河口湖音楽と森の美術館の近況
本題の前に、西野さんは河口湖音楽と森の美術館山梨県・河口湖畔にある美術館。西野さんが手がけるチムニータウンが運営のバトンを徐々に引き受けている施設。の近況を紹介します。運営のバトンをじわじわと預かっていること自体は前から話していたものの、大々的な告知は控えてきたといいます。
その理由は明確で、まず収支の見直しなど「裏側の改善」を優先してきたためです。毎週ミーティングで数字を見ながら、直すべき点を一つずつ直しているとのこと。裏側をしっかりさせないと、どんな会社もプロジェクトも立ち行かなくなるからだと語ります。
もう一つの理由は、ファン向けに見せられる「チムニータウンのコンテンツ」がまだ少なかったこと。しかし最近、公式ショップ「モフの家」や絵本の原画が並ぶ「西野亮廣展」が相次いでできたことで、案内できる状態が整いつつあるといいます。
先日はインパルスのつっつん(堤下敦さん)が美術館を訪れ、夜のパーティーまで参加。その様子を自身のYouTubeチャンネルにアップしてくれたと紹介されました。西野さんは、YouTubeをやっている人で撮影に来たい場合はインスタのDMで連絡してほしい、金曜日は比較的いるので立ち会うようにする、と呼びかけています。
なぜ不相応な大金で権利を買うのか
ここから本題です。西野さんはまず、チムニータウンが決して大きな会社ではないと前置きします。それでも映画を作るときなどは、会社のサイズに不相応なお金を出すことがあるといいます。5億円、10億円といった規模を、一つの作品のためにポンと出すこともあるそうです。
その心は「権利を獲得するため」。ただし、権利取得と聞くと、多くの人は「自分たちの利益を最大化するためだろう」と考えます。西野さんはそれも間違いではないと認めます。会社である以上、利益を生み出して事業を継続させることは大前提だからです。
加えて西野さんは、自分たちが権利を持った方がそのIPを最も熱量高く運用できる、という自負も語ります。ルビッチやモフを届けたり、グッズを作って売ったりすることに、チムニータウンのスタッフほど熱量が高い人はいない。作品を単なる商品ではなく「長く愛される文化」として育てたいという思いは、どこの会社にも負けないといいます。
権利を買う「本当の理由」は開放するため
そのうえで、チムニータウンが権利を取得する「本当の理由」は別のところにあると西野さんは言います。それは、IPを独占するためではなく、IPを開放するためだというのです。一見すると矛盾して聞こえるこの発想が、この回の核心です。
権利は「門を閉ざす」ためのもの。独占して利益を最大化する。
権利は「門を開く」ためのもの。挑戦する人を増やすために保有する。
具体例として挙げられたのが、今年12月に別の会社が主催する子供ミュージカルえんとつ町のプペルジュニア西野さんの絵本「えんとつ町のプペル」を原作とする、18歳以下の子供たちが出演するミュージカル。この回では出演者オーディションが告知された。です。もしこのIPの権利を、利益最大化を第一に考える大企業が保有していたら、ライセンス料の負担が重く、小規模な公演は企画そのものが成立しなかったかもしれない、と西野さんは指摘します。
チムニータウンは違う発想をとります。「どうしたらこの挑戦が実現できるか」という起点からライセンスを設計するため、必要以上に高い利用料を設定しない。むしろ提示された金額をこちらから下げることさえあるといいます。「その金額だと御社のサービスが回らないと思うので下げましょう」と、劇場費などの負担を見越して自ら値下げを提案するのです。
「えんとつ町のプペル」がバレエや歌舞伎など、いろいろなメディアで多様な形で世に出ている理由も、この「挑戦する人の負担を下げる」姿勢にあると語られました。
見ているのはライセンス収入ではなくIPの寿命
権利を安く貸し出すことは、短期的には痛手だと西野さんも認めます。何億円も出して買った権利を、貸し出し料も下げて回すのだから当然です。ただし、見ているのは目先のライセンス収入ではなく「IPそのものの寿命」だといいます。
IPの価値はライセンス料の高さだけでは測れない。どれだけ多くの人が作品に触れ、作品を使って新しい挑戦をし、多くの場所で愛され続けるか。その積み重ねによって、IPは「文化」へと育っていく、という考え方です。
短期のライセンス収入は大きいが、作品に触れる人・挑戦する人は限られる。
結果としてIP自体が強くなる。挑戦の中から思いつかなかったアイデアや新しい才能が生まれる。
囲い込ませないために買い取る
だからこそチムニータウンはIPを囲い込まないと西野さんは言います。むしろ「誰にも囲い込ませないために買い取っている」というのが、権利取得のもう一つの説明です。
作品の世界観は大切に守りながらも、その世界で挑戦したいと思う人にはできるだけ広く開いていたい。その方が作品にとっても幸せであり、IPは一社だけで育てるものではない、という考えです。たくさんの挑戦者が集まり、試行錯誤を繰り返すことで新しい価値が生まれる。そんな循環があって初めて、IPは世代を超えて愛される存在になるといいます。
独占する権利を買っている
挑戦する人を増やし、作品の未来を広げるための権利を買っている
そのうえで西野さんは、権利を手に入れること自体が目的ではなく、その権利をどう使うかという「思想」こそがIPの未来を決める、とまとめました。今も自分たちで頑張って権利を買い、「どうぞ使ってください」と開放し続けているといいます。
放送の最後には、12月上演の「えんとつ町のプペルジュニア」の出演者オーディションが告知されました。対象は小学生から18歳以下の子供たちで、応募期間は7月11日(土)23時59分まで。詳細は公式ホームページで確認するよう案内されています。
まとめ
チムニータウンが会社の規模に不相応な大金を払ってIPを買い取るのは、独占して利益を最大化するためではなく、むしろIPを「開放」するためだと西野さんは語りました。挑戦する人の負担を下げ、多くの人が作品に触れ、使い、愛することでIPは文化へと育っていく。見ているのは目先のライセンス収入ではなく、IPそのものの寿命だという発想が印象的な回でした。
- チムニータウンは映画などで5億〜10億円規模の投資をして作品の権利を獲得している。
- 権利取得の「本当の理由」は独占ではなく、IPを開放し挑戦する人を増やすため。
- ライセンス料は必要以上に高く設定せず、むしろ相手の負担を見て自ら下げることもある。
- 見ているのは目先のライセンス収入ではなく「IPの寿命」。多くの人が挑戦できる方がIPは強くなる。
- 「誰にも囲い込ませないために買い取る」という発想で、権利をどう使うかの思想がIPの未来を決める。
