📝 エピソード概要
『もののけ姫』に見る複雑な世界観を出発点に、組織論、認知の限界、そして松岡正剛氏の著作『擬(もどき)』までを深く掘り下げた対話。我々が複雑な現実を「記号化」し単純化してしまう危険性を指摘し、世界を常に「編集可能」なものとして捉え直す知性の必要性を考察します。特に、単一の物語(シングルストーリー)による分断を避けるため、矛盾を許容し、複数の視点(ポリフォニー)を尊重することの重要性がハイライトされています。
🎯 主要なトピック
- キャラクターの単純化と記号情報との戦い: 本来複雑なエボシ御前のような存在を、我々の認知の限界によって善悪の「記号」として単純化してしまう現象と、それにどう抗うかについて議論。
- 松岡正剛『擬』と「編集可能」な世界観: 世界はすべて「もどき」(擬態)であり、与えられた記号を解体し、新しい世界観を再編・編集することが可能であるという思想を深掘り。
- 人間関係における「私と汝(アイ・ダウ)」の視点: 相手を記号や手段(アイ・イット)として処理せず、背景や痛みに思いを巡らせ、生身の人間(アイ・ダウ)として相対することの重要性を提示。
- シングルストーリーの危険性と多声性(ポリフォニー)の提唱: 単一の強い物語(シングルストーリー)が分断を加速させる危険性を指摘。複数の独立した声が対等に響き合う「ポリフォニー」の状態こそが健全であると論じる。
💡 キーポイント
- 我々の認知はエネルギー節約のため、複雑な現実を単純な記号(レッテル)として処理する傾向があるが、そこから抜け出すにはネガティブ・ケイパビリティ(答えを急がない耐性)が必要。
- 松岡正剛があえて出典を明確にしない理由は、世界自体が引用の織物であり、唯一の出典を特定することは「おこがましい」という信念に基づいている。
- 作家チママンダ・アディチェが語る「シングルストーリー」は、不完全な真実を全体と見なし、人間の尊厳を奪うため危険である。
- 矛盾や対立するナラティブを排除せず、そのまま共存させる「多声性(ポリフォニー)」は、社会や個人の精神状態を健全に保つための鍵となる。
- 観光客のように無責任な軽さを持つことで、特定の村(ナラティブ)に属さず、異なるナラティブ間の交配を促す「蜜蜂」のような役割が求められる。
