eスポーツ世界大会予選を突破したCADエンジニア時代
中島さんは現在、LINEマーケティングの会社「株式会社リストバディ」を経営しています。支援実績は200件を超え、集客からセールスまでの相談を受けることが多いといいます。
ただ、最初からマーケティング畑にいたわけではありません。マーケティング領域に踏み込んだのは2021年ごろからで、それまではCADエンジニアとして働いていました。
会社員時代、中島さんは大学から続けていたスマホゲーム「クラッシュロイヤル」にのめり込みます。仕事以外の時間はほぼそれに費やすほどでした。
そのゲームにはアプリ上から世界大会に挑戦できる仕組みがありました。3回負けるまでに20勝すれば予選突破という「20勝チャレンジ」で、上位に進むほど強い相手と当たる厳しいものです。
まあ腕試しぐらいでやってたんですけど、当時結構ガチでやってたんで、やってた結果、突破できちゃって。
予選を突破したことで、中島さんは「世界と戦った」という成功体験を得ます。ただ、本戦は世界基準のため開始が深夜3時ごろになると知り、会社員として続けるのは難しいと挫折しました。
それでも、この経験は中島さんの価値観を大きく変えたといいます。
何でもない会社員が、急にゲームを通して世界に躍り出たわけじゃないですか。それってなんかすごいなっていう。
転機は毎月の給与明細。副業から2年で法人化へ
2つ目の転機は副業の開始でした。当時、中島さんは派遣社員としてCADの仕事をしていましたが、産休で抜けた主担当の代わりを任され、正社員並みの責任を持たされていたといいます。
自分なりに奮闘する一方で、毎月届く給与明細を見て疑問を感じるようになります。
なんで僕は来月のカードの支払いとこの給与明細と見比べて頭抱えてるんだろうみたいな。
そんなとき、ウェブ制作で稼ぐYouTubeのインフルエンサーを見て、「自分ならいけるかもしれない」と考えます。世界大会予選を突破した「謎の自信」もあり、副業でウェブ制作を始めました。
最初は1か月頑張って5万円ほど。嬉しさはあったものの、生計を立てるには足りませんでした。そこでメンターから「LINEも提案したら」と助言を受けます。
翌日、仲のよい美容室のオーナーにホームページを提案しに行った際、「LINEも流行っているらしい」とポロっと口にしたところ、そちらが強く刺さったといいます。
提案しちゃったけど、そんなに当時知らなかったんで。やばいやばい、めっちゃ刺さっちゃったっていうので。
この一件をきっかけに、中島さんはLINEマーケティングを本格的に学びたいと考えます。当時乗っていた車を売って数十万円の講座に入り、界隈のトップの人物から直接学びました。
その判断は正解だったといいます。事業はうまくいき、副業開始から2年で法人化に至りました。
独立を目指す人への2つのアドバイス
副業や独立を考えている人へのアドバイスとして、中島さんはまず「とにかくやってみる」ことを挙げます。やる側は難しく考えがちですが、体当たりしてみると求められることをやるだけだといいます。
共演者のおのっちさんは、中島さんと同じウェブ制作のYouTubeを独学時代に見ていた縁があり、独立前からの長い付き合いだと明かします。
おのっちさんは、自分に合ったポジション選びの重要性を指摘します。
そのお金せっかく払ったからそこにしがみつく人って多いじゃないですか。でも実はライターの方がめちゃくちゃうまくいくとかあるから。
中島さんは、自身が支援する「人生2億サロン」を例に、まず低コストで始めてデザインやライティング、動画編集を試し、向き不向きを見極めることを勧めます。
そしてもう1つのアドバイスが「人に会う」ことです。サロンのオフ会でさまざまなスキルワーカーと直接話すことで、いま何が求められているかが見えてくるといいます。
AIが普及しても、この考えは変わらないと2人は口をそろえます。
AI活用して何かやろうっていうのはまずうまくいかないと思う。みんな同じこと考えるから。
将棋強くなろうっつったって、藤井聡太さんがAI使ったら最強になっちゃうから。デザイナーがAI使ったらあんた勝てないですよみたいな気持ち。
むしろ人と会うことに時間とお金を使う人が減っているからこそ、逆張りで勝てるのではないかとおのっちさんは話します。
動くものは簡単、その先が「魔境」だった個人ゲーム開発
3つ目の転機は、自分でゲーム事業を始めたことです。法人化した2年半ほど前、クライアントワークを続けることに疑問を感じ、自分がオーナーの事業を考えたいと思ったのがきっかけでした。
物理学科で理論物理を学び、ウェブ制作でもコードを書いていた中島さんは、プログラミングである程度は作れました。ただ、動くものは作れても、オリジナルを作るのは別だと気づき、一度は断念します。
それでも、世界大会を突破したときの興奮を「作れる側に回りたい」という思いが2年ほど頭に引っかかり続けていました。
やっぱあれをみんなにも体験してほしいなとか、それを通して人生のちょっときっかけになったらいいじゃないですか。僕がそうだったように。
今年の頭ごろ、AIの進歩もあってブレイクスルーが起きます。「UnityOneWeek」という有志の企画に参加し、1週間で無理やり作りきって公開しました。
企画で注目が集まり、コメントも寄せられて意外と好評だったといいます。これを機に本格的に取り組もうと決め、自身が熱中したスマホゲームにこだわって整え、リリースにこぎつけました。
作ったのは、駒に特殊能力を付与できる将棋ゲーム「超棋(ちょうぎ)」です。一度だけ2マス進める歩や、取られると後ろに歩を生産する駒など、20種類ほどの能力があります。
ゲーム開発を通じて中島さんが痛感したのは、公開までの大変さでした。
動くのを作るのってこんなに簡単だけど、そっから先が魔境なんだなっていうのにすごい気づいて。
課金してもらうための動線設計に1〜2か月かかり、App Storeへの申請にも2か月ほど要したといいます。
今後については、まずは納得いくまで仕上げたいと話します。ゲームを広げるマーケティングは、普段のLINEマーケティングとは全く違う競技だといいます。
おのっちさんは、ボケ防止で将棋を始める人が意外と多いと自身の家族の例を挙げ、将棋YouTuberの実況など、さまざまな広げ方があり得ると盛り上がりました。
まとめ
CADエンジニアから副業を経て法人化し、念願のゲーム開発にたどり着いた中島さんの歩みは、「とにかくやってみる」ことと「人に会う」ことの積み重ねでした。次回は、中島さんから見た社会について語られます。
- クラッシュロイヤルの世界大会予選突破が、価値観を変える成功体験になった
- 給与明細への疑問から副業を始め、LINEマーケティングで2年後に法人化した
- 独立を目指す人へのアドバイスは「とにかくやってみる」と「人に会う」の2つ
- AI活用ありきの発想はうまくいきにくく、人と会うことにこそ価値があると2人は考える
- 個人ゲーム開発は動くものを作るより、公開や課金動線の設計が「魔境」だった
