📝 エピソード概要
本エピソードでは、NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン)の2025年医学教育シリーズを基に、これまでの時間主導型の研修システムを見直す「コンピテンシー基盤型医学教育(CBME)」と、現代医療の「分断(Discontinuity)」の危機について解説します。時間ではなく能力に焦点を当てた教育手法や、分断を解消するための長期的な関係性の重要性、そして医師としての志について深く掘り下げます。
🎯 主要なトピック
- コンピテンシー基盤型医学教育(CBME): 研修期間を一律に固定するのではなく、獲得すべき能力をゴールに据え、学習者の成長速度に応じて時間を変動させる教育モデルです。
- 信頼を可視化する「EPA」とプログラム的評価: 現場の仕事を「信頼して任せられるか」という実感レベルで段階評価し、一回の試験ではなく日々の観察の積み重ねで判断します。
- 医療現場における分断(Discontinuity): 患者ミスターYの事例を通じ、情報や関係性の連続性が失われることで、誰も悪意がないにもかかわらず引き継ぎが破綻していく実態を明らかにします。
- 分断を防ぐ構造的介入(LICやロングブロック): 長期にわたり特定の患者や指導医と継続的に関わる実習を通じて、臨床判断の結果を時間軸で追体験する仕組みを議論します。
- 「なぜ医師なのか」という問い: 単にシステムや技術を教えるだけでなく、医師としての使命感や志を指導医自身が問いかけ、背中で語ることの重要性を提示します。
💡 キーポイント
- 時間は「枠」ではなく「資源」: 研修期間を単なる期限として捉えるのではなく、能力を獲得するために配分すべき教育資源として再定義する必要があります。
- 「逸脱の状態化」への警告: 忙しさや慣習を理由に、情報共有の不足や医療の分断がいつの間にか普通(当たり前)になってしまう思考停止を避けるべきです。
- 暗黙知を受け渡す「場」の共有: 指導医と研修医、そして患者が長く付き合うプロセス(冗長に見える時間)の中にこそ、マニュアル化できない「身体知」や「嫌な予感」を磨く教育価値が存在します。

