所長が相談する回、はじまる
冒頭は、リスナーからヒョンチョルさんのキャラクター画像が届いたという話題からスタートします。音声配信ならではのゆるい交流に、二人とも少し照れながら喜んでいます。
そのままの流れで、前回河原さんがガチ相談をしたことに触れ、「所長が相談する回もあっていいのでは」と提案されます。
聞き返してみて気づいたんですよ。なんかちょっと不公平じゃないかと思って。なんか僕ばっかり悩み相談して、世界中にさらしたわけじゃないですか。
そこでヒョンチョルさんが選んだテーマは「休み方」。ゴールデンウィーク明けの収録という文脈も重なり、多くのリーダーに響きそうな相談が始まります。
多くのチームリーダー、あとマネージャーとか、まあ起業家の方とかもそうかなと思うんですけど、僕もこう、例によらずですね、なんか連休とかできても休むのがめちゃくちゃ下手くそなんですよね。
休むためにこそ必要な「余白」
河原さんはまず、休みの話は心理的柔軟性状況や感情に応じて自分の反応や行動を切り替えられる力。心理的安全性の土台にもなる概念とされると直結する、と前置きします。
余裕がないと、人は心理的安全性を欠いた振る舞いをしがちだからです。だからこそ、自分の中に余白を作る「休み方」はチーム作りにおいても重要なテーマになると位置づけます。
いろいろとね、あの、詰まった状態で心理的安全性があまりない振る舞いをしてしまうみたいなことが、人間どうしても余裕なくなると起こしてしまいがちなので、いかに休んで余白を自分の中に作るかっていうのは、これは確かに大事なことですよね。
AIで楽になったはずが、なぜ休めないのか
ヒョンチョルさんは、この一、二年でさらに休みにくくなった原因としてAIを挙げます。「延々と答えてくれちゃう人がいる」状態が生まれ、思考のパートナーが常時稼働してしまうからです。
AI出てきてからなおさら休みにくくなったというか。延々と答えてくれちゃう人がいるみたいな感じになってしまって。なおさら休みにくくなったなみたいな感覚もあったりですね。
河原さんも同意し、AIは本来「人を楽にするために進化しているはず」なのに、処理する情報量はむしろ増え続けていると振り返ります。
アウトプットは早くなったなとか、いいクオリティのものを出せるようになったなとかはあるんですけど。処理している情報の量はどんどん増え続けているような感じがしていて。楽になった部分を全部またAIに費やしてしまってる感じがすごくするというか。
さらに二人は、隙間時間があるとプロンプト生成AIに指示を出すための入力文。指示の質でアウトプットが大きく変わるとされるを打って裏で走らせ、その待ち時間で別の作業をしてしまうという状態を告白します。
ご飯を食べる前に一旦AI動かしておくとか。風呂に入る前にAI動かすとか。
動かしとかないと損した気持ちになりますよね。
ナビゲーターのきのせさんもClaudeAnthropic社が開発する生成AI。文章生成や思考の壁打ちに使われることが多いの活用を挙げ、遠隔指示まで始めると外出中も指示を出し続けてしまうと共感します。
戦闘モードのまま入る風呂、擦り切れる神経
河原さんは、この状態が続くと人は持たないと指摘します。夜のお風呂や寝る前など本来は交感神経を落ち着かせる時間まで、AIとのやり取りが侵食してしまうためです。
寝る前とかも風呂に入る前とかも、本来は神経を休ませる時間じゃないですか。休まないと睡眠の質が下がったり、あるいはお風呂に入ったとしても、なんか戦闘モードの状態のまま入るから、体が十分に温まりきらなかったり、休まりきらなかったりする。
ヒョンチョルさんも、開発で使うClaude Codeコードの生成や修正を対話的に行えるAI開発支援ツール。深夜まで作業を続けやすいと語られているによって睡眠が浅くなっていると打ち明けます。
さらに二人は、AI時代ならではの「別種の疲れ」にも言及します。部下がAIで作った資料に対して、上司が「ここは絶対成立しないよね」というツッコミ役を担わされる場面が増えているという指摘です。
一度もやったことがないお仕事をとりあえずClaudeだったりGPTだったりGeminiに作ってもらうみたいな人がすごい増えちゃってる気がしていて。そこのツッコミ役はなぜか上司がしなきゃいけないみたいな状況が生まれちゃってるんじゃないか。
EQから見た「休み下手」の正体
話題はEQの視点に移ります。河原さんは、この三人に共通するのは「自分を動かす力」が高すぎることだと分析します。行動を促す力が強い人ほど、同時並行で物事を進めるのが好きで、休むのが苦手だというのです。
同時並行でいろいろな物事を進めるみたいなのが、もう三度の飯より大好物なんですね。何かストレス負うじゃないですか。ストレス負うと別の作業を始めてストレス解消始めるんですよ。これが割と根深いですね。
ストレスを別の作業で解消しようとするため、プロンプトを打つ手が止まらず、AIが「思考の壁打ち役」として多動を助長してしまう構造が生まれます。
