AIに懐疑的なのは「悔しいから」
この回は、二人が待ち望んだ雑談回です。PCを閉じて、思想をだだ漏れにしながら話す、遊びに近い一本だと二人は話しています。
話題の中心は、少し前の回でも触れたAIです。いさぶーが持ち出したのは、なんでもかんでもAIを使いたがる人への違和感でした。
なんでもいいから、なんかAI使った方が早いんじゃない?って人に、懐疑的です、私。
お前なんか波に流されてない?みたいな。
ただ、いさぶーは頭ごなしに否定しているわけではありません。時代に乗り遅れた人っぽく見えるのが悔しいのだと打ち明けます。
時代に乗り遅れてる人っぽいからさ、悔しくもあるんだけど。俺の仕事に求めるクオリティに追いついてないじゃんって思っちゃう。
一方でだいきの立場は明確です。使った方がいい、と考えていると話します。
助詞までこだわる仕事と、AIの「それなり」
いさぶーの仕事はセールスライティングです。日本語の微妙なニュアンスを詰める仕事で、助詞ひとつにまでこだわると言います。
九四点一パーセントの医師が推奨したっていうのか、九四点一パーセントの医師も推奨したっていうのか。ここのニュアンスを全部詰めていって、ようやく事業計画として乗る数字になる。
いさぶーは、AIができるのは「それなり」までだと感じています。自分の知識もトップと言えるほどではない、と正直に認めた上で、それでもトップを狙わなければ意味がないと考えているようです。
AIは要件定義も切り抜きもできるようになった
これに対してだいきは、AIの進化のスピードを実感していると語ります。かつてAIは指示があればコードを書けても、その前段階の要件定義まではできないと言われていました。
AIって結局コード書けるだけで、アプリ作る前の要件定義とかはできひんから、指揮したらコードを書いてくれてアウトプットはいいの出すけど、そこはできひんよねってなったのよ。
ところが、ここ数ヶ月でその要件定義すらできるようになってしまった、とだいきは話します。
さらに、三十分ほどの素材から面白い部分を切り抜く作業も、以前は全然できなかったのに、今は面白いところを切り取れるようになってきたと言います。
トップにこだわる理由と、暗黙知の壁
いさぶーは、自分の方向性を「トップオブトップを狙っている」と表現します。トップにならなければ意味のない世界だと考えているそうです。
実際、AIにセールスライティングを書かせてうまくいった事例もあると認めています。ただし、それでもトップではなかったと振り返ります。
ちゃんと甘い汁吸わせてもらったんすよ、AIに。それなりの結果も出たんすよ。でもトップじゃなかったんすよ。
ここでいさぶーがこだわる「トップ」とは、成約数の話です。一つのクライアントに複数の代理店がつく中で、自分の成果は良かったが、それでも一番ではなかったと言います。
なぜトップに届かないのか。いさぶーは、絶妙なニュアンスを掴みきる部分をまだ言語化できていないからだと分析します。
それを自分が言語化できないなら、AIには作れないんですよ。
だいきもこの点には同意します。二人の話は、自然と暗黙知と形式知の対比に向かいました。
言葉にできる知識。AIはここでほぼ満点を出せると二人は話します
言葉にしきれない感覚やニュアンス。ここに人間の価値が残ると考えられます
八十五点では赤字。残りの五点をどう伸ばすか
いさぶーは、自分が置かれた状況を点数で表現します。九十点を出さないと赤字になる仕事があるとして、AIは八十五点まで届く。問題は残りの五点だと言います。
AIだと八十五点までいけるみたいな。後の五点を伸ばせるかどうか、そこにこだわれるかどうか。八十五点出しても赤字みたいな状態を作っちゃう。
だいきは、ここに判断軸の問題があると整理します。同じ八十点のアウトプットでも、見る人の経験値によって評価が変わるからです。
七十点の人が八十点のAIのアウトプットを出されたら、あ、これすごいなってなるけど、九十点の能力値の人が見ると、いや、これは全然足りひんというか。
そして、その判断軸は人力でしか身につかない、といさぶーは指摘します。自動で数値が入力されても、それを見て「ん?」と違和感に気づけるかどうか。当たり前に自動化されている環境では、その感覚を育てる機会が失われるのではないか、という懸念です。
だからこそ、新卒や学生はやりにくいのではないかと二人は話します。経験を積む前にAIが答えを出してしまうためです。
トップが切り替わるのか、老害の意見なのか
だいきは、いさぶーとは少し違う見方を示します。トップの座そのものが切り替わっていくのではないか、というものです。
なんか今のトップが切り替わるんかなって思う、俺は。トップオブトップのやつもいくんやろなっていう。
話は資本主義や量産の話にも広がります。質のいいものより、量産されたものが強い時代になるかもしれない、といさぶーは不安を口にします。落語家のように喋りを突き詰める人より、一発ギャグができる人がのさばる構図に近いかもしれない、という例えです。
いさぶーは最後まで、自分は先鋭化するしかないと結論づけます。ただし、それが古い思想なのではという不安も隠しませんでした。
AI使っても雑魚が雑魚を加速させるだけやと思ってて。
だいき自身も、内容には賛同しつつ「トップトップが」と言われると少し怖くなると正直に返します。答えは今すぐ出ないというのが、二人の共通する着地点でした。
いや、わからないよ。五年後じゃないと答えはわからへん。
効率化の先に残る「無駄な時間」
討論の後半、話題は効率とは逆の方向に向かいます。効率的なことはAIがやってしまうからこそ、無駄なことがしたい、といさぶーは言います。
効率的なことはもうAIがやれちゃうじゃないですか。無駄なことやりたいんですよ。
いさぶーが挙げたのは、桃鉄などのゲームや、おっさんたちが楽しそうにゲームをする番組でした。生産性がまったくない時間だからこそ楽しい、という感覚です。
この雑談自体も無駄だけど楽しい、と二人は笑い合います。効率を追い求めた先で、あえて無駄を楽しむ時間に価値を見出しているのかもしれません。
まとめ
AIが仕事の大半を「それなり」にこなせるようになった今、二人は人間の価値がどこに残るのかを本音で語り合いました。いさぶーは言語化しきれないトップの領域にこだわり、だいきはトップそのものが切り替わる可能性を指摘します。答えは五年後にしかわからない、というのが率直な着地でした。
- いさぶーはAIに懐疑的だが、それは時代に乗り遅れる悔しさの裏返しでもある
- 助詞まで詰めるニュアンスの仕事では、言語化できない部分がトップとの差になると考えている
- AIは要件定義や動画の切り抜きまでこなせるようになり、「自分の売り」を問い直す局面にある
- 八十五点では赤字になる世界で、残りの五点を伸ばす判断軸は人力でしか身につかないという懸念
- 効率をAIに任せる時代だからこそ、あえて無駄な時間を楽しむ価値も語られた
