アウトプット前提の読書術と、10万字スマホ執筆
今年を「インプットの年」と位置づけたやまとさんは、年間120冊・月10冊という読書目標を掲げました。もっとも達成できたのは1月だけで、あとは崩れてしまったと苦笑いしながら明かします。それでも「無理やり本を読む時間を作っている」と、姿勢は崩していません。
驚かされるのは執筆スタイルです。著書の原稿はライターに頼らず、すべて自分でスマホのフリック入力で書いているといいます。10万字規模の原稿を携帯だけで仕上げるという話に、けんすうさん・田中さんも思わず反応していました。
でも携帯が一番早くないですか?ってずっと僕は思ってるんですけど。
読書法もアナログを徹底しています。本は必ず紙で読み、良いと思った箇所やページを折って印をつけ、後から手書きでメモにまとめ直すのだそうです。これは高校時代に確立した勉強のスタイルで、「一度インプットしたものを自分でアウトプットすることで実にしていく」やり方だと語ります。
読む(紙の本)
良い箇所・言い回しはページを折って印をつける
まとめ直す(手書き)
後から自分なりにメモに整理し、知識を「実」にする
なぜ「興味の外側」の本を読むのか
最近読んでいるのは歴史や生物学の本が多いといいます。理由は「本を書くときの説得力を上げたいから」。動物の生態や歴史的な事例を「引き出し」として持っておき、たとえ話やストックとして使いたいのだそうです。まさに、本を書くために本を読んでいる状態です。
最近読んで一番良かった一冊として挙げたのが『銃・病原菌・鉄』でした。大学生のときに一度読んで挫折し、読み直して理解できるようになったこと自体が嬉しかったと振り返ります。
本の読み方でユニークなのは、意識的に「自分と違う分野・ジャンル」に触れる点です。本質を抜き出して自分の活動に活かしたり、たとえ話のストックにしたりできると考えているためです。同時に3〜4冊を並行して読み、難しい本の合間にサクッと読める本を挟んでリフレッシュする、という進め方も明かしました。
本の選び方について、けんすうさんも自身の方法を紹介します。書店で「自分の興味のなさそうな棚」にあえて行くというやり方です。
やっぱ自分の意識の外にあるやつが重要だと思うので。そういう本ってAmazonでは探せなかったなっていうのはありますね。
おすすめの本は、尊敬する人と「最近読んで良かった本」を交換し合うことで見つけているとも語ります。自分ではたどり着けない分野の良書に出会える方法として、二人も共感していました。
「イケメンはB型と同じ」という衝撃告白
「見た目のイメージからは意外な勉強家」と言われたやまとさんは、まさにその「見た目」こそが自分を勉強家にした一番の理由だと切り出します。子供の頃からずっと「イケメン」と言われ続けてきたことが、意外にも強いコンプレックスの源だったというのです。
そこで飛び出したのが、たびたび物議を醸すという持論でした。
顔も血液型も、自分の努力とは無関係に生まれ持ったもの。だから褒められてもピンとこず、むしろ「自分には中身が何もないんじゃないか」という強迫観念につながったといいます。加えて、イケメンには「顔だけだもんな」「顔はいいけどバカだぜ」と言われやすい怖さもあると指摘します。ただのバカよりも、イケメンでバカのほうがひどく言われる──その恐怖が、高校3年生ごろまでずっとあったそうです。
だからこそ「顔以外」で価値を証明しようと、勉強やスポーツに全力を注いできました。「自分の良いところは顔以外にいっぱいあるぞ」と言えるように頑張ってきた人生だと語ります。
僕より頭のいい人はたくさんいると思うんですけど、僕より学ぶことが好きな人はまあいないんじゃないかっていう。
田中さんは、同じような話を女性タレント数人から聞いたと補足します。幼少期から見た目で消費され続けた反動で、「見た目が剥奪されたときに残るものがない」という恐怖から一日3時間勉強している、というケースです。生まれ持った価値は「目減りするかもしれない」もの。一方、努力で得たものは自分で積み上げた確かな価値になる──この対比が、やまとさんの原動力の核心にあります。
