビズビムを出た直後、原宿の路上で背後から「バチイケな人」が二人を抜き去ります。シャンブレーシャツとボロボロのスウェットパンツに、トム・サックス×ナイキの色違い「Mars Yard」を履いた、野村訓一nonnative/VENDORなどを手がける日本のデザイナー・バイヤー。番組内では「ノムくん」の愛称で登場氏でした。
パーティーに向かう途中だった二人は「もしや同じ会場へ?」と後をつけたものの、野村氏はファミマに入っていったとのこと。番組内で何度も話題になっている「ファミマ」という習慣のブレなさに感心しています。
その後、二人はとあるパーティーで日本酒2杯を一気飲みすることになり、ポールダンサーや偽札のばらまき演出を経て疲弊。回復のために明石さんおすすめのステーキ屋に駆け込みました。
ところが、いざステーキを食べようとした瞬間、隣の席に着いたのはなんとINCEPTION展同日に行ったばかりの藤原ヒロシ氏の展示の主役・藤原ヒロシ氏ご本人だった、という奇跡のような偶然が起きます。
その日の行動パターンでさ、俺ら間に一個どうしても挟んで、で、きっとあの、またね、そのね、隣のそのまた彼も間に何かを挟んでるが、最後同じまたステーキ屋に。踊り場toステーキ。
クロムハーツ原宿店の名対応とリスナーコメント
同じ日、横山さんはクロムハーツ原宿店にも顔を出していました。電話で「今日何か入ってますか」と聞いたところ、店員の応答が印象的だったと言います。
毎日が入荷日なんで来てくださいと言って、足を運んで、その場で今日は何かありますか?と言ったら、そういうことは言わないです、私はと。最近ちょっと問題になってるじゃないですか。クロムハーツ問題が。そういう人たちのために、そういう問題を起こさないように私は言いませんというね。
クロムハーツ問題スレッズなどSNS上で、転売目的での入荷情報の聞き出しや、店頭での確保行為が話題になっている文脈を指していると見られるに巻き込まれないため、入荷状況を一切口にしないという凛とした姿勢に、二人は感銘を受けたとのこと。結局商品は何もなかった、というオチも含めての称賛です。
番組終盤では、現在募集中のリスナーコメントテーマについても触れられました。
モンベル「ストームクルーザー」と梅雨対策
最後は梅雨に向けた雨具の話題。明石さんは久しぶりにモンベルの「ストームクルーザーモンベルのフラッグシップ・レインジャケット。1982年から続くロングセラーで、防水透湿素材を採用したアウトドア用の上下セットおよび単品ジャケット」を購入したと紹介します。
従来のGORE-TEX素材から自社開発素材に切り替わったことで、価格は2万2000円程度に抑えられつつ、性能はむしろ向上し、生地もシャカシャカせず柔らかい仕上がりになっているとのこと。
注目はサイズ展開で、着丈はラージ、身幅はXXL相当の「Large Relaxed(ラージR)」というサイズが存在します。
モンベルとかね、いわゆるガチなアウトドアブランドって大体縦長じゃないですか。これがボックスシルエットになるんですね。ラージの着丈で身幅がXXLですね。
縦長になりがちなアウトドアブランドのジャケットを、現代的なボックスシルエットで着られるサイズ展開として、ビクティム的にもおすすめだと締めくくります。
まとめ
「乾燥して着用するか、着用してから乾燥するか」という問いから始まった出張収録回は、ガス乾燥機を共同デザイナーとして使いこなすコツと、衝動買いを止めるための合言葉「自分自身」、そして藤原ヒロシさんの展示にまつわる偶然だらけの一日が、コインランドリーの回転音と一緒に並走するような回になりました。
- クロムハーツの新作「ソーピーパーカー」は40万円超え。だったら手持ちの服をガス乾燥機で自分でソーピー化するという発想が、今回のテーマの起点になっている。
- 縮みの傾向はアイテムごとに大きく異なり、クロムハーツのパーカーは着丈マイナス3cm+身幅プラス1cmでボックス化、GDH×シュプリームのカレッジTは着丈マイナス6cmと劇的に縮む一方、レギュラーボディのグラムGはほぼ変化しない。
- 展示や物販で衝動買いしそうな瞬間に「自分自身」と問い返す合言葉と、ディシジョンノートの組み合わせが、クローゼットの肥やしを増やさないための実用的な装置として機能している。
- 藤原ヒロシ「INCEPTION」展、踊り場、ステーキ屋での偶然の再会、ビズビム、ノムくん遭遇など、一日に詰め込まれたエピソードが、今回のコインランドリー実験と並行して語られた。
- 梅雨に向けては、モンベルのストームクルーザーのラージRサイズが、アウトドア定番をボックスシルエットで着られる選択肢としておすすめされている。
