Google I/O特別編!Gemini 3.5 FlashからGemini Sparkまで、現地で感じた注目ポイントを解説
ながらAIラジオのusutakuさんとハヤカワ五味さんが、カリフォルニア州のGoogle I/O 2026会場から特別版をお届け。Gemini 3.5 Flashの登場、動画生成AI「Gemini Omni」の実力、そして企業導入の観点で注目のGemini Sparkまで、大量のアップデートの中から特に気になったポイントを語っています。その内容をまとめます。
Gemini 3.5 Flash ── Proを超えた新Flashモデル
今回のGoogle I/Oで最大級のインパクトだったのが、Gemini 3.5 FlashGoogleのLLM「Gemini」シリーズの最新モデル。Flashは高速・低コストが特徴のラインで、3.5は従来のGemini 3 Flashの後継にあたる。の発表です。これまでGoogleの最新モデルはGemini 3 FlashとGemini 3.1 Proの2本立てでしたが、今回のFlashモデルはバージョンが3.5に引き上げられ、ベンチマークテストAIモデルの性能を定量的に測る標準テスト群。数学・推論・コーディングなど複数の能力を横断的に比較できる。でもかなり上位のスコアを記録しています。
usutakuさんによると、Gemini 3.5 FlashはGemini 3.1 Proよりも賢いとされているとのこと。ただしX(旧Twitter)上の反応を見ると、「ベンチマークほどの性能が体感できない」という声もあるようです。すぐに「最強だ!」と感じられるかは微妙かもしれませんが、速度に関してはすぐに「爆速」と感じられるはずだとusutakuさんは勧めています。
ハヤカワ五味さんが注目しているのは、企業利用の観点です。Gemini 3.5 FlashはエンタープライズプランGoogle Workspaceの法人向け上位プランのこと。セキュリティ・管理機能が強化され、業務データの取り扱い基準を満たしている。でも使えるため、会社のGoogle Workspace環境でそのまま利用できるのが大きいとのこと。0.5刻みのバージョンアップは約半年ぶりであり、企業レベルで使いやすいモデルが大幅にアップデートされた意義は大きいと語っています。
Gemini 3 Flash(高速・軽量)+ Gemini 3.1 Pro(高性能)の2本立て
Gemini 3.5 Flash がProを超えるベンチマークスコアを記録。速度と賢さを両立
Gemini Omni ── 動画生成の先にある「物理世界の理解」
続いて紹介されたのがGemini OmniGoogleが発表した新しいマルチモーダルAI。動画・音声・画像を統合的に生成できる。従来の動画生成AI「VEO」シリーズの後継的な位置づけ。です。これまでGoogleの動画生成AIといえばVEOGoogleが開発した動画生成AIモデル。テキストプロンプトから高品質な動画を生成できる。VEO 2まで公開されていた。でしたが、Gemini Omniに進化しました。生成される動画は現実世界にかなり近しいクオリティで、効果音まで含まれているとのことです。
ハヤカワ五味さんは「Omni」の本質を、単なる動画生成の進化ではなく「世界モデル」としての物理世界の理解にあると指摘します。たとえば、食事中のシーンを描写して1時間後の同じ場所を描いたら、ご飯が食べ終わっていないとおかしい。斜めの場所に物を置いたら転がって落ちるはず。こうした物理法則の理解は、将来フィジカルAIロボットなど物理的な身体を持つAIの総称。現実世界で動作するためには、物理法則や空間認識の理解が不可欠。としてロボットが現実世界に入ってくる際に不可欠になるとのことです。
Sora 2との使い分け
一方、usutakuさんはSora 2OpenAIが提供する動画生成AI。テキストや画像から高品質な動画を生成でき、特に人物の表情や動きのリアルさに定評がある。との比較にも言及しています。人の顔を入れて動かすような用途では、正直Sora 2のほうが優れていると感じたそうです。有名な「ホリエモンがバスケットボールをして泣く動画」のような使い方をGemini Omniで試しても、顔の再現度がまだ追いつかないとのこと。
