3部門受賞、でもこれは僕の功績ではありません
CHIM'NYTOWNが共同プロデューサーとして参加させていただいた『CATS The Jellicle Ball』が、今年の4月からスタートしています。
そして第79回トニー賞で、演出賞、衣装、振付の3部門を受賞しました。9部門にノミネートされていて、「どれか取れるかな」という感じで臨んだ結果です。
いろんなところで念を押して言っているんですけれども、これは西野の功績ではないんです。
素晴らしいキャストさん、スタッフの皆様、そして支えてくださったファンの皆様の熱狂に、僕はただ相乗りしただけの話で、たまたまご縁があって運が良かった。それだけなんです。
「お金を出しただけでしょ?」への僕の答え
共同プロデューサーという肩書きについて、時々言われることがあります。
「私ミュージカル知ってますよ」という人、しかもその中でもアンチっぽい人から、「共同プロデューサーってお金出してるだけの人でしょ?」と言われるんです。
これについてご説明させていただくと、いや、本当にその通りなんです。お金を出したら共同プロデューサーになれます。
ただ問題は、お金を出させてもらえないんですね。
共同プロデューサーを議論するときに本当に議論しなきゃいけないポイントは、ここなんです。
『鬼滅の刃』でたとえるなら
たとえば映画『鬼滅の刃』を見ると、エンドクレジットに製作委員会のような枠がありますよね。要するにお金を出した人たちです。
『鬼滅の刃』でその枠に名を連ねているのは、アニプレックスさん、集英社さん、UFOTABLEさん、この3社だけなんです。
大体の製作委員会はもっと名前が並ぶのに、3社だけ。なぜかというと、『鬼滅の刃』ってヒットすることがもう約束されているようなコンテンツじゃないですか。
そうすると、自分たちでお金を出した方がいいんです。ヒットしたときの売り上げを、自分たちで受け取った方がいい。
だから、いろんな人にお金を出してもらおうとは考えない。その方が合理的ですよね。
皆さんが『鬼滅の刃』に100万円出したいと思っても、絶対に出せない。1000万円出せるなら出したいし、無理して1億円出せるなら出したいけれど、出せないんです。
共同プロデューサーというのは、そのもっともっと参加できない版だと思ってください。
大事なのは「どうやって村に入るか」です
自分たちで言うと『CATS』にせよ、去年の『オセロ』にせよ、共同プロデューサーという形で参加させていただきました。
でも僕たちのSNSのタイムラインに「『CATS』の共同プロデューサーしませんか?」なんてお知らせは流れてこないじゃないですか。
その話は世間一般に出回っていないんです。じゃあどうやったら入ってくるのか。シンプルで、村に入らなきゃいけないんです。
だから本当に議論すべきなのは、どうやったらそこに入れるのかという一点なんです。
共同プロデューサーに名を連ねることができた、もっと言うとそこにお金を出すことができた。それを一体どうやったのか。話し合うならこっちなんですね。
これにはめちゃくちゃ時間がかかるし、いろんな信用を積んで、いろんな結果も出さなきゃいけない。
ここが体系化されていないから、いつまでたっても日本人がそこに入っていけないということが起きているんじゃないかと思います。
僕なんてミュージカルでいうと超新参者ですよ。僕より前に10年も20年も30年もミュージカルを作られてきたカンパニーはたくさんある。
それでもブロードウェイ村に参画できていないのは、やっぱりそこが体系化されていないからなんです。
ここに至るまでの、涙ぐましい話
僕がミュージカルを作り始めたのは2021年です。そこがミュージカル1年生。作ると決めた時から、いきなり「トニー賞を取る、世界を取る」というところからスタートしました。
処女作の『えんとつ町のプペル』というミュージカルを作らせていただいて、それをニューヨークに持っていったところから物語が始まりました。
そこでできた関係がご縁につながって、『オセロ』につながり、『CATS』につながりました。
ここに至るまでは、本当に涙ぐましい努力があったんです。
一度、前任者が白旗を上げて「もう無理」となって、2023年の11月だったかな、僕は完全にニューヨークで一人になったんです。味方が一人もいませんという状態です。
そこから一人でいろんなオフィスを回って、クリエイターさんやプロデューサーさんにご挨拶に行きました。英語なんてわからないから、スマホ片手に翻訳しながらですよ。
そこで今のミュージカル『レント』と『ナチョ・ヴィベル』のプロデューサーのミーガンに出会って、彼女が引っ張ってくれたのは本当に大きかったです。
ミーガンと二人三脚で歩き始めて、あれやこれやとやっているうちに、今回のようなご縁をいただきました。
だから、いきなりポンとお金を出せたわけではないんです。ここが伝わるといいなと思っています。
直近だと、今度は『ジミーアワード』というものがあります。ブロードウェイの高校生たちの祭典で、高校野球みたいなものだと思ってください。
僕はそこでプレゼンテーターとして出て、「優勝は」と読み上げる大役があるんです。下手くそな英語で恥ずかしいんですけど、頑張りたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします。
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それでは素敵な一日をお過ごしください。じゃあまたね。
まとめ
トニー賞3部門受賞は僕の功績ではなく、キャストやスタッフ、ファンの皆様の熱狂に相乗りした結果です。本当に議論すべきは「共同プロデューサーとは何か」ではなく、「どうやってブロードウェイ村に入るのか」だと思っています。
- 『CATS The Jellicle Ball』が第79回トニー賞で演出・衣装・振付の3部門を受賞
- 共同プロデューサーはお金を出せばなれるが、そもそも出させてもらえないのが本質
- 『鬼滅の刃』の製作委員会が3社だけなのは、ヒットが約束された作品ほど自分たちで出資した方が合理的だから
- 2021年に始めて一人でニューヨークを回り、信用を積んで村に入るまでに涙ぐましい努力があった




