下邳城の内部で起きた崩壊
呂布シリーズもいよいよ最終回です。安藤さんは「一言で言うと処刑」と切り出します。
最後の場面自体はそれほど長くありません。ただ、その短さの中に呂布という人物の一生が凝縮されている、と安藤さんは話します。
舞台は数ヶ月に及んだ下邳城徐州にあった城。呂布が本拠とし、曹操軍の包囲を受けて籠城した場所として知られます。の内部です。籠城が長引く中、配下の将たちが呂布への不満を抱え始めます。
不満の背景には、策士・陳宮との関係悪化がありました。陳宮はもともと呂布を担ぎ上げた人物です。
でもこの陳宮ってさ、呂布を担ぎ上げた策士の人だよね。だからその人と関係が悪くなる。
動かない天下無双と陳宮の亀裂
陳宮は籠城中も、城の外へ出て曹操軍を内外から挟み撃ちにすべきだと進言し続けていました。城に閉じこもって待つより、動いて活路を開くべきという主張です。
那須さんは、その案が正しそうだと反応します。安藤さんも「多分正しい」と同意します。
しかし呂布は動きませんでした。理由は、妻や側室への執着だったと伝えられています。城を出れば彼女たちが危険にさらされると考えていたのです。
なるほどね。あの天下無双とか呼ばれた武将も、そういう理由で城出られないんだ。
正しいのは陳宮で、それに感情的に反応して拒絶しているのが呂布、という構図になってしまいました。これが二人の間に亀裂を生んでいきます。
図解で二人の主張のずれを整理します。
城外に出て曹操軍を内外から挟み撃ちにすべきと進言し続けた
妻や側室が危険にさらされると考え、最後まで動かなかった
眠っている間に部下に縛られる
籠城の終盤、ついに限界が訪れます。配下の武将たちが眠っている呂布を縛り上げ、曹操軍に引き渡したと伝えられています。
那須さんは「部下に捕まえられたってこと?」と驚きます。外から攻め落とされたのではなく、内側から勝手に終わってしまったのです。
何回か裏切ってた人が、最後は自分の部下に売り上げられると。
曹操への命乞いと劉備の一言
曹操の前に引き出された呂布は、自ら命乞いをします。「私を生かして使ってくれれば天下を取る力になります」という趣旨の言葉をかけ続けたと伝えられています。
那須さんは、プライドの高い武将が命乞いをするのは意外だと感じます。安藤さんは、それこそ呂布の人間らしさだと語ります。
死にたくないし、生きるためにもう使えるものは何でも使ってやろうと。駆け引きじゃなくて、自分が持てるカードを差し出してるっていうだけなんだよね。
その命乞いに反応したのが、曹操の傍らにいた劉備でした。呂布の処遇を問われた劉備は、こう答えたといいます。
劉備は「丁原と董卓のことをお忘れですか」って答えたんだって。
丁原と董卓は、呂布がかつて仕えながら手にかけた主君です。劉備の一言は、呂布が積み上げてきた裏切りの経歴そのものを突きつけるものでした。
しかも指摘したのは、呂布自身が裏切った相手である劉備でした。安藤さんは「これ以上ない締め方」と表現します。
共に処刑された陳宮という理解者
そして西暦198年、呂布は47歳前後で処刑されました。あれほど強かったのに、あっけない最期でした。
最後に、陳宮の話が語られます。陳宮も呂布と共に捕縛されていました。
曹操はかつての配下だった陳宮に助命の意を見せます。しかし陳宮はそれを断りました。
陳宮は「不義の君主に仕えた自分には生きる資格がない」っていう言葉を残して処刑を受け入れたんだって。
那須さんは「武将って感じはこいつの方がする」と評します。安藤さんは、文官である陳宮の潔さに同意します。
安藤さんは、陳宮が呂布を人間として信頼しようとしていたのではないか、と語ります。そんな相手にまで裏切りを誘ってしまった呂布の構図を、切ないと表現します。
強さと孤独がセットだった生涯
呂布奉先の生涯を振り返ると、并州五原郡の端から始まり、丁原、董卓、王允、劉備、曹操といった時代の中心人物と関わり、最後は曹操の手で亡くなりました。
全10回追いかけてきた感想を、那須さんは一言でこう表します。
まあ強いけど孤独って感じだよね。
三国志の時代で武力としてはトップだった人物が、誰にも守られず孤独に終わる。その落差こそ、物語として面白いと二人は語ります。
呂布には、単体で機能する武力はありました。しかし、時間をかけて相手と積み上げる信頼という機構は、最後まで備わっていなかったと考えられます。
天下無双と呼ばれ、三国志の時代でトップだった。単体で機能する力
時間をかけて相手と積み上げる機構。最後まで備わらず、部下に縛られ誰にも守られなかった
まとめ
呂布は下邳城で部下に縛られて曹操へ引き渡され、劉備の一言が処刑を決定づけました。天下無双の武力を持ちながら信頼を積み上げられず、唯一共に処刑された陳宮を残して孤独な最期を迎えた、というのが呂布の生涯の総括です。
- 籠城が長期化する中、陳宮の進言を退けて動かない呂布に配下の不満が募り、内側から崩壊した
- 眠っている間に部下に縛られ曹操へ引き渡された最期は、裏切りを重ねた呂布への皮肉な結末だった
- 命乞いする呂布に対し、劉備の「丁原と董卓のことをお忘れですか」の一言が処刑を決定づけた
- 共に処刑された陳宮は助命を断り、呂布を信頼しようとした唯一の理解者として静かな余韻を残した
- 呂布には単体で機能する武力はあっても、信頼という機構が欠けていた点に、強さと孤独のセットが表れている