ただしGemini Omniが真価を発揮するのは、教育系・科学系の動画です。CGとナレーションを組み合わせて、CO2がどうやってできるか(炭素と酸素の化合のプロセス)を解説するような用途には明らかにOmniが向いていると語っています。
人物の顔・表情のリアルな再現が得意。エンタメ系・おもしろ動画向き
物理法則の理解に基づくCG・ナレーション統合が得意。教育・科学系動画向き
おもろ動画作ってもリソースが溶けるだけなんで……科学とか教育に振ってるなって感じはしましたね
Googleの強み ── 既存アセットとの統合
今回のGoogle I/O全体を通じてハヤカワ五味さんが感じたのは、さまざまなサービスの統合が加速しているということです。Google Drive、Google Map、YouTubeなど、Googleが持つ膨大なアセットにGeminiが統合されていく方向性が明確に示されていました。
usutakuさんも、OpenAIやAnthropicとの最大の差別化ポイントは「すでに持っているアセットがあまりに巨大」であることだと指摘します。Google Mapだけでも「人類の資産」と呼べるレベルのデータが蓄積されています。
ハヤカワ五味さんは個人的にGoogle Mapへの不満を語る場面も。お気に入りの店をたくさん保存しているものの検索性が悪く、「六本木付近の中華料理屋を保存したけど、どれだっけ?」という問いに答えてくれないのがもどかしいとのこと。ここにGeminiが統合されれば「マジで最高」と期待を寄せています。
Google Mapとかさ、本当に人類の資産じゃん、あんなの
Gemini Spark ── 企業導入の本命エージェント
ハヤカワ五味さんが今回最も推したいと語ったのが、Gemini SparkGoogle I/O 2026で発表された個人向けAIエージェント。Gmail、カレンダー、スライド、スプレッドシートなどGoogle Workspaceのサービスと連携し、タスクを自動処理する。発表時点では米国限定のベータ版。です。イメージとしてはCoWork(コワーカー系のAIエージェントサービス)に近い、個人向けのAIエージェントで、Gmail、カレンダー、スライド、スプレッドシートなどと連携します。まだ米国限定のベータ版ですが、企業利用の観点から見ると非常に大きな意味があるとのことです。
セキュリティ審査の壁
企業で生成AIを導入する際、最大のハードルの一つがセキュリティチェックです。ハヤカワ五味さんによると、外部のエージェントサービスはやれることが多すぎるとセキュリティ審査が難しくなり、さまざまなコネクターを個別に審査するのも大変で、「一律で書き込み禁止」「一律でリードのみ」といった制限がかかりがちだそうです。
その点、GeminiがGoogle Workspaceに統合されていれば、外部ツールの審査やセキュリティ議論を個別にする必要がなく、Workspace内で完結するぶん個別の論点が少ない。企業レベルで使う観点では、このほうが圧倒的に普及しやすいと分析しています。
コネクターごとに個別審査が必要。やれることが多い=セキュリティ論点も多い。導入に時間がかかる
Google Workspace内で完結。個別の審査論点が少なく、既存のセキュリティポリシーで対応しやすい
エージェントの引っ越しは意外にしやすい
ハヤカワ五味さんは、エージェント系サービスの意外なメリットとして「引っ越しのしやすさ」を挙げています。プロンプトやワークフローをコピーしたり、ドキュメントを1つ噛ませて移行したりでき、その移行作業自体をエージェントにやらせることも可能。従来のGeminiのGemsやスプレッドシートにプロンプトを載せるやり方と比べて、乗り換えのハードルは低いとのことです。
そのため「とりあえず今使えるものを使っておいて、Sparkが日本で使えるようになったタイミングでガツンと移行する」のが良い戦略ではないかと提案しています。現時点では米国限定で来週からベータ利用開始とのことで、日本での提供は今年中に来てくれれば……という期待感です。
企業のAIエージェント活用が採用の判断基準に?
