📝 エピソード概要
第二次世界大戦後に黄金期を迎えた「福祉国家」が、1970年代の経済危機を境に行き詰まっていく歴史的過程を解説するエピソードです。オイルショックや金融体制の変化がもたらしたスタグフレーション(不況下のインフレ)により、国家は福祉から市場原理を重視する「新自由主義」へと舵を切ります。産業構造の変化や社会的分断がどのように福祉の形を変え、現代の課題へとつながっているのかを深掘りします。
🎯 主要なトピック
- 新自由主義への転換: サッチャー首相に象徴される、国家の市場介入を最小限にする「小さい政府」への移行と社会保障削減の背景。
- 1970年代の経済的激変: オイルショックやブレトンウッズ体制(固定相場制)の崩壊により、世界経済が極めて不安定化した。
- スタグフレーションと政策転換: 不況とインフレが同時進行する中で、政府は「失業対策」よりも「インフレ抑制」を優先せざるを得なくなった。
- 社会的分断と「犯人探し」: 経済不安から、移民や高齢者などの特定層を「社会の負担」と見なす攻撃的な言論や分断が生まれた。
- ポスト工業化の影響: 工場の海外移転や労働の分散により、かつて福祉を推進した「労働者の連帯」が機能しづらくなった。
- フェミニスト経済学の台頭: 従来の福祉国家が前提としていた「女性による無償の家事・ケア労働」の価値を再定義する動き。
💡 キーポイント
- 共同体の境界線: 福祉は「仲間の幸福」を願う仕組みであるため、移民や多様性が増すと「誰を仲間と見なすか」という合意形成が困難になり、福祉が停滞しやすくなる。
- 底辺への競争: グローバル化の中で企業が低コストな国へ移動するため、各国が労働賃金や社会保障を最低水準まで引き下げて競い合う悪循環が生じた。
- 同質性の影響: 北欧諸国が高い福祉水準を維持できた要因の一つに、人口規模が小さく同質性が高いために社会的合意が得やすかった点が挙げられる。
- 制度の前提の崩壊: 男性が外で働き女性が家を守るという旧来の家族モデルが、経済停滞や共働きの増加によって破綻し、新たなケアのあり方が問われるようになった。

