そもそも「留め」とは何のためにあるのか
緊縛を学ぶと、多くの場合「留め」という技法を習うといいます。罰点留め、三点留め、箱留め、の留めなど、種類はさまざまです。
たかせさんは、留めの役割を「緊縛を構造的に固定させるもの」と説明します。一筋一筋かけた縄を安定させ、縄同士を連結し、かけたテンションをキープするために使われるといいます。
ただし、ここが重要なポイントです。留めは、手順通りに形ができていればいい、という類いのものではないと話されています。
留めの強度は「摩擦の強さ」で決まる
留めは緊縛の構造的な連結部分にあたるため、そこには強度が求められます。そして、その強度をたかせさんは「摩擦の強さ」と言い換えられると説明します。
縄と縄が重なり合って強い摩擦を生む。この摩擦のかかり具合によって、留めが効いたり効かなかったりするといいます。
なんとなくふわっと留めを作ってしまうと、ほとんど摩擦が効かなくて、後々その緊縛が全体的に崩れていってしまう。
柴楽室では、留めは「小さく硬く」作るように伝えているそうです。コンパクトにすることで縄同士の摩擦が強くなり、留めが機能するようになるといいます。
小さく硬い留めを作る3つの技術
では、どうすれば留めを小さく硬くできるのか。たかせさんは、その具体的な要素を挙げていきます。
1つ目は「最短距離を通す」こと。留めを作る縄の運びが迂回してしまうと、無駄な隙間ができて強い摩擦がかからなくなるといいます。
2つ目は「折り」です。緊縛では縄を2本並べてかける「二本取り」が基本で、これは線ではなく面の扱いになるといいます。
たかせさんは、ネクタイやタオルなど面状のもので試すとわかる、と説明します。面が進む方向を変えるとき、たとえば直角に曲がるときには、折り返して畳まないと必ず隙間ができる構造になっているそうです。
これを折りというんですけど、まず折りは絶対必要です。これをやらないと絶対に縄が浮くので、必要な摩擦力が得られず、留めが緩んでしまう。
3つ目は「詰め」です。留めを作る過程で残る小さな隙間を、ちゃんと埋めてギュッと絞っていく作業を指します。
縄は最短距離を通り、方向が変わるときは折り、その後に必ず詰めを入れる。これを一つ一つ丁寧にやることで、留めの強度はまったく違うものになるといいます。
留めが甘いと、緊縛全体が崩れる
初心者は強い留めを作るのが難しく、留めがふわふわと緩くなりがちだといいます。
それが一箇所二箇所ならさほど問題になりませんが、逐一そうなってくると、緊縛としての構造を保てないほど弱くなってしまうと話されています。
受け手がじっとしている分にはギリギリ成立するかもしれません。ですが、強く引いたり、吊縄のような展開をした後に、緊縛が崩れてぐちゃぐちゃになってしまう。それはほぼ、留めが効いていないからだといいます。
各部位にテンションを強く入れるといった工夫をしても、留めが緩ければほとんど意味がない、とたかせさんは指摘します。
テンションをかける話は、留めが留めとして機能している状態が前提になっているためです。まず強い留めが作れていないと、緊縛として成立しづらいといいます。
留めは、他のすべての前提になる
留めが緩いと、受け手の体感において効果が薄くなるだけではありません。特に吊り展開では、それがリスクに直結するといいます。
せっかく4本縄を揃えてテンションを揃えてとやっても、留めが緩いとそのテンションがズレていってしまう。
安全性を考慮して組み上げた構造体が、留めが緩いがゆえに簡単に崩壊しては意味がありません。縄はずれ、想定より深く食い込むといった問題が出てきてしまいます。
たかせさんは、留め一つ一つのクオリティ、さらに踏み込んで、留めを作る縄の一筋一筋、手順の一手一手を意識的に小さく硬くしていくことを勧めます。
そうすると、緊縛の構造としての強さや安定感が目に見えて変わるほど影響がある、と締めくくられました。
まとめ
留めは、手順通りに形ができればいいものではありません。摩擦の強さこそが強度であり、最短距離・折り・詰めという前提を丁寧に積み重ねることで、緊縛全体の安定感が大きく変わると解説された回でした。
- 留めの役割は、縄を連結しテンションをキープして緊縛を構造的に固定すること
- 留めの強度は「摩擦の強さ」であり、小さく硬く作ることで摩擦が効く
- 小さく硬い留めには「最短距離を通す」「折る」「詰める」の3つが必要
- 留めが甘いと、強く引いたり吊ったりした後に緊縛全体が崩壊する
- テンションなど他の工夫も、留めが機能していることが前提になっている
