
100日後に社会復帰するワイコメントを投稿するにはログインが必要です
ログインページへ生成AIの話をするとき、写真が引き合いに出されることがよくあります。写真が発明されて、そっくりに描く画家の価値がなくなった。あれと同じことが今起きている、という説明です。
この比喩、だいたい合っていると思っています。ただ、その先があるなと。写真は確かに画家の仕事を奪いましたが、絶滅しなかった画家がいます。ピカソです。
国立新美術館でやっている「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」に行ってきました。僕はピカソをゲルニカくらいしか知らず、正直あれは汚い落書きに見えていたクチです。その程度の前提で行って、完全に打ちのめされました。
まず順番を勘違いしていました。写真が実用化されたのはピカソが生まれる42年も前で、この人は「奪われ終わったあとの世界」に生まれてきています。絵は何をするのかという問いが、最初から目の前にある状態からのスタートでした。
そして5年から10年で作風がまるごと変わっていきます。かといって新しいことばかりの人でもなく、マネやベラスケスの名画をもとにした連作を何十点も描いている。古典を完璧にこなしたうえで崩していました。
いちばん腑に落ちたのが作品数の内訳です。生涯14万点以上のうち、10万点が版画でした。手が速いのではなく、複製する技術をまるごと取り込んだ結果です。60代半ばでリトグラフの工房に通い詰め、そのあと陶芸まで始めています。極めつけに、自分が主演した映画まであります。
新しいものが出てきたときに拒絶せず、圧倒的な量でこなして自分の中に取り込み、幅を広げる。LLMが来て、この先ロボットやフィジカルAIも来るであろう時代に、いちばん生き様を学ぶべき画家なんじゃないかと思いました。
会場の空間もポール・スミスが手掛けていて、今まで行ったどの美術展よりも圧倒的でした。会期は9月21日までです。
▼ 記事版
https://note.com/haisupena
BGM: ensolarado by Kyaai (DOVA-SYNDROME)