「座り」と「喉越し」で生き残る──比較・転職・AI不要論への12の答え
箕輪厚介氏とけんすう氏が、リスナーから寄せられたキャリアや人間関係の悩みに答える「箕輪・けんすうのご神託ラジオ」のep.25-28まとめ回。不満ばかり言う部下、AIアンチの後輩、人と比較してしまう癖、失敗が怖くて動けない──12の相談に対して、二人がたどり着いた共通キーワードは「相談」「座り」「自分の物差し」でした。その内容をまとめます。
不満ばかり言う部下を「役割化」する
最初の相談は、毎日不満や文句ばかり言う年上の部下にどう対応するか、というもの。AIのご神託は「不満を封じるのではなく、不満を言う役割を公式に与えて毒を薬に変えてください」というものでした。
けんすう氏はこのアイデアに乗りつつ、別のアプローチも提案します。それが「ポジティブな発言タイム」を作ること。ポストイットに「良かったこと」「悪かったこと」を匿名で書いてもらい、両方の数を競うルールにすれば、自然とバランスが取れるというものです。
匿名性大事かも。自分のアイデアって重宝されないなって思ったら結構しんどいかも。
箕輪氏は「賢く思われたくて否定する人」が多いと指摘。匿名にすれば「俺はこういう視点あるよ」という承認モチベーションが消え、否定的な発言の動機自体が減るというわけです。
① 役割を与える
「リスク管理担当」「ポジティブ発言担当」など、公式な肩書きをつける
② 場とタイムを作る
不満を言う時間とポジティブを言う時間を分ける
③ 匿名で出す
ポストイットに書いてもらい、誰の発言か分からなくする
職場で朝ごはん・爪切りをするおじさんへの対処法
同室の中年男性が職場で朝ごはんを食べたり爪を切ったりするのが気持ち悪い、という相談。箕輪氏は最初「朝ごはんはいいだろ」と疑問を呈しますが、けんすう氏は「昼ご飯は休憩時間だが、朝ごはんはプライベートのスケジュールミスを職場に持ち込んでいる」という構造を説明します。
勤務時間にかぶる可能性
プライベートのはみ出し
サボってる印象
業務時間のクッション
オフィシャルな休憩
むしろ頑張ってる感
爪切りについては「おじさんの一部が飛んでくる」というリアルな理由で却下。対処法として二人がたどり着いたのは、「みんな言ってるぞ」という伝え方でした。
たまにみぞとかもさ、Twitterでいろいろお前の悪い評判聞くぞって言うもんね。
誰が言っているか具体的に名指ししないことで、本人が反論しにくくなり、自分も「言った人」にならずに済むという卑怯な、しかし実用的なテクニックです。
マウントおじさんは「おだてて」沈める
43歳・独身・高学歴で、ミーティングで自慢やマウントが多い先輩への対処法。AIの提案は「業務上の発言には反応し、自慢には淡々と"そうなんですね"の一言だけ返す」という仕分け作戦でした。
しかし箕輪氏が提案したのは真逆のアプローチ。「めちゃめちゃおだてる」という方法です。
けんすう氏もこれに同意し、「マジ世界一頭いいですね」と言うと「世界一ではない」と謙遜が返ってくる、と補強。極端に褒めることで、相手が自分から評価を下げる癖をつけさせるという仕掛けです。
箕輪氏は、本当に強い人はマウントしないと指摘。「ヒョードルとか、六十億分の一の男総合格闘家エメリヤーエンコ・ヒョードルのキャッチコピー。世界の人口60億人の中で最強という意味で2000年代前半に使われた。って呼ばれてたやつ。マジで何も言ってなかった」というエピソードを引き合いに出し、自慢が必要ない人は自慢しない、という当たり前の真実を再確認します。
駅近マンションか、広い戸建てか
関西の地方都市で家を購入予定。駅近の狭めのマンションか、駅から25分の広い戸建てか。AIは「駅近マンション」と断言しましたが、箕輪氏は迷わず「駅から遠い広い戸建て」を推します。
けんすう氏は資産価値ベースで家を選ぶと「人が荒んでくる」と指摘。「リセールバリューあるから買ってますみたいな買い物の仕方してると、なんかつまんなくなっちゃう」。25分の徒歩は慣れる、チャリなら10分、しかも運動になる──と、駅遠戸建ての価値を二人で固めていきました。
リカバリーウェアは「プラセボ込み」で効く
リカバリーウェアの効果について。AIは「科学的根拠は限定的、劇的な疲労回復は期待しない方がいい」という回答ですが、二人の体験談は別の角度から効果を語ります。
箕輪氏はテンシャル日本のリカバリーウェアブランド「TENTIAL(テンシャル)」。BAKUNE(バクネ)シリーズが代表商品。を愛用中。けんすう氏はCHILLST「チルスト」と読む。パジャマで外出できるコンセプトのリカバリーウェアブランド。を推奨。「ちょっと羽織れば外出てもOK」というコンセプトが気に入っているそうです。
箕輪氏は、CBDが入っていないロウリュの試作品を使った時に、その場の全員が爆睡したエピソードを紹介。「プラセボってすげえと思って」「プラセボが非科学的ってわけじゃなくて、プラセボも効果の一つ」と語ります。