高い実行力
同時並行で物事を進めるのが好きな性質
ストレス発生
仕事や情報過多で負荷がかかる
別作業で解消
休むのではなく別のタスクに手を出す
AIが助長
壁打ち役として延々と応答してくれる
神経疲労
睡眠の質低下・イライラ・追われる感覚
河原さんによれば、一般的には「一日十分でもいいから振り返り、ぼーっとする時間」がよいとされます。ただし多動な人ほどそれが最も苦手だというパラドックスがあります。
こういうタイプの人はじっとして物事を考えずにぼーっとするみたいなのが苦手だから多動なわけで。そうした方がいいのはわかっているが、体が勝手に動くみたいな。頭も勝手に動くみたいな。
AIプロンプトを「レコード一枚」に置き換える
そこで河原さんが実践しているのが、行動そのものを別のものに置き換える方法です。神奈川県二宮に「自分を整える場所」を作り、朝起きたらそこに向かうルーティンを組んでいます。
朝起きたらそこの場所に行って、家から五分ぐらいなんですけど、行って、一曲何もしないでレコードを聴く。っていうのも自分に課してるんですよね。
ポイントは、「休む」という受動的な指示ではなく、「レコードをかけに行く」という能動的な行動として設計している点です。多動な人ほど、行動としてルーティン化すると気が済む性質を利用しています。
この考え方を、河原さんは禁煙のたとえで補足します。タバコを吸いたいときにレモンドロップを口に入れるという古典的な方法と同じで、行動そのものを別の行動に置き換えるのがコツだといいます。
多動な人は考えを止められず失敗しやすい
能動的な行動として組み込みルーティン化しやすい
左脳を止めて、五感を使う
ヒョンチョルさんは、多動なリーダーは頭の中でずっと考え続けてしまうため、身体的なインプットを受け入れる習慣が大事なのではと問いかけます。河原さんは、まさに「五感を使うこと」がポイントだと応じます。
音楽いいのはやっぱ五感なんで。すごくなんか集中できるのと、あと音が全体包み込む感じ、なんか没入感が生まれるんですよね。イマーシブというか。
走ることや筋トレ、料理も同じ効果があるといいます。河原さんの起業家仲間は、フルマラソンについて「走っていくうちにいろんなことがどうでもよくなってきて、走ることに集中できるから」と語っていたそうです。
一方で、散歩中にAudibleオーディオブックの配信サービス。歩きながら本を聴けるが思考は動き続けるを聴くような「二重の使い方」は逆効果だと注意します。目的は思考を止めることなので、あえて何も耳に入れない時間を作るほうがよいというわけです。
思考を止めたり、なんかリリースすることが目的なので、それこそポッドキャスト聴きながらね、今散歩してる方とかもいるかもしれないですけど、もうだったら今すぐ止めて、ちょっと何も耳に入れない時間作るとかね。
よく考えると走るとか歩くっていう行動に、さらにあの知意識が欲しいっていう二個目をつけちゃってるわけですもんね。
河原さんは、意識を左脳的な言語処理から、音・匂いといった右脳的な感覚へ向けるほうがリリース効果が高いとまとめます。
リーダーは責任感でずっと考えてしまう
ヒョンチョルさんは、リーダーは責任感からずっと仕事を考えてしまうと指摘し、そこからどう距離を取るかにヒントが欲しいと問いかけます。河原さんは、自分もそのタイプだと認めたうえで答えます。
極端でもいい、と河原さんは言います。走っている最中や、部活で走っていた時のように、頭が音楽だけになる感覚。それを大人になった今も、意識的に取り戻す仕掛けが必要だという話になります。
最後に河原さんは、代替行動を選ぶ基準として「スクリーンを見ない」「左脳を使わない」ことを挙げます。ヒョンチョルさんには冗談まじりに「編みぐるみもいいのでは」と提案します。
編みぐるみとかいいんじゃないですかね。もう延々ひょんちょるさん編んでもらって。多分編みぐるみ作ってるうちは仕事のこと絶対忘れるから。
ナビゲーターのきのせさんも、話を聞いて「頭を使わない、五感を使う」ことの重要性を再認識したと振り返ります。AIざんまいで「目と頭と指しか使っていない」状態からいかにリリースするかが、AI時代のリーダーの新しい課題として浮かび上がりました。
まとめ
AIが仕事を加速するほど、リーダーは休みにくくなります。多動で行動力の高いタイプほど、「休もう」と決意するのではなく、AIのプロンプトを打つ代わりの代替行動を設計してしまうほうが、結果的にうまく休めるという回でした。
- AI時代は情報処理量が増え、風呂や睡眠まで戦闘モードが侵食しやすい
- EQの観点では、実行力が高い人ほどストレスを別作業で解消し、休み下手になりやすい
- 休むより「代替行動に置き換える」ほうが多動なタイプには効きやすい
- フィジカルで五感を使う行動(走る・筋トレ・料理・レコードを聴く)が有効
- 散歩中のAudibleのように、休憩に思考を重ねる「二重使い」は避ける
