XGを見るためだけに行ったフジロック
徳力さんは、ほぼXGを見るためだけにフジロックへ足を運んだと話します。フジロックへの参加は初めてで、XG以外はくるり便やDAOKIさんのラップを少し見た程度だったそうです。
それでも、SNSの反響を見る限り、間違いなくトップスリーに入るパフォーマンスだったと振り返ります。
観客数で言えば、裏で演奏していたフジファブリックの方が多かったかもしれません。ただ、SNS上の反響ではXGも負けず劣らず大きかったと感じたそうです。
これまあ藤井カさんってXGがフジロックに出演が決まった時は、結構SNSで物議醸してたんですよね。特にやっぱりその、XGに関しては結構ネガティブな声あったと思っていて。
出演決定時の「物議」と当日の反応
今では忘れられがちですが、XGのフジロック出演が決まった当時は、SNSで賛否が分かれていました。
フジロックの代表が、K-POPの大物をブッキングすることは客の求めるものを裏切りかねないと明確に語っていたことも背景にあります。いわゆるダンス&ボーカルはサマーソニックなら呼べても、フジロックには呼べないかもしれない、という趣旨です。
フジロッカーたちからも「大丈夫か」という反応があり、アイドルグループだと思われていた節もあったといいます。
ところが実際のパフォーマンス後、フジロッカーたちの反応はとても好意的なものに変わったそうです。XGのファンであるALPHAZが、その好意的な投稿にいいねをつけて回っている様子も楽しいと徳力さんは話します。
戦闘モードのセットリストと「新章」の背景
当日のセットリストは、完全に戦闘モードだったと徳力さんは表現します。前半はガチのヒップホップで、UNDEFEATEDが入ったことにも驚いたそうです。
途中にバラードを挟みつつ、最後はORBとシューティングスターのロックバージョンで締める構成でした。ロックで締めくくる流れが完璧だったと語られています。
このステージがなぜ重要だったのかを理解するには、XGが置かれてきた状況を知る必要があります。
XGは今年1月、グループ名の意味をXTRAORDINARY GIRLSからXTRAORDINARY GENESへと変え、フルアルバムを出し、「今年がニューチャプター」と宣言してビルボードのランク入りも果たしました。
しかし2月、プロデューサーのサイモンさんら関係者トップ4人が薬物所持で逮捕されます。徳力さんは、これをグループ発足後最大の危機だったと振り返ります。
危機を乗り越えても消えなかった「懸念」
その後、7人はむしろ団結を強め、3週間後には福井で完璧なパフォーマンスを披露しました。ファンであるALPHAZに向けて、JustStandUpで勇気を届けるような場面もあったといいます。
国内ツアーを完走し、5月にはアメリカンミュージックアワード、6月にはイギリスのキャピタルズ・サマータイムボールと、日本人初の快挙を立て続けに成し遂げます。
さらに今はアジアのワールドツアー実施中で、フジロックの3日前にはマニラで公演を行っていました。つまり、危機を乗り越えて活動を続けられている状態までは来ていたのです。
ただ、ファンの間では懸念が消えませんでした。XGはサイモンさんが始め、船長として引っ張ってきたプロジェクトであることが誰の目にも明らかだったからです。
代わりのプロデューサーが入ったのか、どういう体制でやるのか。エイベックス側が発表しないため、多くのファンがモヤモヤしていた、と徳力さんは話します。
でも今回、もうほんとその心配しててごめんなさいって思うぐらい、もう食らったっていう。
「1589」という数字に込められた決意表明
フジロックと並行して、XGは7月23日にYouTubeで「1589 UNLOCKED」という動画を公開していました。
これは珍しい動画で、メンバーが今回の騒動も含めて、未来やファンとの関係を真面目なトーンで語るのは久しぶりだったといいます。バックステージのわちゃわちゃを紹介する動画はあっても、ドキュメンタリー的に真剣に語る場面は少なかったそうです。
翌日にはメンバー限定でMESSAGE TO ALPHAZ 1589という動画も公開されました。
この「1589」という数字について、考察するファンがすごいと徳力さんは言います。2022年3月18日のデビューから数えて1589日目が7月24日にあたるのだそうです。
7月24日には、来年2月のワールドツアーファイナル公演の発表がありました。東京ドームと京セラドーム大阪で2日連続、OneとSevenという異なるコンセプトの公演が予定されています。
多分この1589で喋ってるのはそれに対しての決意表明なんですよね。こういうすごいのを見せるから楽しみにしててねっていう。
動画には楽曲の収録シーンやダンスの練習シーンもあり、7人がセルフプロデュースに近い形でドーム公演へ向かっている様子が伝わってくると徳力さんは解釈します。あくまで自身の推測だと繰り返し断りながらも、1589日目は「自分たちを中心にやり直す新しいスタート」を意味しているのではないか、と考えを述べています。
セットリストの変化が示す「7人の意志」
