突然振り込まれた7万円で、なぜやる気が消えたのか
冒頭は花粉症や生活リズムの雑談から始まり、そのまま今回の本題である番組の「プチ作戦会議」へと入っていきます。
きっかけは、キャリア逆転塾ヒトハタのリリースに向けて発信を増やそうという話でした。Xを頑張った結果、玉置さんのアカウントが収益化条件を満たし、7万円ほどが振り込まれたと言います。
ある日突然お知らせが。500何30何ドルみたいなのが「収益化されました」みたいなお知らせが出て、「なんじゃこりゃ」と思って。
最後の条件は、認証済みフォロワーが500人を超えることだったようです。最初は嬉しかったと玉置さんは振り返ります。
ちょっとランクアップした感じするじゃないですか。「嬉しい」と思ってて、「頑張らなきゃな」と思ったんですけど、むちゃくちゃやる気なくなっちゃったんですよ。
嬉しいはずの収益化が、逆に筆を重くしてしまった。ここから、その理由をめぐる話が深まっていきます。
内発的動機に「余計な線」が入った瞬間
Xを見るのも楽しくなくなり、ポッドキャストの告知投稿すら義務的にしかできなくなったと玉置さんは言います。原因がわからず、AIに相談したところ答えは簡単に出たそうです。
これまでは内発的な動機、つまり自分がやりたくてやっていた行動でした。そこに外部からの報酬が加わったことで、動機の意味が変わってしまったのです。
やりたくてやってるって線に一本余計な雑な線が入ったみたいな感じなんですよね。だから収益、頑張る、収益が入るになっちゃったんですよ、急に。
玉置さんは、この報酬を自分の中の「不純物」と表現します。読んでもらおうとすると収益が上がる方向に進んでしまい、それが整合性の取れなさとして引っかかると話します。
好きでピアノを弾いていて、むちゃむちゃ上手になった時に、ご褒美性とかになった瞬間に急にやる気なくなるとかいうのって、もう心理的に実証されてるらしいんですよ。
お金がもらえるともっと頑張れる人が多いからこそ、X社は報酬を配っているのだろう、と岡島さんは整理します。しかし玉置さんの場合は正反対で、2週間ほど記事を1本も書けなくなったと言います。
翻訳機能で一変したXは「昔のFacebook」に似ている
話は、X側がなぜ記事機能や翻訳機能に力を入れるのかという方向へ移ります。長く読まれる文章はAIの学習素材として価値が高い、と2人は見ています。
イーロンからすれば、長く読まれる文章をAIの餌にするにはもってこいなのでいいと思うんですよね。
世界各国の言葉の翻訳機能が標準搭載され、アルゴリズムも変わったことで、海外の投稿が日本語で大量に流れてくるようになったと言います。玉置さんはこの状況を、かつての体験になぞらえます。
日本にまだFacebookが上陸する前で、アメリカでFacebookができた時に、最初に登録したことがあるんですね。知らないアラブの国のお葬式の画像とかも流れてくるんですよ。すっげえ面白いなと思ってて。
岡島さんも、外国のモデルの画像を使った大喜利が日本人の間で盛り上がるなど、これまでになかった動きが起きていると挙げます。玉置さんは、この変化の良い面も指摘します。
何よりも、謎の喧嘩みたいなのの割合が減ったので嬉しいです。
喧嘩ネタは文脈を知らないと楽しめません。グローバルなコンテンツが中心になることで、文脈依存の争いが目立たなくなる浄化作用がある、と玉置さんは考えます。
グローバル化しても「私はグローバルにならない」
一方で、この変化には冷静な見方も示されます。今は国ごとの特性が出て面白いものの、アルゴリズムが均一化すれば、また同じようなコンテンツが溢れる懸念があると玉置さんは話します。
今は面白いですけど、いずれアルゴリズムが均一化していくじゃないですか。またそのアルゴリズムの奴隷みたいなコンテンツが溢れる世界にはなるんじゃないですか。
それでも、日本では報道されない各国の視点や日常が流れてくる点は面白いと2人は一致します。ただし、どこまでAIが書いているかわからない問題は残ると指摘します。
市場が世界へ広がったなら、玉置さんの記事が海外でバズる可能性もあるのでは、と岡島さんは投げかけます。これに対する玉置さんの答えは明確でした。
今フォローしてくださってる方たちって、こういうのって役に立つんじゃないかなとか、しみるんじゃないかなみたいな感じでしか書けないので、どれだけグローバルになっても、私はグローバルにならないと思うんですよね。