顔・血液型・身長など。褒められてもピンとこない。目減りする恐怖がある。
勉強・スキル・実績。自分で積み上げた自信になる。超えていける対象。
ギャップこそ最強の武器
中身を磨いてきた自信があるからこそ、今は逆に「顔を使えるようになった」とやまとさんは言います。一番の武器ではないからこそ冗談として最初に出せる。「イケメンなんで」と自分で切り出しても、奥にもっと強いものがあるからダメージにならないというわけです。
得したことを尋ねられると、「面接に落ちたことがない」「先生からの好かれ方が半端じゃない」と答えます。授業中に人の目を見て頷きながら聞くと、先生が気持ちよく授業できる──あくまで仮説と前置きしつつ、内申点で無双していたと明かしました。けんすうさんは、これを「自分が輝いているように見えて、実は相手を輝かせている能力」だと分析します。
ここで田中さんが「逆戦略」を披露します。同じ大学の物理学科(真面目な理系70人ほどの所帯)に、一人だけドレッドヘアで入学。その姿で最前列に座り、質問を続け、テストで一番いい点を取ったところ、先生に強く気に入られたといいます。イケメンでなくても「見てくれが圧倒的に異物である」だけでその場を取れる、というライフハックです。
生意気そうなイケメン × 真面目に頷いて授業を聞く
ドレッドの異物感 × 最前列で質問しトップの成績
「金髪にして授業を真面目に受ける」「ヤクザが猫に優しい」といった例えのように、共通項は"ギャップ"。ただ普通に頑張るより、見た目とのギャップがあるほうが確実に良く見える、という結論に至りました。見た目は自分で変えられる──これも一つの再現性ある戦略です。
数字を捨てて始めた3年間の武者修行
近年、本の執筆やVoicyなど、やまさん個人での発信が増えている背景には、コムドットの大きな方針転換がありました。2025年を振り返る会議で、活動7年で「一番穏やかな年だった」という声が出たのです。登録者目標も早々に達成し、イベントも大成功。しかし「これでいいのか」「安定いらなくない?」という話になり、そこから3年間の"武者修行計画"が始まりました。
問題意識は「芸がないのに人気者」という自分たちの立ち位置でした。この業界では「芸がある人が長く生き残る」のが鉄則。では自分たちの芸は何かと問うと、最初に出た答えは「仲がいいこと」。しかしそれは芸ではない、と気づきます。
芸事は短期間では習得できないため、あえて3年という時間を設定しました。本当は5年が理想だったものの、それではファンがイメージしづらいため3年に。30歳になったコムドットで日本を驚かせるべく、メンバーそれぞれが「種」を持ち、3年後に花を咲かせるための水やり期間と位置づけています。
ワンピースですね。みんな仲間それぞれ修行してこようとか。
この転換の裏には、数字への価値観の変化がありました。登録者数や再生回数の目標を激しく掲げてきた4〜5年を経て、その執着が薄れたのです。執着が消えると荷が下りる一方、求心力を失うという副作用もあります。ファンが応援の仕方を見失い、自分たちが活動する理由も揺らいでしまう。そこで、より長期的で抽象度の高い目標へと切り替えました。
登録者・再生回数という数字目標。進捗が見えやすく応援されやすいが、達成し続けて「飽き」が生じ、身が入らなくなった。
3年後・抽象度の高い目標へ。数字で進捗が見えない分、中間地点の設定と自己確認を各自が担う「一段レベルの高い挑戦」。
抽象度が上がると応援されにくくなる。その対策としてやまとさんが挙げたのが、「何をしてほしいか」を常に明示することです。曲を聴いてほしいのか、ライブに来てほしいのか、本を買ってほしいのか。目標・現在地・してほしいことを、リアルタイムで動画やSNSを通じて丁寧に開示していく、という姿勢です。
「見てる間だけ楽しいなら負け」──知識のナビゲーターへ
