Voicyパーソナリティと河口湖でキャンプ構想
放送冒頭、西野さんはVoicy音声配信プラットフォーム。パーソナリティが放送を配信し、リスナーがアプリで聴取する。の緒方社長と以前対談した際の話を紹介しました。プロジェクトを大きくするうえで、チームメンバーの力を超えて成長することはない──そう考えたとき、Voicyを盛り上げる鍵はやはりパーソナリティとリスナーの結束にあると感じたそうです。
そこで西野さんが提案したのが「パーソナリティ全員でキャンプに行く」というアイデアでした。渋谷のオシャレなビルで集まるより、一泊二日で夜に肉を焼きながら語り合う方が、AIには代替できない横のつながりが生まれる、というのがその発想の根っこにあります。
パーソナリティ同士の横の繋がりがめちゃくちゃ強いみたいなことって、なんかAIとか絶対代替できないじゃないですか、癒着みたいなノリなんで。
そしていま、西野さんは河口湖音楽と森の美術館の運営を引き継ぎつつあり、頑張れば貸切もできる状態にあるとのこと。Voicyパーソナリティ全員で河口湖音楽と森の美術館を貸し切って周年イベントを開く──富士山を見ながらほとりを一緒に歩き、「そっちの放送はどうですか」と語り合う。そんな時間の価値を強調していました。
河口湖音楽と森の美術館の事業再生
本題は、チムニータウンが取り組んでいる河口湖音楽と森の美術館山梨県河口湖畔にある美術館。オルゴールやオートマタなどを展示する。現在チムニータウンが運営を引き継ぎつつある。の事業再生の話です。バトンが渡ってきているということは、前任者の運営で苦戦を強いられていたということ。調子がいい時にバトンは回ってきません。
ただし西野さんは「そもそも勝ち目があると思って手を挙げている」と前置きしたうえで、現状の手応えを語ります。まだ誇れる結果は出ていないものの、この一〜二ヶ月で数字面はかなり改善しているとのこと。ガイドツアーに参加する常連客からも「ここ変わってるやん」と言われるほど、改善のスピードは速いようです。
ことエンタメにおいては、もしかしたら事業再生得意かもしれないなというところなんですけども。
その自信の背景には、チムニータウンがこれまで自分たちでリスクを取り、スタッフ全員がPLProfit and Loss statement(損益計算書)の略。売上・費用・利益の関係を示す会計書類。を把握しながら、お笑い・絵本・映画・ミュージカル・イベント・フェスなど、あらゆるスタイルのエンタメで集客し続けてきた経験があります。
犬の置物事件が示すノイズの正体
ここからが今日の本題です。西野さんが河口湖音楽と森の美術館に入って最初に驚いたのは、建物の入り口や至るところに陶器の犬の置物が大量に置かれていたことでした。田舎のおばあちゃんの家の玄関や庭先にあるような、あの犬の置物です。
ディズニーランドのミッキーマウスの置物
ストーリーが繋がっているので納得できる
音楽美術館の犬の置物
文脈が繋がらず、来館者が「なぜ?」と感じる
犬の置物だけではありません。コストコで売っているようなクマのぬいぐるみが置かれていたり、誰も座らないような場所に椅子がポツンと置かれていたり──来館者から見れば「これは何ですか?」となる要素が至るところにあったのです。
実際、西野さんが美術館ガイドツアーで受ける質問のダントツ1位は「西野さん、この犬の置物は何ですか?」だそうです。ところが美術館の館長や社長に理由を尋ねると、返ってくる答えはこうでした。
もはや違和感を覚えていない。「え、これそんなヤバいやつなんですか?」という反応だったそうです。それに対して西野さんは正直に「ダサいを通り越して恐怖です」「負のオーラ半端ない」と伝え、現在じわじわと撤去が進んでいるとのこと。
なぜノイズは透明化してしまうのか
ここで西野さんが指摘するのが、今日のテーマである「ノイズの透明化」です。お客さんにとってもスタッフにとっても圧倒的なノイズが、長くそこにいる人からすると景色や空気になってしまう。一度透明化するとほとんど気づけなくなる──これが問題の本質です。
そしてここに、西野さんが今回学んだ最大のポイントがあります。
「空振りした」と分かりやすい
だから撤去の判断ができる
気づかないうちに景色化する
撤去の判断ができないまま残る
これは西野さんの会社でも、リスナーの会社でも、どんなチームでも起こりうる問題です。だからこそ、今回チムニータウンが「よそ者」として入ったことで、透明化していたノイズが一気に可視化されたわけです。
よそ者視点をどう定期的に取り入れるか
西野さんの結論はシンプルです。会社は数年おきに、期間限定でよいので「姿勢矯正」してくれる人を雇うべきである、と。いわゆるコンサルタントがその役割を担えるのですが、ここに大事な注意点があります。
コンサルはコンサルタントにお願いしちゃダメよ。今現在事業をやってきちんと結果を出してる人にお願いしてみてください。
この指摘は、自分たちチムニータウンにも当てはまる、と西野さんは付け加えます。ずっとやっているからこそ、透明化して機能不全を起こしているサービスが必ずある。だからこそ、期間限定でよいから、定期的に姿勢矯正してくれる人を入れなければいけない──今回の犬の置物事件は、その必要性を強く実感させる出来事でした。
まとめ
河口湖音楽と森の美術館の事業再生の現場で見つけた「犬の置物」は、単なるインテリアの問題ではなく、組織にひそむ普遍的な問題を象徴していました。長くその場所にいると、機能不全なアイデアさえも景色に溶け込んで見えなくなる。だからこそ、外部の目線を定期的に取り入れる仕組みが必要になります。
自分の会社、自分のチームにも「犬の置物」が置かれていないか──そう問いかけてみる価値がありそうです。
- チムニータウンは河口湖音楽と森の美術館の事業再生を進めており、この1〜2ヶ月で数字面の改善が進んでいる
- 美術館には脈絡なく置かれた「犬の置物」が大量にあり、来館者の質問No.1になっていた
- スタッフにとっては「前からあった」ため違和感が消え、ノイズが景色化していた
- 初日から失敗するアイデアは分かりやすいが、じわじわ機能不全になったものは視界から消える
- 会社は数年おきに、期間限定でよいので外部視点で姿勢矯正してくれる人を入れるべき
- コンサルを依頼するなら、コンサルタント業の人ではなく現役で事業結果を出している人に頼むこと
