水族館の魚が光ると分かったのは、なぜ?
この回の出題者は、かつて東海高校でクイズを出してくれたハチ君とミズタニ君です。最初の問題は、リスナーから寄せられた魚についてのクイズでした。
マツサカウオにはある際立った特徴があるのですが、その特徴は研究ではなく水族館のある偶然の出来事によって発見されました。さて、その偶然の出来事とは何でしょう。
水野さんはまず、コロナ禍で飼育員がいなくなってストレスを感じたマンボウの水槽に、飼育員の制服を貼ったら体調が良くなったという話を持ち出します。ただ、本人も「うんちくを言っただけ」と認めるように、正解とは関係ありませんでした。
堀元さんは「白身魚の区別がつかない」とぼやきつつ質問を重ね、見た目の特徴、しかも「光る」という特徴だと突き止めます。あまりに早くたどり着いたため、水野さんから「カンニングした今」とからかわれました。
水族館って元々そんな真っ暗にする仕様じゃなかった。常にちょっと電気ついてたから気づかなかったんだけど、停電したとか、そういう理由で光ってることがわかった。
堀元さんのこの回答が正解でした。解説によると、答えは水族館の停電です。
出題者の解説の要旨は、富山県の魚津水族館が1914年の暴風雨で停電した際、職員がマツサカウオの発光に気づき、これが発光魚であることを世界で初めて発見した瞬間だった、というものです。
バッハからU2まで、音楽を変えた「もう一つの要因」
2問目は、音楽の歴史についての問題です。
18世紀前半にバッハが、同世紀後半にモーツァルトが革新的な音楽を発明し、19世紀にジャズが登場、20世紀にはU2の曲で大衆が沸いている。こうした音楽の変容は、音楽家個人の才能と、もう一つ何が大きく関係しているのでしょうか。
二人はテクノロジー、王家の意向、戦争、地球温暖化と候補を挙げますが、どれも外れます。堀元さんは「そうだったら面白いな」から逆算して突飛な答えを出していると自覚し、「実は地球温暖化によって今ロックが流行ってる」という架空の新書をネタにして笑いを取りました。
ヒントは「16世紀でも14世紀でも成立する」「目に見える」「木製のこともある」というもの。そこから堀元さんが「建物ですか?」と尋ね、正解にたどり着きます。
解説では、演奏される場所の広さや性質が、それぞれの時代の音楽のかたちを左右したと説明されました。
いや、言われてみたらそうだ。確かに建物によってベストな音楽って絶対変わるよね。
ヘビメタの高音とペンライトの意外な起源
建築の話を聞いた水野さんは、ヘビーメタルのボーカルが高音を多用する理由を紹介します。X JAPANや聖飢魔IIのような高いシャウトは、ただ盛り上げるためだけのものではないといいます。
いや、あれも実は理由があって、演奏の手数が多いから低音だと埋もれるんですよ。だから高音じゃないと聞かせられない。
堀元さんも、アイドルのライブで振られるペンライトの起源を持ち出します。水野さんはメンバーカラーで応援を示すためだと予想しますが、堀元さんが見た説では、始まりは別のところにありました。
諸説あるとしたうえで、堀元さんによれば、1970年代に西城秀樹さんが大阪球場でライブをした際、客席にライトがなく観客の顔が見えないのが不安だとラジオで話し、懐中電灯で自分の顔を照らしてほしいと頼んだのが始まりだそうです。
暗い球場
客席にライトがなく、西城秀樹さんから観客の顔が見えない
懐中電灯
ラジオでの呼びかけに応え、観客が懐中電灯で客席を照らす
自作ペンライト
懐中電灯が重く邪魔だったため、ペンに豆電球を入れたものを持参する
ビジネス化
そこから商品が生まれ、現代のペンライト文化になった
水野さんは、推しのメンバーカラーという意味づけは事後的に整理されたもので、元々は利便性から始まった文化なのだと受け止めていました。
「この位置から見てた」が削除されるのはなぜ?
ここでクイズ内クイズとして、水野さん自作の問題が出されます。配信サービスSHOWROOMのアイドル配信で、ファンが「今日のライブはこの位置から見てたよ」と書き込むと、場合によっては自動で削除されることがあったといいます。
堀元さんは、前日のイベントでフィリップ・K・ディックのTシャツを着た人がいて嬉しかった話をしつつ、NGワードに引っかかる席の名前だろうと推理します。「上から」「二階から」「外れから」と近づいていき、最後に正解を出しました。
あ、わかったわかったわかったわかった。はい。下手から見てたような下手だ。
舞台の「下手(しもて)」が、罵倒の「下手(へた)」と読まれてしまい、自動検出で削除されていたというのが答えです。ファンには罵倒のつもりがまったくないのに消えてしまう、読みの曖昧さが生んだ現象でした。
飛行機雲の影響を確かめるきっかけになった事件とは?
