多くの人は「まだ世にないもの」を作ろうとする
新しいビジネスを考えるとき、多くの人はまだ世の中に存在しないものを作ろうとします。
もちろんそれも一つの方法です。
でも、私はもう一つの見方があると思っています。
それは、人がすでに使っているのに、比較検討されていない予算の流れを見るというやり方です。
たとえば電気代、携帯電話料金、インターネット回線。
私たちは毎月お金を払っていますが、その度に真剣に比較検討しているわけじゃないですよね。
気づけば契約が続いていて、気づけば毎月引き落とされている。
こういう固定支出、毎回の意思決定を必要としない支出が、生活の中にたくさんあるんです。
人は新しい出費には慎重だけど、使い道を変えるのは前向き
新規事業を考えるとき、私はこの「どの道使われるお金」に注目することが大事だと思っています。
なぜかというと、人は新しい出費には慎重だけれども、すでに使っているお金の使い道を変えることには比較的前向きだからです。
しかも、その敵は「お金を出すのが嫌」ということじゃないんですね。
切り替えが面倒というだけなんです。
風船屋の後輩と「祝花の予算」を見た話
具体例を出します。
後輩に風船屋さんをやっているやつがいるんです。
私たちは仲間と酒を飲むとき、その席にいる経営者の事業をブラッシュアップすることを、酒の肴にするんですね。
その流れで後輩の風船屋の事業を見たとき、私が最初に目をつけたのは、イベントのロビーに並ぶ祝花に使われている予算でした。
友達がイベントを開くとき、お店がオープンするとき、舞台の初日を迎えるとき、昔からお花を贈る文化があります。
でも、よく考えてみると、イベント主催者は本当にお花が欲しいのか。贈った人は本当にお花を贈りたかったのか。
もちろんロビーに花が並ぶと綺麗です。
ただ、本質はそこじゃないんですね。
あれは、お祝いしたい、応援していると伝えたい、関係性を示したいという気持ちの表明です。
つまりあれは、お花市場と見せかけて、実はお祝い表明市場なんです。
この視点に立つと、勝負する相手はお花屋さんじゃなくなる。
考えるべきは、お祝いの気持ちを表明するための予算になるわけです。
受け取る側が宣伝してくれる仕組み
その後輩は役者もやっているので、知り合いに舞台を作っている人がたくさんいます。
そのネットワークを使えばいい、バルーンショップもやっているんだからそこにバルーンを送れるようにすればいい、という話になりました。
そうしてお祝い用のバルーンスタンド、ルビッチのバルーンスタンドを作ったんです。
ここでのポイントは、ただ花をバルーンに置き換えただけじゃないところです。
送られたバルーンスタンドの売り上げの一部が、イベント主催者に入る仕組みにしました。
主催者からすると、同じお祝いをもらうなら、お花よりもバルーンの方が嬉しい状況になる。
会場が華やかになるだけでなく、収益にもつながるからです。
結果として、主催者自身が積極的にバルーンスタンドを紹介してくれるようになりました。
商品を売りたい側ではなく、受け取る側が宣伝するという構図ができあがったんです。
私がおもろいと思ったのは、まさにここでした。
商品を見るな、予算を見ろ
この事業がうまく回り始めたのは、バルーンが花より優れていたからじゃないんです。
お祝い表明という既存の支出を、再設計したからなんですね。
新しいビジネスというと、ついつい新しい商品を探しちゃう。
でも本当に見るべきなのは、商品じゃなくてお金の流れなんじゃないかと思います。
人が毎月払っているお金、毎年払っているお金、ずっと続いている慣習的な支出。
そこには、まだ誰も再設計していない市場が眠っていることがあります。
そしてその市場の正体は、見えている商品と違うことが多いんです。
お花の話でいえば、本質はお花ではなくお祝い表明だったように。
まとめ
大体みんな商品やサービスから設計していきますが、お客さんの予算から再設計してみてはいかがでしょうか。ビジネスのヒントは、商品ではなく「人が何にお金を使っているのか」を観察した先にあるかもしれません。
- 新規事業は、まだ世にない商品ではなく、すでに使われている予算の流れから考える
- 人は新しい出費には慎重だが、使い道の切り替えには比較的前向き。敵は「面倒」だけ
- 祝花はお花市場ではなくお祝い表明市場。市場の正体は見えている商品と違うことが多い
- 売りたい側ではなく、受け取る側が宣伝してくれる仕組みを設計する






