📝 エピソード概要
本エピソードでは、映画『もののけ姫』に描かれる日本的な自然観を起点に、西洋的な支配・管理の思想との違い、そして現代の組織論や個人への影響について深く掘り下げます。西洋的な機械・軍事的な組織のメタファーに対し、『もののけ姫』が示す、善悪二元論を拒否し、複雑な多様性の中で共存のバランスを探り続ける「関係調整」の重要性が論じられています。この複雑系へのアプローチは、組織経営から個人の自己管理、さらにはサステナビリティの未来を考える上での示唆に富んでいます。
🎯 主要なトピック
- 西洋的価値観と「もののけ姫」的世界観の対比: 旧約聖書的な神・人間・自然の垂直構造(人間中心主義、自然の支配・管理)と、『もののけ姫』が示す、ネットワーク的で複雑な多神教的・生命的な世界観の違いを整理しました。
- 組織のメタファー:「機械」対「生物」: 西洋由来の経営学が軍事・機械のメタファー(管理、コントロール、再現性)に偏りがちであるのに対し、組織を複雑で予測不可能な「生き物」として捉え、管理ではなく付き合い方を考える視点の重要性が議論されました。
- 軍事用語と自己管理への影響: 経営用語に軍事用語が多い背景と、それが個人の自己啓発を通じて「自分を意思によってコントロールできる機械」と見なす考え方につながり、心身の分離といった現代病を引き起こす可能性が指摘されました。
- 「もののけ姫」の複雑な関係調整: エボシ御前やシシ神、もののけたちなど、すべての存在が悪役でも絶対的な善でもなく、それぞれに正当性と暴力性を持ち、複雑な対立と生き残りのための「関係調整」が続いている点が分析されました。
- 複雑系を引き受ける知恵: 善悪の序列を拒否し、整理しきれないカオスな状況(複雑系)をそのまま受け入れ、多様な存在との共存バランスを模索し続ける姿勢こそが、日本的なサステナビリティのヒントであると結論付けられました。
💡 キーポイント
- 西洋的な組織観が「管理」と「軍事」のメタファーに根差している一方で、人間や自然を「動物的」「生命体」として捉えることが、現代の複雑な世界に適応する上で重要である。
- 経営における「コントロール可能」という前提は、現実の組織が持つ「予測不可能性」や「複雑性」を無視している可能性がある。
- 『もののけ姫』が描くのは、固定された善悪ではなく、すべての立場が暴力性と正当性を抱えながら、生存のために戦い、局所的なネットワークの中で共存のバランスを探るプロセスである。
- 「八百万の神」に象徴される多神教的なアニミズムは、自然を支配対象ではなく、道徳的な感受性を持って接するローカルな関係性の基盤となる。
- 分かりやすいソリューションや単純化を求めず、「矛盾のまま抱え続ける」(ネガティブ・ケイパビリティ)知恵こそが、複雑な世界における外交やサステナビリティの課題解決に求められている。
