一気に見てしまった「九条の大罪」
横山さんは日曜の午後、法要の手伝いを終えて戻ってきたところで収録を始めています。前日の夕方、ネトフリを開いたら「九条の大罪」の配信が始まっていたそうです。
この作品は「闇金ウシジマくん」の作者による新作で、現在も連載中の漫画が原作です。悪徳弁護士と言われる九条先生が主人公で、実写版では柳楽優弥さんが九条先生役を演じています。
予告を見て面白そうだと思っていたところ、たまたま見始めたらすっかりハマってしまったといいます。地元の飲み会に行く前も後も見続け、久しぶりに夜中の二時まで夜更かししてしまったそうです。
これめちゃくちゃハマってしまってですね。昨日は夜、地元の飲み会があったんですけど、それに参加するまでも見て、行って、帰ってきて見て。久しぶりに二時ぐらいまで夜更かししてしまいましたね。
内容としては、弱者の味方でありながら、反社のような人たちの弁護も断らずに受けていく主人公が描かれます。悪徳なのか本当に弱者の味方なのか、その葛藤を残したまま物語は終わってしまったそうです。
救えなかった人権派弁護士のエピソード
ドラマには、軽度の知的障害や境界知能を持ち、悪い人たちと関わってしまった人のエピソードが二つほど出てきます。
そこには、正論を言う烏丸先生や、人権派の女性弁護士も登場します。女優の香椎さんが演じる女性のフェミニスト弁護士のエピソードが印象的だったと話されています。
その人権派の女性弁護士は、結局その対象者を救えなかったといいます。救ったつもりが救えず、かえってもっと悪い状態にするきっかけを作ってしまう展開だったそうです。
その女性弁護士の人権派の方は、結局救えなくて、救ったつもりが救えなくて、結局その対象者をもっと悪い状態にするきっかけを作ってしまうんですね。
思い出した一冊『累犯障害者』
横山さんは、この話を見ながら、福祉の仕事をしていた頃に読んだ『累犯障害者』という本を思い出したといいます。上司に「読んでみろ」と勧められて読み、ショッキングな内容だったそうです。
この本の著者は山本譲司さんで、元衆議院議員です。2000年に詐欺容疑で逮捕されて議員を辞職し、実刑判決を受けて服役した経歴があります。刑務所内では法に触れてしまった障害者の世話をしていたそうです。
出所後は訪問介護の仕事をしながらジャーナリストとして活動し、ルポや講演を続ける中でこの本を発表しました。横山さんによれば、山本さんは現在、れいわ新選組から比例で当選し、幹事長兼国会対策委員長を務めているといいます。
本の中には、綺麗事の正しさや資格の上での正しさでは救えなかった人たちのケースが出てきます。福祉の支援を拒否して反社の人を頼る知的障害のある女性の姿もあったと記憶しているそうです。
結局そういった綺麗事の正しさ、資格面の正しさの中には、そういう人たちの居場所は作れなかった、作れていないっていうようなケースで。
法律だけで救えるのか、という問い
ドラマと本を重ねながら、横山さんは法律だけで全てが救えるわけではないと感じたと話します。
私たちが想像もできないような生き方があり、居場所のなさがあり、良くも悪くもそうしたものが必要とされる人たちがいる、と語っています。
その上で、真っ白で綺麗な世の中を作れるのか、いや作るべきなのかどうか、ということを考えさせられたといいます。
ドラマに出てくる登場人物についても触れています。ものすごくバカにされることに敏感になっている男性が描かれますが、その感じがめちゃくちゃリアルだったといいます。
バカにされていないのにバカにされていると感じてしまう。そうした生活環境で悔しい思いや扱いを受けてきたからこそ敏感になっている様子が、リアルに描かれていたと話されています。
僧侶目線で見た「九条の大罪」
ここからは、横山さんならではの僧侶視点の余談です。ドラマに登場する仏壇や墓石を、宗派の観点から細かく見ていったといいます。
九条先生の相方である烏丸先生の実家のシーンでは、仏壇が浄土真宗のものだったそうです。父親の死が物語に関係する場面で、法名からも浄土真宗のお寺だと判断できたといいます。
一方、九条先生の実家である鞍馬家の墓は、日蓮宗系の宗派で間違いないと見ています。墓石の後ろの塔婆に「南無妙法蓮華経」と書かれていたためです。
ただ、戒名は「印日◯真慈」という、横山さんの地域だと一番多くある一般的なものだったそうです。名門で威圧感のある家柄の描写なら、せめて「居士」や「大姉」といった格の高い戒名にしてほしかったと語っています。
あんだけ生田斗真がお兄さんで、結構めちゃくちゃ威圧感出してきたのに、真慈かって。せめて居士・大姉だろうなっていうことを思ったという。
都内と思われる広い墓地を持つ家なら、それなりの格の戒名が自然だ、というのが横山さんの見立てです。自分が監修すれば「居士」「大姉」と言ったところだ、とも話しています。
続編を応援したい一作
横山さんは、続きがどうなるのか気になって漫画も読みたくなってしまったといいます。同じ作者の「闇金ウシジマくん」も未読・未見のため、見始めたら一気に見てしまいそうだと話します。
ただ、二日連続の夜更かしは厳しいと感じているようです。すでに頭がボーッとしてきているとのことでした。
最後に、累犯というのは罪を繰り返すことだと説明しています。その多くは大きな悪意によるものではなく、コミュニケーション能力の欠如や社会生活のスキルの低さから孤立し、生きるために罪を犯さざるを得ない負のループに陥っている人たちだといいます。
ぜひ皆さんで何回も見て回して、続編が出るように応援していきたいなと思っております。
まとめ
Netflixドラマ「九条の大罪」を、僧侶かつ元福祉職の視点で見た感想の回でした。法律や綺麗事だけでは救えない弱者の現実に触れ、関連書籍『累犯障害者』も紹介されています。
- 「九条の大罪」は「闇金ウシジマくん」作者の新作で、弱者の味方か悪徳かの葛藤を描くドラマ
- 救ったつもりが救えない人権派弁護士のエピソードから、法律の限界を考えさせられた
- 福祉時代に読んだ『累犯障害者』を思い出し、綺麗事では作れない居場所の問題を語った
- 僧侶視点では、烏丸家が浄土真宗、鞍馬家が日蓮宗系と読み取り、戒名の格まで指摘した
- 累犯障害者の多くは悪意ではなく、孤立や生きづらさから罪を繰り返す負のループにある