想定する読者がいるから書ける。ターゲットが想像できない相手に向けては書けない、というのが玉置さんのスタンスです。狙って収益を上げに行くこともできるが、そうするとまた止まってしまうと言います。
7万円の使い道を決めて、動機の問題を解消する
玉置さんは、収益をどう扱うかで自分の中の問題を解消したと明かします。それは収益を目的ではなく副産物として位置づけることでした。
収益が上がったとしても、その使い道を、私はその奨学金の原資にしようって決めたので、自分の中のその問題はクリアされたんですね。
AIの使い方についても、玉置さんは自分のやり方を説明します。すべてをAIに量産させるのではなく、自分の仮説から出発するのが前提だと言います。
私にはこういう仮説があるんですけれども、これを裏付ける事例はありますか、もしくはその反証してくださいみたいな感じで会話をして、その結果を選んで書くようにしていて。
ここで岡島さんは、玉置さんのX活動がこの番組にとって重要だと切り出します。ビジネスやキャリアを扱う番組は、Xでの発信と相性が良いというのです。
この番組のリスナーの多くはSpotifyやAppleのおすすめで聴き始めた人が多く、逆にリスナーがXへ流れることは少ないと岡島さんは分析します。ところが、玉置さんの投稿が伸びた時にはXから番組へ来てフォローする人が増えると言います。
外から人を連れてこられる番組だとプラットフォーム側に評価され、さらに露出が伸びる。だからこそ、玉置さんがXを頑張ることが、番組の規模を大きくする上で今のところ一番有効だと岡島さんは指摘します。
収益を寄付やカバーアートのデザイン発注、そして以前から話している公開収録の費用に充てるという方向が示され、玉置さんもやる気が戻ると答えます。
自分がやりたくて書く内発的動機で、Xを見るのも投稿するのも楽しめていた
動機に「収益」という線が入り、義務的にしか書けず筆が止まった
ビデオポッドキャストとYouTube、どう向き合うか
作戦会議のもう一つのテーマとして、映像を使うかどうかの議論に移ります。海外ではマイクを置いて話すだけの「ビデオポッドキャスト」が絵として定着した、と玉置さんは指摘します。
岡島さんは、ポッドキャスト的なポッドキャストと、ビデオポッドキャスト的なものは別物だと感じていると話します。日本ではリハックのように、ほぼYouTube寄りの番組もあります。
音しか聞いてないんだけど、ビデオポッドキャストみたいな感じですよね。なんか映像が必要な意味あんまないですよね。
一方で、YouTubeというプラットフォームの母数の大きさは無視できないと岡島さんは言います。他番組で切り抜きのショート動画を作ると3万再生ほど回ることもあると具体例を挙げます。
YouTubeに出してるじゃないですか。見たら、「え、110人も聞いてくれてるんだ」みたいにちょっとびっくりしたんですよ。
『メタ仕事論』で映像をやるなら、化粧や見た目の手間、収録の負担が増える懸念もあります。ちゃんと編集した動画の方が良いに決まっているのでは、という葛藤も岡島さんは正直に語ります。
結論として、自分たちで試すか、他の番組が試しているのを横目に見て、フォーマットが固まったら乗っかる、という2つの選択肢が示されます。ここは岡島さんに任せる形で締めくくられました。
皆さんのご意見とかも聞きながらやっていきたいので、ちょっとご要望とかをお寄せいただけると助かります。
最後に、キャリア逆転塾ヒトハタは4月開講予定で、最初はオペレーションの負担を考えて大々的に告知せず、こっそり始める方針だと玉置さんは説明します。
新規のオープンのお店みたいに、モタついちゃうので、最初こっそり告知して始めようと思ってて。うまく回るようだったらもうちょっと大々的に告知するので。
まとめ
突然の収益化がやる気を奪うという意外な体験を起点に、SNS環境の変化と番組の今後を率直に語り合った雑談回でした。動機のあり方と、それを保ちながらどう発信を続けるかがテーマとして通底しています。
- 報酬が加わると内発的な動機が損なわれ、玉置さんは2週間ほど記事が書けなくなった
- 玉置さんは収益を「奨学金の原資」など副産物と位置づけることで動機の問題を解消した
- 翻訳機能の標準搭載でXは各国の投稿が日本語で流れる場になり、文脈依存の争いが減った
- 玉置さんのX活動はXから番組への流入を生み、番組を大きくする上で有効だと整理された
- ビデオポッドキャスト化は葛藤が残り、自分で試すか他番組を見て判断する方針となった