3問目は、飛行機雲と気象についての問題です。
飛行機雲が地球温暖化など気象に影響を与えているのではという疑念はかなり昔からあったのですが、ある事件をきっかけに思いがけずその影響を検証できる機会が訪れ、注目を集めました。その事件とは何でしょう。
堀元さんは「コロナで飛行機が一気に減って相関が取れた」と答えますが不正解でした。ただ、飛行機が飛べなくなれば検証できるという考え方は近いとされます。
そこで水野さんが「9.11のテロの時、減便とかしてるかな」と疑問形で口にしたところ、それが正解に。堀元さんからは「ふわっとしたこと言って当てんのやめて」とツッコまれました。
出題者の解説によると、答えはアメリカ同時多発テロ事件です。事件の翌日から3日間、アメリカの民間飛行便はすべて運航停止となり、第一次大戦以来初めてアメリカ上空に飛行機雲がない状況が短期間訪れました。
運航停止
同時多発テロの翌日から3日間、アメリカの民間便がすべて止まる
飛行機雲の消失
アメリカ上空から飛行機雲がなくなる
気温差の拡大
Natureの報告で、日中と夜間の気温差が過去平均より1.1度大きくなった
結論
飛行機雲があると1日の気温差が小さくなり、気象に影響すると分かった
解説ではさらに、その後の研究で飛行機雲が地球温暖化の原因の一つであることが確実視されるようになった、と補足されました。
研究者は意外なデータにどう目をつけるのか
飛行機雲の話を受けて、水野さんは「研究者が意外なデータに目をつけて主張する」話が好きだと語ります。自著『会話の0.2秒を言語学する』で挙げた例が、食べログの口コミを使った研究です。
食べログには「堪能させていただきました」「味わわせていただきました」といった用例が多く、店舗の所在地データと結びついています。そのため、「させていただく」の地域差を測ることができるといいます。
水野さんは、研究者にとって飛行機雲が3日出ないという出来事は「見つけた」というより、常にアンテナを張っていて「来た」という感覚なのかもしれないと推測します。堀元さんは「どっかで飛行機減ってくんねえかなみたいな気持ち、内心あるんでしょうね」と応じました。
もう一つ水野さんが挙げたのが、ドラマ『半沢直樹』を題材に、フィクションの悪い政治家像が現実政治に投影されるかを調べた論文です。
現実世界の政治に対する不信感を喚起する
逆に政治家への信頼感を高める
ちょっと僕もしっかり論文読まないとですけど、おそらくまあこれフィクションだもんなと。現実じゃなくてフィクションだもんなって言って切り離して考えるってことなんじゃないですかね。
堀元さんは、政治に関心がある人のほうが「これはフィクションだ」と割り切りそうだと直感的には感じたものの、結果はそうではないことに驚いていました。論文はJ-STAGEでPDFをダウンロードできると紹介されています。
ノーベル賞を取ったグラフェン単離の意外な方法
最後の問題は、物理を学ぶミズタニ君の自作です。
その二次元結晶のグラフェンを単離するのは不安定だから困難だと考えられてたんですけど、2004年にアンドレ・ガイムとコスチャ・ノボセロフという方が成功させて、それでノーベル物理学賞受賞した。その方法は何だったでしょう。
鉛筆の芯のグラファイト ── 黒鉛のこと。炭素原子が平面状に結びついた層が何枚も積み重なった構造をしており、鉛筆の芯などに使われますは、炭素が平面につながった層の積み重ねです。途中、水野さんが同位体と同素体 ── 同じ元素からできていても、原子のつながり方が違うために性質が異なる物質どうしのこと。炭素ではダイヤモンドや黒鉛がその例ですを混同し、堀元さんが整理する場面もありました。
その後、水野さんがうっすらした記憶から、この研究者がカエルを浮かせてイグノーベル賞を取った人物だと言い当てます。ただし、カエルの研究は今回の問題とは関係ありませんでした。
そんな人間いないのよ。カエル浮かせ人いないよ。
ヒントとして、ミズタニ君は日々の仕事とは関係ない実験を金曜の夜にやると決めていた話を紹介します。技術は必要なく、カッターで剥がすようなレベルの遊び心だったといいます。
「道具が大事」「文具」「接着を伴う」と絞り込み、水野さんがセロハンテープと口にしたところで、堀元さんが答えをまとめて正解しました。
堀元さんは、大掛かりな設備なしでノーベル賞級の結果が出せるなら自分たちにもいけるかも、と冗談を飛ばします。水野さんは、狙って作ったものは意外と少ないのかもしれないと話していました。
かつての高校生出題者と、年収可能性診断
最後に二人は出題者のセンスを称え、堀元さんは「今日の冴えより、みんなカエル浮かせ人の方を覚えちゃった」と悔しがります。高校生だった出題者が大学生になって再び出題してくれたことに、時の流れを感じたとも語りました。
後半はビズリーチの広告パートです。新卒で入った出版社に勤める水野さんは、今の会社に不満はなく転職もしないと即答します。一方で、実質賃金の低下などから、周りには転職を考える友人が多いとも話しています。
二人は年収可能性診断を実際に試しました。堀元さんは金融業界の経営者などで年収1300万円の可能性、水野さんはIT企業の新規事業企画という結果が出て、堀元さんは「水野さんにマッチしてない感じする」と首をかしげていました。
ブロガーから経営者まで、堀元さんの「転職」遍歴
転職して良かったことを聞かれた水野さんは、転職していないので「喋ることない」と答えます。代わりに堀元さんが、自身の職業の変遷を振り返りました。
堀元さんは、面白コンサルを辞めて「チーフおもしろオフィサー」のような名刺を持たずに済んだことが一番の喜びだったと笑います。また、札幌出身の友人や愛知出身の知人が、土地が合わずに地元へ戻る転職をしている例も紹介しました。
水野さんは愛知に帰る可能性を聞かれても「ない。楽しい東京の方が」と即答し、堀元さんも東京のほうが肌に合っていると話していました。
まとめ
この回のクイズには、停電、建物、9.11、セロハンテープといった、研究の本筋から外れたところにあるきっかけが共通していました。偶然や意外なデータが発見を後押しすることを、笑いを交えながら味わえる回です。
- マツサカウオの発光は、1914年の魚津水族館の停電で初めて見つかった
- バッハからロックまで、演奏する建物の広さや性質が音楽のかたちを左右したと解説された
- 9.11後の3日間の運航停止で飛行機雲が消え、気温差の変化から気象への影響が確かめられた
- グラフェンの単離は、金曜の夜の遊び心でセロハンテープを使った実験から生まれた