フジロックのパフォーマンスは、この1589の宣言をしてからの最初のステージにあたります。ここで徳力さんが最も驚いたのが、セットリストが実施中のワールドツアーと全然違っていた点でした。
3日前にマニラで公演したばかりなのに、順番も曲の間のつなぎも異なるパターンで組まれていたのです。
これまでXGのライブは、パフォーマンスとパフォーマンスの間に暗転を入れて休憩を挟むのが特徴で、音楽が途切れると音楽ファンからの評判は良くなかったといいます。
ところが今回のフジロックでは、その間をほぼ全部つないできたそうです。アーリアのRocktheBoatを流しながら次の曲へ移るような、新しいパターンが見られたと語られています。
今までのあの楽曲ごとに区切って暗転させるのは、あれ僕サイモンさん方式だと想像してるんですよね。サイモンさんは多分完璧主義だからこそ、一曲一曲の世界観を区切って完璧にやって、次のっていう風に、あれはね、多分サイモンさんの方針だったんだと思うんですよね。
その最も明確な変化が、この暗転の廃止だったと徳力さんは見ています。だからこそ、今回のセットリストとパフォーマンスには7人の意見が強く反映されていると考えられる、というのです。
楽曲ごとに暗転を入れて区切る構成。サイモンさん方式と徳力さんが推測する完璧主義的な演出
曲間を音楽でつなぐ構成。7人のセルフプロデュースが強く反映されたと解釈される
TakeMyBreathには間にダンスブレイクが入り、フォーシーズンズやフォーシーズンズのパフォーマンスでもアレンジが加えられていたといいます。0.何秒単位でダンスを揃える彼女たちが、ツアー中にあえて新しいパフォーマンスを入れてきたことに、徳力さんは強い覚悟を感じたと話します。
新曲「TheVision」に感じた惜別と原点回帰
徳力さんは、冒頭の挨拶だと思っていたラップ的なパートが、実はTheVisionというアカペラソング扱いの新曲だったと紹介します。
その歌詞がすごいと語ります。徳力さんはサイモンさんに感謝が残っている立場だと前置きしつつ、TheVisionにはサイモンさんへの惜別の思いを感じたと述べています。
明らかにあのTheVisionはやっぱりそのサイモンさんへの、まあ、なんだろうなぁ、愛を感じるって言ったらちょっと間違って伝わるかもしれないですけれども、愛を感じる、あの惜別の歌みたいな歌詞だと僕は受け止めました。
冒頭のココナさんのパートには「最初にあったのはパワーだ」という趣旨の歌詞があり、夢を信じる力こそが原点だと歌われているといいます。
徳力さんは歌詞をこう解釈します。サイモンさんが設定したビジョンは正しく、彼はミスを犯し船に戻ってこないかもしれないが、そのビジョンは正しい。だからこそ原点に帰り、7人でこの旅を続けるのだ、という決意表明ではないか、というものです。あくまで自身の深読みかもしれないと繰り返し断っています。
「遺産」ではなく「自分たちのもの」を見せた意味
徳力さんは、現在実施中の2回目のワールドツアーは、サイモンさんがいた時にすべてを組んだツアーだと指摘します。それ自体は素晴らしいものの、この構成で続ける限り、ファンの懸念は消えないといいます。
あくまでそのサイモンさんが残した遺産で、今その惰性でやってるだけじゃないかって見えちゃうんですよね。
海外のファンの間では、この数か月、新しいMVも新曲も出ず、活動が止まっているのではという不安が広がっていたそうです。発表されるのは日本のツアーやフェスが中心で、アリーナ規模になった結果、来ない国も増えてしまったといいます。
だからこそ、今回のフジロックは意味を持ちました。過去の遺産とは違う新しいパフォーマンスを、7人と残った新しい関係者が完璧以上に組み上げてぶつけてきたのです。
徳力さんは以前、この危機がメンバーの親離れと成長のターニングポイントになるのではと記事に書いたそうです。ただ、それは少し違っていたと振り返ります。
危機を乗り越えられてよかったねじゃなくて、このタイミングで離れてくれたことによって、より成長加速しちゃったよっていう風に振り返ることになるんじゃないかな。
見逃した人はYouTubeにファンカムが多く上がっているので、ぜひ見てほしいと呼びかけて締めくくられています。
まとめ
プロデューサー不在という最大の危機を経たXGは、フジロックで「7人のセルフプロデュース」を示すパフォーマンスを見せました。徳力さんは、これを1589日目に始まる「真の新章」の幕開けと受け止めています。あくまで一ファンの解釈と繰り返しながらも、危機がむしろ成長を加速させたのではないかと語っています。
- XGのフジロック出演は当初SNSで賛否が分かれたが、当日はフジロッカーの反応を一変させた
- 2月のプロデューサー逮捕という危機の後も、XGは国内外の活動を止めずに続けてきた
- 「1589」はデビュー1589日目を指し、来年のドーム公演へ向けた7人の決意表明だと解釈されている
- フジロックでは曲間の暗転をなくすなど、ツアーと異なるセットリストで7人の意志を示した
- 新曲TheVisionには原点回帰と惜別の思いが込められていると徳力さんは受け止めている
