ダイアログの入口、updateとfurtherを読み解く
今回のテーマは提案の発言パターンです。渡邉さんはまずダイアログを冒頭から丁寧に見ていきます。
最初の一文「Thank you for the department update」に出てくる「update」に注目します。日本語ではカタカナで「アップデート」と言いますが、英語では発音もアクセントも異なります。
名詞で使うときは前にアクセントが置かれ、動詞で後ろに置かれるときはアクセントが変わると説明されています。例として「update the directory」や「update the information」が挙げられます。
続く「Before we close this meeting, does anyone have any further proposals?」も見どころです。前半の「Before we close this meeting」は会議や話を終える前を表す言い回しで、TOEICでもよく出るとのことです。
この言い回しがあると、「あ、もうだいぶ終盤なんだな」と気づいたりしますよね。
後半の「further」は「far(遠い)」の比較級で見た目が難しい単語です。渡邉さんはTOEIC頻出の「For further information(さらなる情報が欲しい場合には)」を思い出すと言います。
ここでも「さらに提案がある場合には」という意味で「further proposals」が使われている、と整理されています。
proposalとsuggestion、「提案」の重さの違い
提案があるかと問われた側は「I would like to propose a support program for employees who return to work after having a baby」と答えます。前で「proposals」と使ったことに対応して、動詞の「propose」で返しているのがポイントです。
動詞「propose」の名詞形が「proposal」です。ここで渡邉さんは、alで終わる名詞は珍しいと寄り道します。
代表例として「arrive」の名詞形「arrival(到着)」が挙げられます。TOEICでは「upon arrival」の形でよく出るとのことです。
そして本題の使い分けです。「propose / proposal」に対して、前後のレッスンで扱われた「suggest」の名詞形が「suggestion」です。どちらも「提案」と訳されますが、重さや軽さが違うと説明されています。
proposalはかっちりとフォーマルで、しっかり準備してきた感じ。suggestionはもう少し軽く「やってみてはどうか」というノリだといいます。
同じ内容だけれども、当然単語が違うということは別のニュアンスを届けたい、使いたいと思っているはずなんで、まあ僕らもそこを汲み取れる方が英語は楽しくなるよな、なんて思ったりします。
かっちりとフォーマルで、しっかり準備してきた提案。動詞はpropose。
もう少し軽く「やってみてはどうか」というノリの提案。動詞はsuggest。
仮定法のwouldと、TOEIC頻出語の宝庫
次に注目するのは「What would that include?」という質問です。渡邉さんはこのwouldが意外に使えないと話します。
相手が提案している内容はまだ実現していないことです。だから「もしそうなったら何が含まれますか」という仮定の感じを出すために、助動詞の過去形wouldが使われている、という説明です。
「もしそうなったら」ってちょっと距離を置いているので、ここは「What would that include?」って言ってるんですね。意外に言えないですね。
回答は「Flexible hours, temporarily remote work, and help finding childcare」です。渡邉さんは「TOEICでよく出るのがいっぱいだ」と言います。
「flexible」は前のレッスンにも登場した語で、「I'm flexible」は「どういう形でもいい」と相手に委ねるニュアンスで使われていました。ここでは「flexible hours(柔軟な勤務時間)」の意味です。
覚えにくい語として「temporarily(一時的な)」が挙げられます。渡邉さんは語源を断定せずに、覚え方のヒントを示します。
tempoって入ってますよね、temporarilyのtempo。tempoって多分この時間を表す言葉だと思うんですよね。なので、まあそこから「一時的な」と覚えてあげるといいんじゃないかな。
音読暗唱のコツとstressfulの使い分け
「Going back to work can be very stressful」という文では、音読暗唱の工夫が語られます。いきなりING の塊を主語に置くのは負荷が高いため、まずitに置き換えて練習するとよいと言います。
「It can be very stressful」で慣れてから、主語を「Going back to work」に差し替える。こうして少しずつ文を長くしていくやり方です。
ここで大事なのがstressfulとstressedの違いです。人がストレスを感じているときはstressed、物事がストレスを与えるときはstressfulを使うと整理されています。
物事がストレスを与える側。It can be very stressful のように使う。
人がストレスを感じている側。I'm stressed out のように使う。
また「Going back to work」は「仕事に戻る」だけでなく「職場復帰」とも訳せます。渡邉さんは、訳語から発想すると使い勝手が広がると話します。
feel secureとstay with the companyの広がり
「If we support our employees, they will feel more secure and stay with the company longer」という文も学びが多いと言います。
「feel more secure」のsecureは「安全な」「安心している」の意味です。多くの人が知っている「security」と結びつけて覚えるとよいと勧めています。
「stay with the company」は簡単な単語の組み合わせですが、「会社に長くとどまる」だけでなく、離職率を下げる、会社への忠誠心を上げる、といった日本語も思い浮かぶフレーズだと説明されています。
応用として「I don't want to stay with the company」と言えば「この会社で働いていたくない」といった表現になる、と例示されます。
最後もproposal、そして自分で話して覚える意味
締めの一文は「Thank you Yukiko. We will review your proposal」です。ここでもsuggestionではなくproposalが使われている点が大切だと渡邉さんは指摘します。
もしWe will review your suggestion.って返したとしたら、「あ、あなたは軽い提案だと思ってるのね」って感じ取られちゃうといけないので、ちゃんとしたproposalなんだっていうことをしっかり受け止めてあげるといい。
渡邉さんは、今回の年度のラジオ英会話がActや fix this issue、immediately、strategy などのビジネス寄りの語を繰り返し、TOEIC的な単語を定着させたい狙いを感じると話します。
そもそもこの放送を録った理由は、自分で話すことで定着度が増すからだといいます。大学で13年ほど教える中で、教えることが一番の学びになっていると実感しているそうです。
実際、Lesson74の英作文コーナーで5月号Lesson28の表現が求められましたが、暗唱したはずなのに忘れていて悔しかったと打ち明けます。だからこそ放送で残す意味があると考えています。
まとめ
Lesson74のダイアログを一文ずつ読み解きながら、proposalとsuggestionの重さの違い、仮定法のwould、stressfulとstressedの使い分けなど、訳語だけでは見えないニュアンスが整理された回でした。自分で話して定着させるという学習姿勢も一貫して語られています。
- proposalはフォーマルな提案、suggestionは軽い提案で、動詞はそれぞれpropose / suggest
- 「What would that include?」のwouldは、まだ実現していないことへの仮定を表す
- stressfulは物事がストレスを与える側、stressedは人がストレスを感じる側
- feel secureはsecurityと、stay with the companyは離職率や忠誠心と結びつけると使い勝手が広がる
- 自分で説明したり話したりすることが、表現を定着させる一番の学びになる
