「ラジオ」と名付けた後悔
深井さんは番組名に「ラジオ」とつけたことを「すごく後悔している」と告白します。7〜8年前の開始当初はまだ許容範囲だったかもしれないが、その後「なんとかラジオ」という名前のポッドキャストが激増し、ラジオとポッドキャストの混同日本では「音声コンテンツ=ラジオ」という認識が強く、ポッドキャスト独自の文化が育ちにくい土壌がある。放送局主導のポッドキャスト進出もこの混同に拍車をかけた。が加速してしまったと振り返ります。
ポッドキャストってスポンサーもいなくて、広告モデルを使ってなくて、すごくいい状態だと思うんですよ。それはラジオじゃなくてポッドキャストだから。
ポッドキャストは公共電波の制約や視聴率の圧力から自由であり、オンデマンド性リスナーが好きな時間に好きなタイミングで聴ける仕組み。ラジオのような放送枠や時間枠の制約がない。によって「音声コンテンツである」という点以外に共通点が根本的にないはずだと強調します。
広告モデルとの距離
深井さんは「広告モデルを批判しているわけではない」と前置きしつつ、ポッドキャストにまで広告の悪いところ広告モデルでは視聴率や再生数が重視され、プラットフォームやスポンサーの意向に左右されやすくなる。言説の独立性が損なわれるリスクがある。を導入する必然性はないと主張します。テレビやインターネットで十分機能しているモデルを、わざわざポッドキャストにも持ち込む必要はないという立場です。
広告モデルではない、プラットフォーマーの利害だけで動かない言説空間がある。それがポッドキャストの魅力で大切さなんです。
日本のポッドキャストは今のところ広告モデルが主流ではなく、その「良い状態」を守りたいと深井さんは考えています。樋口さんも「広告モデルじゃないからこそ、自由に変えられる」と同意します。
サムネ・タイトル・BGMを見直す
深井さんは「アホみたいな顔してサムネに映る意味ってなんだっけ?」と自問し、YouTube的な驚き顔サムネ視聴者の目を引くために大げさな表情や煽り文句を使うサムネイル手法。再生数を重視するプラットフォームで一般的。や派手なタイトルコールをやめる方針を明らかにしました。
BGMについては「究極なくてもいい」と樋口さんが指摘し、リスナーの意見も聞きながら段階的に変えていく方針です。深井さんは「おしゃれである必要もないが、聞きやすいものであればいい」と話しています。
ポッドキャストの文化を守る
樋口さんは「ポッドキャストという単語の意味が毎年変わっている」と指摘します。もともとRSSReally Simple Syndicationの略。ウェブサイトの更新情報を配信する技術規格。ポッドキャストはこの仕組みを使って音声ファイルを配信する。という技術規格の名前だったものが、ジャンルになり、今やカルチャーになりつつあると語ります。
カルチャーになるタイミングで、本当に考えないとなって。
深井さんは「マスメディアとは完全に別物だと距離を取りたい」と明言し、テレビ出演のオファーも基本的に断り続けていると話します。「誰でも聞けるけど、マス向けに作っていない」というスタンスを貫く方針です。
振り返り ―― YouTube音声から今まで
樋口さんが番組開始当初を振り返ります。コテンラジオは最初、YouTube音声コンテンツ動画サイトであるYouTubeに、静止画と音声だけをアップロードする形式。当時はポッドキャスト配信プラットフォームとして使われることもあった。としてスタートしました。サムネイルが必要で、タイトルが必要で、それがお笑い寄りのノリに発展していった経緯があります。
深井さんは「自分の感性を手放したコンテンツを作るのは、企業だからできたこと」と振り返り、当時の選択を肯定しつつ、今は「ポリシーを入れ直すタイミング」だと語ります。
自分の感性をちゃんと使ってたら、多分全然流行ってなかっただろうなと思ってます。でもこのタイミングで、ポリシーを入れ直していく。
まとめ
樋口さんは「衣替えの時期」と表現し、深井さんは「季節が変わった、フェーズが変わった」と同意します。番組の質は変わっていないが、果たすべき役割が変わってきたという認識です。
コテンラジオが世の中において発揮する役割も変わってきてると思ってて。一定の役割を担っちゃってる感じがある。
深井さんは「ポジティブな話」と強調し、外的環境に合わせて変えていくのは当然だと語ります。「諸行無常仏教用語。あらゆるものは変化し続け、永遠不変なものはないという教え。なんで」という言葉で、変化を受け入れる姿勢を示しました。
今後はリスナーやCOTEN CREWとコミュニケーションを取りながら、BGM、サムネイル、タイトルを実験的に変えていく方針です。「変わってほしくない」という声もあるかもしれませんが、8年の歴史を経て、番組は新しいフェーズに入ります。
- コテンラジオは番組名に「ラジオ」とつけたことを後悔し、ポッドキャスト文化との混同を反省
- 広告モデルとの距離を保ち、プラットフォームやスポンサーに左右されない言説空間を守る方針
- サムネイル、タイトルコール、BGMなど、テレビ・ラジオ的な演出を見直し、ポッドキャストらしさを追求
- 8年の歴史を経て「衣替えの時期」。番組の質は変わらないが、役割とフェーズが変化している
