夏のお寺の行事と、子どもたちが仏教に触れる機会
8月に入り、お寺はお盆の月を迎えました。マルシェや、子どもたちを連れて身延山にお参りに行く行事など、イベントが続きます。
身延山へ子供達を参拝に連れていく行事は、気づけば子ども30人以上の申し込みがあったといいます。夏休みの日中の子どもの行き先に悩む親御さんにとって、こうしたイベントが頼りにされていることを改めて感じたと話します。
横山さんは、子どもたちが仏教を意識して来るわけではなくても、お寺で体験をし、修行的なことを行ってみることには良さがあると考えています。
普段と違う体験をするという意味でも、自分の心や体に良い影響があるかもしれない。そうした日頃の思いが、この後の調査記事の話へとつながっていきます。
アメリカの仏教徒への調査。瞑想が最多に
たまたま目にした仏教エッセイの記事を、横山さんは紹介します。仏教医学のような分野を研究している人による、アメリカの仏教徒への調査記事です。
記事の冒頭では、アメリカにおいて仏教がウェルネス文化の中で「より穏やかな心とより健康な体への道」として馴染み深い存在になっていると述べられています。
調査はオンラインで行われ、400件の回答が集まりました。そのうち米国在住で仏教徒だと自認する人が141人含まれています。
回答者は白人が約6割、アジア系が2割、その他に黒人やヒスパニック系、混血の人などが続きます。男女比はほぼ半々で、所得分布も幅広いものでした。
自分の幸福に良い影響を与えている仏教的な実践として最も多く挙げられたのは、瞑想でした。
回答者の約9割が精神的な健康に有益だと答え、7割が身体的な健康にも有益だと答えています。
ただし、ひとくちに瞑想といっても実践は多様です。禅宗の座禅、マインドフルネス、歩きながら行う瞑想やチベットヨーガなど、さまざまな方法が挙げられました。
瞑想という言葉は、多様な方法や意図、文化的背景を含む包括的なものとしてひとくくりにされているといいます。
また、回答者の半数は「読む」こと、つまり般若心経や念仏、真言を唱えることを挙げました。お題目を唱えることもここに含まれると横山さんは補足します。
静かに座るだけでなく、唱えることを通した瞑想もこの調査の対象に入っているようだと話します。
瞑想の効果は感情の調整、そして心身のつながり
では、具体的にどのような効果が感じられているのか。最も多く挙げられたのは「感情調整」でした。
これはストレスや怒り、不安といった困難な精神状態を管理する能力のこと。回答者の約6割が、こうした感情が静まることを瞑想の主な効果として挙げています。
こうした結果は科学的な瞑想研究の文献とも一致しており、体験としても実感している人が多いと横山さんは指摘します。
瞑想の次に多かった効果は「心身のつながりの強化」でした。横山さん自身も詳しくはわからないとしつつ、身体感覚への意識が高まることではないかと解釈します。
静かに座るだけでなく、自分の身体感覚を感じながら行う瞑想や、体を動かしながら行う実践もあるため、それらが心身のつながりにつながるのだろうと話します。
意外な発見。仏教がもたらす「社会的なつながり」
三つ目に挙げられた効果は、横山さんにとっても、記事の書き手にとっても意外なものでした。それは「社会的なつながり」です。
横山さんは、西洋で瞑想が広まったのは、個人の実践として取り組めるものだからだと考えていました。孤独の中で心を整え、ビジネスに向かう。企業研修に瞑想が取り入れられるようなイメージです。
ところが、アメリカ在住の仏教徒の半数以上が、集団としての側面、つまりサンガに健康増進の効果を感じていたのです。
特に共同体意識や、仏教を良いものだと考える価値観を共有するネットワーク、仲間とのつながりが心地よいと感じられていました。
ある回答者は、これを「西洋のかなり個人主義的な近代文化に対する均衡力」と表現しています。個人主義とは逆のものとして、共同体意識を挙げたのです。
この発見を、横山さんはとても仏教の本質に触れるものだと受け止めます。
これはでもすごく仏教の本質的な部分で、そういったものがアメリカの人たちに感じられてるっていうのは、なんか感慨深いですね。
「良い仲間を得ることは修行のすべて」という言葉
横山さんは、お釈迦様の好きな言葉を紹介します。
悟りは限りなく個人の体験である一方、仏教の修行は一人でやるものではなく、サンガという仲間のグループで取り組むものだと横山さんは説明します。
良い仲間と修行することは、悟りが約束されたようなもの。そうした仲間と歩む道こそが仏道の実践そのものだと理解していると話します。
これは横山さん自身の実感でもあります。良い仲間がいるときは物事がうまくいき、精神的にも安定するといいます。
一般の4年制大学を卒業した後、横山さんは仏教の大学に編入しました。そこで一緒に編入した人たちが、みな真面目な良い仲間だったといいます。
その環境の中で、サボり癖のあった横山さん自身も自然と勉強するようになったそうです。あの体験こそ、お釈迦様の言葉の通りだったと振り返ります。
共同体は仏教の中でとても大事なもの。それがアメリカの仏教徒の中でも良いものとして感じられていることを、横山さんは面白いと感じています。
開かれた共同体としてのお寺の可能性
この話を踏まえ、横山さんは自身が運営する東京別院に思いを重ねます。さまざまな人が参加し、共通の興味を持つ人たちの心地よい共同体になってきているといいます。
横山さんは、人間は一人では生きていけないという話にも触れます。ホモサピエンスは助け合う前提の存在で、赤ん坊は生まれた瞬間から助けられなければ生きていけません。
本来、人は助け合うことや共同体の中にいることに喜びを感じるはずだと横山さんは言います。
しかし最近は、いろいろなものが個人や小さな枠の中に閉じてしまっている。だからこそ、ある程度心地よく開いていくことが必要だという揺り戻しが来ているのではないかと考えます。
その開かれた場所の一つとして、お寺があってもよい。お寺を中心に共同体を再構築するという話ではなく、選択肢の一つとしてのお寺でありたいと横山さんは語ります。
最後に、9月5日の東京別院イベントが改めて案内されます。春木先生の話を聴き、宿坊に泊まり、お寺の体験もできる盛りだくさんの内容です。申し込みページは概要欄にあります。
あわせて、プレミアムリスナーの初月無料が8月10日まで続いていることも案内されました。この期間はプレミアムでも多めに話す予定だといいます。
まとめ
アメリカの仏教徒への調査を手がかりに、仏教実践がもたらす効果を語る回でした。瞑想による感情の調整だけでなく、仲間との共同体が幸福感を支えるという発見が中心に据えられています。
- 調査では、幸福に良い影響を与える仏教実践として瞑想が最多に挙がり、その効果として感情調整が最も多かった
- 意外な発見として、アメリカの仏教徒の半数以上が、サンガという集団としての側面に健康増進効果を感じていた
- 横山さんは「良い仲間を得ることは修行のすべてである」というお釈迦様の言葉を、自身の編入経験と重ねて語った
- 個人に閉じがちな現代だからこそ、心地よく開かれた共同体が求められ、その選択肢の一つとしてお寺がありうる
- 9月5日には法源寺で春木先生の講演会と宿坊泊まりのイベントが予定され、申し込みを受け付けている