usutakuさんは、将来的に「この会社ではAIエージェントがどういう動きをしているのか」が企業評価の軸になると予想しています。1〜2年後には就活生が「御社のAIエージェントはどのような業務を担当していますか? 人間がやっている業務はどれですか?」と質問し、エージェント活用が進んでいない会社は敬遠されるような時代が来るかもしれないとのことです。
「うちのエージェントがやることはこれです」って話になりそう。人間がまだやってる会社には行きたくないよね、みたいな
Google検索の進化 ── その場でページを生成するAI
usutakuさんはGoogle I/O会場の体験ブースで、まだ一般公開されていないGoogle検索の新機能を試しています。検索すると、AIがその場で検索結果に対応した解説ウェブページを生成してくれるという機能です。
単なるテキストの解説だけでなく、図や動画も含まれるのがポイント。たとえば腕時計が壊れた時に、分解して修理する手順を図解した動画が生成されたり、車のラジエーターが故障した場合にボンネットを開けて修理する方法をビジュアルで見せてくれたりします。
usutakuさんが強調するのは、この機能がGeminiのキャンバス機能のような専用ツールではなく、普通のGoogle検索窓から使えるという点です。AIリテラシーが高い人はGeminiに直接聞けばよい話ですが、一般のユーザーがいつもの検索窓でこの体験を得られることが、真の「マスアダプション」につながると指摘しています。
ベータ版戦略とMVPの基準変化
AI製品のリリース戦略について、二人は「最初のイメージがすべてを決める」問題を議論しています。usutakuさんが例に挙げたのがMicrosoft CopilotMicrosoftがOffice製品群に統合したAIアシスタント。Word、Excel、PowerPointなどと連携して業務を支援する。。初期のCopilotはリリースが早すぎて基本的なExcel操作すらできず、「何ができるの?」という失望感を与えてしまったと振り返ります。
ハヤカワ五味さんも、ブランドビジネスの経験から「最初にがっかりイメージを持たれると、もう帰ってきてもらえない」と同意。半年後に改善されていても、初見の印象が悪いと二度と使ってもらえないのが現実です。
ここからスタートアップのMVP(Minimum Viable Product)「実用最小限の製品」の略。まず最低限の機能だけで市場に出し、フィードバックを得ながら改善するリーンスタートアップの手法。の考え方にも話が及びます。usutakuさんは「今の時代、リーンスタートアップではないほうがいいのかもしれない」と問いかけます。つまり「Viable(実用可能)」の基準自体が上がっているのではないかという指摘です。
動く最低限の機能だけ作って、まず出す。ボイスレコーダーで録ってとりあえず公開
初見の体験品質がすべて。ベータ版・招待制で期待値をコントロールし、がっかり体験を防ぐ
その対策として二人が評価しているのが、ベータ版・招待制でのリリース戦略です。米国限定で出す、ウルトラユーザー限定で出す、ウェイトリストを作るなど、いきなり全世界に公開しないことで期待値をコントロールできます。Claude Codeがプレビューやベータを段階的に分けて出していることも好例として挙げられていました。
突然全部出すとがっかりでもう使わないってなる。だからベータ版で段階的に出すのは正解だと思う
まとめ
Google I/O 2026は、Geminiの新モデル投入だけでなく、Googleが持つ既存アセットとの統合、企業向けエージェント、そしてGoogle検索そのものの進化と、多方面にわたるアップデートが発表されました。
usutakuさんは自身のInstagramとXに「今すぐ使えるもの/まだ使えないもの」のリストを投稿しているとのことで、大量のアップデートを整理したい方はそちらも参考になりそうです。また、番組ではに「飲みながらAI」公開収録イベントの開催も告知されています。
- Gemini 3.5 Flashが登場。ベンチマークでPro超えの性能を示し、速度も爆速。エンタープライズプランで企業利用も可能
- Gemini Omniは動画生成だけでなく「物理世界の理解」が本質。教育・科学系コンテンツが得意で、人物再現はSora 2に軍配
- Google Map・YouTube・GmailなどGoogleの既存アセットとGeminiの統合が加速。検索窓からAI生成ページが出る新機能も
- Gemini SparkはGoogle Workspace内で完結する個人向けエージェント。セキュリティ審査のハードルが低く、企業導入の本命になりうる
- AI製品は初見の体験品質がすべて。ベータ版・招待制で段階的にリリースし、がっかり体験を防ぐ戦略が重要に
