
拠点思考 〜私の世界の見つめ方 〜コメントを投稿するにはログインが必要です
ログインページへPodcast『拠点思考 〜私の世界の見つめ方〜』第3話を公開しました。テーマは「拠点思考とは一体…?」。番組タイトルそのものに、聞き手の田中慎太朗さんと正面から向き合った回です。
前回・第2話では「行きあたりばったりが正解をつくった」というテーマで、独立と創業までの経緯をお話ししました。今回はそこから一歩進んで、「複数の場所を行き来している私が、この『拠点思考』という言葉を、いまどう捉えているのか」という問いに触れています。うまく言葉になっていなかったものが、対話の中で少しずつ形になっていく。そんな回になりました。
■行動することで生まれる、予測可能性
熊本でいろんな会合に顔を出していると、「杉山さんって、いろんなところで見かけますよね」とよく言われます。おもしろいと思う人や話があれば、業種やジャンルを問わず足を運んでいるので、そう見えるのだと思います。
ただ、この「うろうろしている」が仕事のパターンとして定着してくると、周りにも予測可能性が生まれるんですね。独立してからの6年で、火・水・木は基本的に東京、というリズムに落ち着きました。すると東京の方から見て「杉山さんは週の中盤にいる人」というイメージができる。それだけで、声がかかりやすくなります。
■ 東京と熊本、そしてアメリカ ―"段取り"の温度差
二拠点で仕事をしていて、いちばん体感として違うのは「案件が始まるまでの温度」です。
東京だと、紹介を受けて、一度も直接会わないままウェブ会議だけで半年、一年と進むことも普通にあります。熊本はそうではなくて、アメリカの法律に関するご相談をいただいたときも、「まずは一緒にお食事を」でした。時間はかかりますが、その分、関係は長く続きます。
アメリカはまた別の温度です。要件がはっきりしていて、いきなり始まる。ただ手続きまわりは驚くほど雑で、日本のように「よしなに」は期待できません。どれが正しいということではなく、その違いを知って行き来できることが、いまの仕事の下地になっている気がしています。
■ 空港やモノレールで、打ち合わせが始まる
「うろうろしている」ことの意外な副産物が、空港での偶然の出会いです。
先日も、ずっと引き合わせたいと思っていたお二方に、たまたま同じ日にお会いしました。片方の方とラウンジでご挨拶し、飛行機に乗り込んだらもう片方の方が同じ機内に。羽田に着いてから両方に声をかけて、モノレールの中で3人の打ち合わせが始まりました。本来なら日程調整に2か月かかるはずの話が、その日のうちにまとまってしまった。
熊本の空港は、JALもANAも共用のラウンジです。だからみんな同じ場所にいる。二拠点をされている方なら、うなずいてもらえる話かもしれません。
■ 両方を知っている人が、間の"通訳"になる
少し真面目な話をすると、私たちScaleup Solutionsは、地方の会社さんの成長のお手伝いをするために起業しました。地方の会社が東京やグローバルの企業と組むとき、両方を経験している人が"通訳"に入る意味は、思っていた以上に大きいと感じています。
東京での会話をそのまま熊本の経営者にお伝えしても、手触りが伴わない。逆もまた然りです。文脈と温度を翻訳して、間で言葉を整える。これが日常の仕事のかなりの部分を占めていることに、収録しながら改めて気づかされました。
いま私は、産・官・学それぞれに軸足を持たせてもらっています。産では複数の会社のアドバイザーや役員として。官では県のアドバイザーや、菊陽町の有識者会議の委員として。学では、熊本大学と東海大学で。分野を越えて動いていること自体が、通訳の解像度を上げる訓練になっている気がしています。
■ 子どもに「将来、何になりたい?」と聞いたら
拠点思考は、子育てにも少し持ち込んでいます。夏休みに東京へ連れて行ったり、海外の友人と会わせたり。一つの場所を「当たり前」にしすぎない工夫を、妻とよく話します。
先日、お風呂で「将来何になりたい?」と聞いたら、返ってきた答えがいきなり複数でした。仕事は一つに絞るものだ、という前提が、その子の中にはない。自分の生き方が意図せず伝わっているのだと思うと、少し怖くもあり、少し嬉しくもありました。
■ おわりに ― 拠点思考は、複数のレンズで世界を見ること
締めくくりに「拠点思考って、結局なんですか?」と改めて聞かれ、私はこう答えました。
「ただ拠点を移動するだけじゃなくて、その中で違いを見つけたり、同じところを見つけたり、こっちじゃないものを見つけたりとか、いろんなものを見つけていく過程なのかな、と」
田中さんは、それを「レンズが複数あって、複数のレンズが重なることで見えてくるもの」と整理してくれました。東京で仕事をしている目からいくと、地方の方が毎日何も感じずに通り過ぎている道が、実はとても価値のあるものに見える。そういう景色が、複数のレンズを持つことで見えやすくなる。それが、いまの自分にとっての拠点思考の意味だと思います。
次回・第4話は「いま、地域に必要なものは何か」。今回見えてきた「複数のレンズ」の話を、もう一段、地域の側から掘り下げる回になりそうです。
さらに先の回では、これまで一緒に何かをしてきた方々をゲストにお招きして、対談形式でお届けする予定もあります。いろんな「拠点を持つ人たち」の声を、少しずつ重ねていけたらと思います。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
【チャプター】
00:00 オープニング ―「杉山さん、うろうろしてるよね」
02:41 「拠点思考」という言葉が生まれた日
04:16 東京は仕事の色、熊本は空気感 ― 商談の進み方まで違う
07:43 火・水・木は東京にいる ―"予測可能性"という資産
09:01 空港が、いちばん濃いハブになる
14:33 日本とアメリカ、仕事の進め方の違い
20:31 両方を知っている人が、間の"通訳"になる
23:23 子どもに「将来何になりたい?」と聞いたら
29:39 で、結局「拠点思考」とは何なのか
31:46 「レンズが複数重なって、見えてくるもの」
【この番組について】
『拠点思考 〜私の世界の見つめ方〜』は、熊本×東京、日本×海外、産・官・学という複数の"拠点"を行き来してきたScale Up Solutions代表・杉山浩司(ニューヨーク州弁護士)の視点から、これからの働き方・生き方・事業のつくり方を見つめ直していく番組です。シーズン1(第1回〜第10回)は、一朶の雲株式会社の田中慎太朗さん(元新聞記者)を聞き手にお迎えしてお届けします。
【ご感想・ご質問】
▶ アンケートフォーム(匿名OK・所要1分):https://tinyurl.com/2679ouzd
▶ X(旧Twitter):ハッシュタグ #拠点思考 をつけて投稿
▶ Apple Podcasts・Spotifyのレビュー欄
皆さんの声が、次の回の対話を豊かにしてくれます。
【フォローのお願い】
Spotify・Apple Podcasts・Amazon Musicで配信中です。フォローいただけると、次回以降のエピソードも見逃さずお届けできます。
#拠点思考 #杉山浩司 #ScaleUpSolutions #SUS #ポッドキャスト #二拠点生活 #複数拠点 #熊本 #地方創生 #子育て #働き方 #キャリア