Even Day Japan 2026、会場が六本木から渋谷に変わった熱量
最初のコーナー「ガジェットレポート」は、いつものガジェット紹介とは少し趣が違い、ガジェットのイベントに行ってきた話でした。
7月17日、東京で開かれた「Even Day Japan 2026」。神森さんが使っているスマートグラスEven G2 ── Even Realitiesが手がけるスマートグラス。レンズ部分に情報を表示でき、翻訳や会話サポートなどの機能を持つ。を手がけるEven Realitiesが開いた、日本のコミュニティイベントです。
テーマは「Build Even Together」。ユーザーと開発者、そしてEvenのチームが一緒に集まる一日だったと話されています。
神森さんは一般参加者として参加しました。いつかメディアとして呼ばれたい、と毎回この手のイベントで思うそうですが、今回は一人のユーザーとしての参加でした。
このイベントには、熱量を感じさせるエピソードがあります。もともと7月頭に募集がかかった時点では、会場は六本木でした。抽選のような形式で「狭き門かも」と思っていたところ、参加希望が多く会場が入りきれなくなったのか、渋谷の会場に変更になったといいます。
会場に着くと、周りの参加者がみなEven G2をかけていました。神森さんの周りでEven G2を持っている知り合いは、以前このポッドキャストでも触れたServicingの名村さんくらいだったため、この光景は珍しいものでした。
あの人もこの人もその人も、もうみんなEven G2かけてる。まあなかなかこういう光景って早々見ることないですよね。
元Appleエンジニアのウィルさんが語った基調講演とアップデート計画
当日のプログラムは、日本のカントリーマネージャー、ケビンさんの挨拶から始まりました。
続いて、JUN GINZAの米盛社長が登壇。JUN GINZAは神森さんがEven G2を購入した、銀座のオーダーメイドのメガネ屋さんで、今回のイベントを「Supported by JUN GINZA」として裏で支えた会社でもあります。なぜEven G2を取り扱うことになったかが語られました。
そしてメインは、CEOのウィル・ウォンさんの基調講演です。ウィルさんは元Appleのエンジニアで、新しいデバイスを自分で作りたいという思いからAppleを辞め、深圳にEven Realitiesを立ち上げたと話されました。
講演の中で語られた目標は、この業界での立ち位置についてでした。
講演では、アップデートの計画もいくつか発表されました。神森さんが挙げたのは次の内容です。
- 会話サポート機能に翻訳機能が統合される
- 音声のEven AIをもっと賢くする
- アプリ基盤のEven Hubを作り直す
どれも数か月以内に来る話だといい、神森さんは楽しみだと語ります。中でも一番ビビッときたのが、会話サポートと翻訳機能の統合でした。
これまで別々のアプリとして使い分けていて、特に会話サポートは便利でよく使っていたため、これらの機能が一つになるのはすごく便利になると感じたそうです。
英語と日本語でも会話が成立する、パネルディスカッションの光景
イベントで一番心に残ったのは、最後のパネルディスカッションでした。壇上にはウィルさん、開発責任者と思われるデビッドさん、そして日本でアプリを開発している3名が上がっていました。
ウィルさんとデビッドさんは英語、日本人の開発者3名は日本語。それでも普通に会話が成立していたといいます。グラスをかけた上で翻訳機能を使っていたからです。
これこそが神森さんが見たかった光景でした。互いにEven G2をかけ、それぞれの母国語で話しても通じるはずだと考えていたことが、目の前で体現されていました。
その後の懇親会では、CEOのウィルさんのところに写真を撮る列ができていました。神森さんは知り合いと一緒に並び、自分の番になったとき、自作したEven G2用のアプリを直接紹介し、握手をして写真を撮ったそうです。
ここでも、ウィルさんが英語、神森さんが日本語で、会話がちゃんと成立しました。パネルで見た光景を、自分自身がリアルに体験できたことが本当に嬉しかったと語られています。
ぜひみんなもEven G2、絶対買うといいと思いますよ。本当にちょっと世界が変わるというふうに思いました。
那覇のゆいレールアプリ「Rail HUD Naha」はどう生まれたか
次のコーナー「ワークトーク」では、懇親会でウィルさんに紹介した自作アプリの話が続きます。名前は「Rail HUD Naha」です。
那覇のゆいレールの発車案内をグラスに映すアプリで、Even Hubの「旅行」というカテゴリに、イベントの2日前ぎりぎりで公開したものだと話されています。今もマイナーバージョンアップを進めているそうです。
作るきっかけは、Even Hubを眺めていたときのことでした。旅行カテゴリにはいろんな国の交通系アプリがあり、東京の路線アプリも見つけたそうです。
そこで「沖縄のはない」と気づき、ないなら作ってしまおうと思い立ちました。沖縄の交通はバスと那覇のゆいレールくらいのため、まずは範囲を絞ってゆいレールから始めることにしたといいます。