個人としての3年後の目標を問われたやまとさんは、「喋りだけで1万人を埋めたい」と答えます。歌も何もせず、自分が喋ることや考えていることだけで、リアルイベントの1万人を集めたいというのです。個々のパワーが合わさったとき最強のチームになる、というのが理想像です。
では、何を武器に人を集めるのか。やまとさんは「この世の答えはもう出尽くしている」という見方を示します。成功例も失敗例も、抽象化すれば同じこと。あとはそれを誰が読み解き、どう解釈し、自分のフィルターを通して伝えるか──その存在価値と説得力を高めることこそが、やりたいことだと語ります。
目指すのは「知識のナビゲーター」。大量のインプットは自分の能力だと言い切り、本当に大事なもの・自分が良いと思ったものを、よりわかりやすく、ためになるように伝える存在になりたいと語ります。近いイメージの人はと問われると、「現時点でも僕が最強っすかね」と自信をのぞかせました。
今後磨くべきは「聞く耳を持つ人の数」。エンタメには注目が集まる一方、講演会の動画などは再生回数が低い現実があります。そこにやまとさんの根本の思想が表れます。
コンテンツはあくまでコンテンツで、視聴者の人生のどこかに入り込めればいい。「みんなの人生はみんなの人生で楽しんでください」と伝えつつ、人生をより楽しく・よりハックできる情報を求めてほしいと願っています。個人チャンネルは登録者16万人で平均再生数は約20万。メインチャンネルの平均約100万と比べると5分の1で、残りの「5分の4」に興味を持ってもらうことが課題だと分析します。
興味深いのは、影響力が大きいからこそ「やってはいけないこと」があるという自制心です。やまとさんは、物事の解釈や政治のような具体的な事柄について発信することは、あえて避けると語ります。
「ヤマトが言ってるからこうだ」って絶対なっちゃうじゃないですか。それ危険だし、面白くないし、人間見ないんで。
数字だけを見れば、ニュースや政権について語ったほうが再生数は取れるはず。それでもやらないのは、聞き手に特殊なバイアスを与えたくないからです。発信するのは「物事の見方」や「勉強の仕方」といった抽象度の高いもの。しかも必ず「これは俺がうまくいっただけで、みんながうまくいくとは限らない」という前提を添え、「一度やってみて、うまくいかなかったらやめな」という提案の仕方を心がけているといいます。
まだ年齢やYouTuberという肩書きで「舐められる」場面はあると認めつつ、それは年月と実績でひっくり返すしかないと語ります。30歳になったとき、どれだけ聞く耳を持たせられるか──それが3年間の勝負だという言葉で、この回は締めくくられました。二人は口をそろえて「地に足がついている」「当たり前のことをちゃんとやりきっている」と評しています。
まとめ
コムドットやまとさんの語りに一貫していたのは、「努力で超えられるものに投資する」という徹底した姿勢でした。生まれ持った価値に頼らず中身を磨き、数字の達成に安住せず武者修行へ踏み出す。そして影響力を持つからこそ、あえて解釈を押し付けない。派手な飛び道具ではなく、当たり前のことを積み重ねる誠実さこそが、限界を突破する原動力になっていることが伝わる回でした。
- 読書は「アウトプット前提」で。紙の本を折り、手書きでメモに整理し、3〜4冊を同時並行で読む
- 本は「説得力の引き出し」を増やすためのもの。歴史・生物学など興味の"外側"にあえて触れる
- 「イケメンはB型と同じ」──努力と無関係な生まれ持った価値ではなく、努力で超えられる中身に投資してきた
- 第一印象とのギャップこそ強力な武器。見た目は自分で変えられる戦略でもある
- 数字目標を達成し尽くした今、あえて安定を捨て3年間の"武者修行"で長期・抽象的な目標に挑む
- 抽象度が上がるほど「現在地」と「してほしいこと」を毎回明示し、応援されやすくする
- 発信は解釈を押し付けず「これは自分が上手くいっただけ」を添える。政治などの具体は語らない
