今回のテーマは「板を立てるを理解する」
今回のテーマは「板を立てる」ことです。ただし、どうやったら板を立てられるかという方法論ではありません。
板を立てるとどういうことが起きるのか、何のために板を立てているのかを理解することが狙いだと語られます。
「板を立てる」はほぼ角付けと同じ理解でいいものの、今回は「板を立てる」という言い方で統一して進められます。
板を立てる本質は「エッジグリップを上げる」こと
カービングをしている人の多くは、板を立てることに重点を置いていると想像されます。
一般的には、板を立てるとターン弧が形成され、深いターンができるというイメージが持たれています。
では何のために板を立てているのか。その本質的な意味を、伊藤さんは一言で表現します。
ある程度スピードが乗ったターンで、板の立ちが10度ほどの浅い状態だと、ターンはできてもグリップが弱く、板がずれた状態になります。
一方、30度や40度くらいまで板を立てると、そのずれが止まってきて、カービングに近づいていきます。
板を立てる
雪面へのエッジグリップが上がる
ずれが止まる
板がずれずに力を受け止められる
カービングに近づく
ずれのないターン弧が形成される
ずれが止まると板がたわみ、深いターン弧になる
理解を深めると、ずれを止めてグリップを上げることで、板がたわんでより深いターン弧になっていく流れが見えてきます。
板を立てる量を増やすほど、基本的にはグリップが強くなり、ずれなくなります。
ずれなくなると、板が力をちゃんと受け止められるようになり、その力によって板がたわんで深いターン弧ができる。これがカービングターンの原理だと説明されます。
「板を立てる=たわませる」という混同への注意
ここが混同しやすいポイントだと伊藤さんは言います。板を立てるほどたわみが生まれやすいのは間違いありません。
しかし、そこから「板を立てる=板をたわませる行為」だと混同しやすい。ここが違うと指摘されます。
板を立てる行為と、板に力を溜めていく行為は、別物として考えたほうがよいという整理です。
板を立てるのは、グリップを上げてずれを止める行為です。そしてずれるとは、板に伝わったパワーが逃げてしまっていることを意味します。
つまりずれを止めるとは、板に来たパワーを逃がさないように受け止める行為だと理解してほしい、と語られます。
外力を体で受け止め、筋力など内力を使って板まで伝える行為
伝わってきた力を逃がさず受け止めるための行為
外力を受け止めて板に伝えることと、逃がさないことは別
ターン中は、遠心力や重力といった外力が体と板にかかってきます。
その外力を体で受け止め、筋力など内力を使って板まで伝える。これが「踏む」「力を伝える」ということだと説明されます。
それとは別に、板を立てて、伝わってきた力を逃がさないための行為が「板を立てる」こと。段階的にも別々だと整理されます。
聞いてくれている人は基本的にカービングが好きな人だと考え、その理解に期待して話していると伊藤さんは添えています。
谷回りでは板を立てても荷重されにくい
板が立ってエッジグリップが強くなると、雪面と板の間で力が逃げずに伝えられます。ただし、これは主にターンピークから山回りの話です。
山回りは遠心力や重力が板に向かってかかりやすいので、板を立てれば自然と荷重されるようなことが起きます。だからこそ混同しやすい、と語られます。
では谷回りはどうか。谷回りは遠心力があまりかからない状況なので、板を立てても板はあまりたわまず、荷重もされません。
板の力を受け止められる状況は作れているけれど、荷重されるような力がかかってこない。それが谷回りの状態だと説明されます。
外力が板にかかりやすく、板を立てると自然に荷重される
外力がかかりにくく、板を立てても荷重されにくい
谷回りから踏む難しさと、今回の着地点
高いレベルになると、谷回りから板を踏め、早い段階で荷重し始めろという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
しかし谷回りは荷重されづらい状況です。相反することをやらなければならず、これは難しい話だと伊藤さんは述べます。
その解き方は伊藤流の技術論に入るため、この場では説明しづらいとして、今回は踏み込まれていません。
今回理解してほしいのは、立てることイコール荷重ではない、特に谷回りにおいてはという点。ここを考えると違うアプローチが見えてくる、と締めくくられます。
入り組んだ話なのでもう一度聞いてほしい、と伊藤さんは呼びかけます。
滑りながら体感すると、谷回りでは荷重されないこと、山回りに入るとちゃんと受け止めて荷重されることが感じられるはずだと語られました。
まとめ
今回は「板を立てる」ことの意味を、方法論ではなく目的から整理する回でした。板を立てる本質はエッジグリップを上げてずれを止めることであり、荷重そのものとは切り分けて考える点が中心テーマです。
- 板を立てる本質は「エッジグリップを上げてずれを止める」こと
- ずれが止まると板が力を受け止め、たわんで深いターン弧になる
- 「板を立てる=踏む・荷重」ではなく、力を伝える行為とは段階的に別物
- 山回りは板を立てると自然に荷重されやすいが、谷回りは荷重されにくい
- 谷回りから踏むには相反する課題があり、違うアプローチが必要になる