なお、パネルに登壇していたデビッドさんは「ターミナルモード」を作ったそうです。Claude CodeやCodexでの開発時に、グラスのマイクを通して指示が出せる機能です。神森さんはアプリ版を使っているため使えないものの、CLIで開発する人には便利だろうと紹介しています。
なぜゆいレールだったのか、国際通り付近の3つの駅
ゆいレールを選んだ理由には、国際通り付近の事情がありました。この付近では、路線上に駅が複数あり、迷いやすいのです。
国際通りは、入り口側の県庁前駅と牧志駅をつなぐような形ですが、その間に少し離れた美栄橋駅があります。今いる場所の最寄り駅がどこか、地元の人でも迷うことがあるといいます。
だからこそ、スマホを見ずにグラスで最寄り駅がわかれば、旅行で来た人にも便利ではないかと考えました。
アプリの内容は、今いる場所から一番近い駅はどこか、そこまで歩いて何分か、そしてその駅の先発・次発・次々発に今から歩いて間に合うかどうかを教えるものです。
これを見れば、普通に歩けば間に合うか、小走りにするか、あるいは一本二本遅らせて途中でお茶をしていくか、といった判断ができます。せっかく沖縄に来たのだからゆっくり堪能してほしい、という気持ちも込められています。
行き先表示にも工夫があり、路線に詳しくない人向けに「首里・てだこ浦西方面」、英語では「for airport」のように表示しているそうです。
あえて時刻表を載せない理由と、AIと併走した制作
このアプリには、あえて入れなかったものがあります。それが時刻表です。何時何分という時刻そのものは出していません。
理由は、時刻を出すと焦ってしまうからです。あと何分と言われれば、走らなければいけないのかとあわあわしてしまう。せっかく沖縄に来て時間に追われるのもどうか、という考えでした。
間に合うかどうかだけをそっと教えてあげる、そんな感じのアプリにしてみました。
制作は簡単ではありませんでした。最初はClaude Codeで作っていたものの、レート制限が厳しく、バグを直しているうちに週間の制限で動かなくなってしまったそうです。
追加クレジットは使いたくない。そのうちイベントまであと3日という状況になりました。そこで、優秀と評判のCodexに移ることを決めます。
Claude Codeに引き継ぎ書を書かせ、それをCodexに読ませることで、なんとかイベント2日前に間に合わせたといいます。
結局このアプリは、那覇を歩きながら「こういうの欲しいな」と思ったことを形にしたものでした。どの駅が近いか迷う、電車に間に合うか困る。そんなちょっとした困りごとが出発点です。
エンジニアではなくプログラムを書けない神森さんが、AIと相談しながら自分の手で形にできた。以前なら誰かにお願いするか、誰かが作るのを待つしかなかったことです。
同じガチャから生まれた「一尺玉」もう一つのバージョン
最後のコーナー「Suno AI Lab」では、音楽生成AIのSunoで作った曲を紹介します。この日かけたのは、前回予告していた「一尺玉」のアナザーバージョンです。
「一尺玉」は花火の玉のサイズを指す、歌の入っていないインスト曲で、前回のエピソード26で一度届けられています。前回がAマイナー、今回がF♯マイナーというコードの曲です。
このアナザーバージョンは、作ろうと思って作ったものではありませんでした。Suno ── テキストで指示を出して曲を生成する音楽生成AI。1回の生成で2曲が同時に出てくる。では1回の生成で2曲が出てきます。神森さんたちはこれを「ガチャ」と呼んでいます。
通常は似たような曲が2つ出てきますが、たまに全く違うコードで出てくることがあります。今回は、Aマイナーで指定したにもかかわらず、もう一曲がF♯マイナーで作られてきました。
前回は指定通りのAマイナー版を届けました。そちらはコードがころころ変わる曲調で、それが面白いと感じて選んだそうです。
ここで訂正も入りました。前回この曲を「王道進行」と紹介したものの、コード表を確認したところ、正しくは「アクシス進行」だったといいます。
F♯マイナー版は、使っているコードが4つだけで、それがぐるぐる繰り返す落ち着いた曲です。前回作ったもののあまり聴いておらず、改めて聴くと良いと思い直したため、今回紹介することにしたと語られています。
同じ玉から、性格の違う二つの花火が上がった、そんな感じが伝わってもらえると嬉しいです。
まとめ
Even G2のイベント参加から自作アプリ、そしてAI生成曲まで、作る側に立った一人のユーザーの実感が語られた回でした。会場の熱気、CEOとの会話、そしてAIと併走したアプリ制作が、一本の線でつながっています。
- Even Day Japan 2026は会場が六本木から渋谷に変わるほどの熱量で、会話サポートと翻訳の統合が発表された
- Even G2同士なら翻訳機能で英語と日本語でも会話が成立し、神森さんはCEOのウィルさんに自作アプリを直接紹介した
- 自作アプリ「Rail HUD Naha」は最寄り駅と徒歩時間、間に合うかどうかだけを示し、あえて時刻表を載せていない
- プログラムを書けなくても、AIと相談しながら「欲しいもの」を自分の手で形にできる時代になった
- 「一尺玉」F♯マイナー版は同じ生成から偶然生まれた別バージョンで、4つのコードが静かに繰り返す落ち着いた曲