絶対に大丈夫だよ。この人こんなとこ質問するぐらい欲しいか悩んでんだから、効くよ。
大人の友達作りは「相談」から始まる
大人になってから友達を作る方法。「男性同士はお茶しない」という浅井諒さんの著書書き起こしでは「IntheMEGAChurch」と表記されている書籍。男性同士のコミュニケーション様式について論じた内容と思われる。の指摘から始まった話題です。
AIの回答は「目的のある場に週一回以上通い、同じ人と繰り返し顔を合わせること」。これに対して二人がたどり着いた結論は、もっとシンプルなものでした。
相談されることは「信頼されている」というメッセージそのもの。だから相手は嬉しいし、いい回答を返したいと頑張る。西野亮廣キングコングのお笑い芸人・絵本作家。エンタメ研究家としても活動し、ビジネス書も多数執筆。氏のように、相談されると結果が出るまでコミットしてくれる人もいて、相談は最強のコミュニケーションツールだという結論に至りました。
AIアンチの後輩との付き合い方
会社で生成AI推進を担当しているが、後輩が強火のAIアンチ。説得すべきか、放っておくべきか。AIの回答は「説得せず放っておきましょう。ただし巻き込むことだけはやめないでください」というものでした。
箕輪氏は幻冬舎のNewsPicksブック2017年に始まった幻冬舎とNewsPicksの共同レーベル。箕輪厚介氏が編集長を務め、『多動力』『お金2.0』など多数のベストセラーを生んだ。の経験から、「出島的にやらないとうまくいかない」と語ります。全員で合意すると推進力がなくなるため、わかる人だけで進めるのが正解、と。
全社で合意を取る
アンチを説得する
仲間外れにする
出島で勝手に進める
興味ある人だけでやる
扉は開けておく
同時に「巻き込むことだけはやめないで」も重要。自分が仲間外れにされていると感じると抵抗勢力になってしまう。だから「いつでも扉は開いてますよ」というメッセージは出し続ける。具体的には「相談する」のがいい、と二人は再び相談論に戻ります。
AIに堂々と嘘をつかれた時の対処法
AIに労務知識を聞いたら間違った答えが返ってきたので指摘したら、「あなたの認識が間違っています」とマウント気味の回答が返ってきた、という相談。
けんすう氏は、AIは空気を読む機能が異常に高いと指摘。優しく指摘すると「自信ないんだな」と誤解釈して、相手を安心させようと自分の回答を補強してしまう、というメカニズムを解説します。
けんすう氏の話で面白かったのは、AIに「お歳暮を渡す」というテクニック。「これお歳暮なんでハムなんで受け取ってください」と書くと、AIがお歳暮を受け取った時の人間の挙動をして、ちょっと優しくなるそうです。「子育てについて相談してたら、私の子供もそうでしたとかAIが書いちゃう」ような、データに引っ張られる挙動を逆手に取ったハックです。
エンジニア不要論とAI時代の働き方
新卒3年目のソフトウェアエンジニアからの相談。「SaaS不要、ソフトウェアエンジニア不要、若手不要」と言われる中、どう情報収集し行動すべきか。
けんすう氏は、自社で90%以上のエンジニアがもう手でコードを書いていないと明かします。箕輪氏も、本作りのライターさんと会う回数が激減したと証言。
つまり営業や対面のコミュニケーションはできないけれど、パソコン一台でできる仕事は神レベルでこなしてくれる。逆に言えば、「病院のベッドでできる仕事」はAIに代替される可能性が高い、ということです。
けんすう氏は、未来をこう予測します。
YouTubeが出てきた時も「テレビ終わり」と言われたが、実際にはテレビ局員の給料がじわじわ下がり、弁当の質が落ちる、というレベルの変化が20年かけて起きた──そういう「地味なボディブロー」のような変化が、今後数年で各業界に訪れるという見方です。
AI時代に生き残る「座り」と「喉越し」
キャラクターのある人はAI時代に有利か、という問いから生まれた、本エピソードのハイライト的な議論。箕輪氏が語った「座り」という概念です。
けんすう氏もこの感覚を「喉越し」という言葉で言い換えます。「何を飲みたいかじゃなくて、喉越しが良ければいい」──両者は同じことを違う言葉で表現していたのでした。
箕輪氏は前田裕二SHOWROOM代表取締役社長。著書『メモの魔力』はベストセラーとなった。氏の『メモの魔力2018年に幻冬舎から刊行され、累計60万部超のベストセラーとなったビジネス書。』を引き合いに、ヒットさせすぎると次が出しにくくなる、と語ります。乙武洋匡作家・タレント。1998年刊行の『五体不満足』が500万部超のベストセラーとなった。氏の『五体不満足』がドカンと売れた後、次の本が出しにくくなる構造も同じ。
箕輪氏自身は今、令和の虎などで活躍しすぎていることに「危機感を感じて」いるそうです。「あれ、今回どうした?ってなっちゃうから、これを座りにどう変換しようかしか考えない」──意識的に「座り」を作りにいっているという話でした。
