📝 エピソード概要
本エピソードでは、ゴキブリの神経科学を研究するアザラシさんをゲストに迎え、知られざるゴキブリの生態と進化、そして最新の研究成果について深掘りします。シロアリが実はゴキブリの仲間であるという驚きの進化論から、南米で見つかった「社会性を持つ」特殊なゴキブリの話題まで、興味深いトピックが次々と飛び出します。
特に、アザラシさんが取り組んでいる「幼虫から成虫への成長に伴う行動の変化」に関する研究は必聴です。触角にある「毛」の長さが感度にどう影響し、なぜ成虫だけがフェロモンに反応して性行動を起こすのかという謎を、電気生理学的な手法で解き明かしていく過程がエキサイティングに語られています。
🎯 主要なトピック
- シロアリとゴキブリの意外な関係: 遺伝学的にシロアリはゴキブリに最も近く、現在は分類学的にもゴキブリ目の中に含まれているという進化の繋がりを解説。
- 社会性を持つゴキブリの発見: 南米で見つかった、女王がいてカースト制(役割分担)を持つ、鮮やかな緑色の珍しいゴキブリ「Melyroidea magnifica」を紹介。
- 性フェロモン「ペリプラノンB」: ゴキブリ界で初めて同定された非常に複雑な構造を持つフェロモンと、その合成・抽出の難しさについて。
- エナンチオマー(鏡像異性体)の識別: ゴキブリが分子の「右手型・左手型」を厳密に嗅ぎ分け、特定の構造にのみ反応するという高度な嗅覚能力を解説。
- 感覚糸(毛)の伸長と行動の閾値: 成虫のオスだけが触角の感覚糸を2倍に伸ばし、感度を劇的に高めることで、幼虫にはできない「性行動」を誘発させる仕組みについて。
💡 キーポイント
- 「ゴキブリからシロアリへ」の進化: 匂いによるコミュニケーション能力が発達したことで、ゴキブリのような単独生活から、シロアリのような高度な社会性(新社会性)へと進化した可能性が示唆されています。
- 幼虫もフェロモンを感じている: 意外にも、生まれたての幼虫の段階ですでにフェロモンを高感度で受容する能力があることを、アザラシさんの研究が証明しました。
- 「毛の長さ」がスイッチになる: 成虫オス特異的に感覚糸が長くなることで、受容できる信号量が閾値を超え、脳が行動を指令するようになるという仮説は、昆虫の成長と行動の変化を理解する上で重要な洞察です。
- 微量でも反応する驚異の感度: フェムトグラム(10のマイナス15乗グラム)という極めて微量のフェロモンでも、ゴキブリの脳は確実に情報を捉えることができます。

