渇望感がなくなったという相談
リクは愛媛の古民家に住んでいて、家賃は月3000円くらい。奥さんとペットがいて、豪遊しなければ老後まで資産で全然いけるそうです。
そうなると「仕事とは?」「お金とは?」という前提を考え出したと言っていました。
昔はお金を稼ぎたい、経済的余裕が欲しいと思っていたのに、幼少期に夢見た暮らしが全部手に入ってしまった。その結果、渇きがなくなってしまったと。
正直、めちゃくちゃ難しい相談だなと思いました。でも、私なりに考えていることがあるので順番に話していきました。
マズローで整理すると次は自己実現しかない
まず一般論として、私はマズローの5段階欲求で整理して話しました。
一番下が生理的欲求、その上が安全の欲求、社会的欲求、承認の欲求、そして一番上が自己実現の欲求です。
基本的には、今いる段階の一つ上を求めていくというのが一般的な答えになるんじゃないかと思っています。
ただリクの話を聞いていると、承認欲求も昔ほどなくなったと言うんですよね。SNSでバズって「すごい」と言われてもドーパミンが出なくなった、と。
だとしたら、もう上は自己実現しかないんです。
自己実現となると、問いは一つで「あなたはどんな世界を作りたいのか」「何のために生きているのか」という抽象度の高い質問になる。その答えのために働くという話になっていきます。
無理せんくていい、でも準備はしておく
そのうえで、リクの性格を加味した答えも伝えました。彼は物事をすごく客観的に、俯瞰して見るタイプなんですよね。
だから私の答えは「別に無理せんくていいんじゃね」でした。そのままでいいと思うんです。
ただ、その先はあって。今リクは自己実現のフェーズにいると思うので、何かきっかけや兆しがあったときに飛び込める準備はしておいた方がいい。
準備というのは、お金の準備、時間の準備、人の関係の準備です。
リクは「80点から100点で走り抜けなきゃいけない感覚があった」と言っていました。でも熱量を無理に高めるんじゃなくて、熱が発生したときに飛び込めるようにしておく。
ちょうどその日、彼は車検に行っていたそうで、「車検やっとくみたいな感じか」と腑に落ちてくれました。まさにそのイメージなんです。
幸せとは「選べる状態」だと思っている
なんで私がそういう考え方になるかというと、人間が最終的に求めているのは全員「幸せになりたい」だと思っているからです。
家族と過ごしたいとか、いろんな夢や目標があっても、抽象化すると全部「幸せになりたい」に行き着くんですよね。
そして私の中で幸せを言語化すると、「選べる状態」なんです。選択することができる状態が幸せの定義だと思っています。
逆に人がストレスを感じるのは、お金や時間や人間関係が理由で選べないときです。
だから気分が乗らないなら選ばなくていい。そのために、お金と時間と人脈は常に最高の状態にしておく。そうすれば興味を持ったところでアクセルを踏めるんです。
リクはこれをポケモンで例えてくれました。ずっと新しいトレーナーと戦い続けなくていい、草むらで経験値を上げたり、お金を貯めてアイテムを買っておけば、いざ四天王と戦うときに楽勝になる、と。まさにそういうことです。
「これ何やってるんだろう」と思ったら、それは自分の仕事じゃない
リクは、仕事でもゲームでも映画でも、ふと我に返って「これ何やってるんやろ」と客観視してしまうことが多いと言っていました。
私の場合は、あれ自分何してるんだろうと思った瞬間、その仕事は自分の仕事じゃないと割り切ってしまいます。
24時間×生きた日数が人生なので、1分たりとも無駄にしたくないんですよね。
私は人を雇って給料を払っているので、自分よりも得意な人に、自分じゃなくてもいいことをお任せする。そうすれば自分は別の時間に使えます。
運転手を入れたのもそうです。去年まで自分で運転していて、「この時間で連絡返せるじゃん」「AIと壁打ちできるじゃん」と思っていたので、手が空いているメンバーにお願いするようにしました。
「これ何でやってるんだろう」という自問自答が出たら、仕組み化できたり、誰かにお願いできたりするサインかもしれない。そう伝えました。
上のレイヤーに上がれる人は、思ったより少ない
リクは「評価制度をちゃんと決めたら、みんな上がっちゃうんじゃないか」と言っていました。でも実際はそうでもないんです。
うちの評価制度でも、10人いたらマネージャーに上がるのは2、3人くらい。そもそも求めていない人もいるし、求めていても上がれない人もいます。
求めていても上がれないのは、私はポテンシャルの問題だと思っています。
スマホでいうと、OSが古いと最新のアプリが入らないのと同じで。プレステ2にプレステ4のカセットは入らないんですよね。
マネージャーになりたいなら、まずマネージャーの器にならないといけない。器がないままスキルだけ身につけても、アプリが起動しないんです。
これは日本全体でも同じで、年収2000万でも2億でも取っている人はいるけど、全員が行けるわけじゃない。でもだからといって諦めたくないので、私は外部の情報を取り入れて勉強し続けています。
優秀な人に居続けてもらうには「握り続ける」
リクは「自分より賢い人が組織にいてくれるのはすごい」と気になっていました。賢い人ほど上に行きたがるはずだ、と。
そこで、なんでリクが私とずっと仕事をしてくれているのかを言語化するといいと伝えました。彼の答えは「シンプルに楽しいから」でした。
優秀な人をハントしたいなら、相手をそういう感情にしないといけないんです。
組織に入れるときはパッションでグッと握るだけでいい。でも居続けてもらうには、握り続けることが必要で、こっちはロジカルな側面がいるんですよね。
この人といたら得する、成長できる、儲かる。そういう側面がないと人はいつか離れていきます。
私が好きな言葉に、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの墓石に刻まれた「己より優れたものを周りに集めた者、ここに眠る」というのがあります。彼は自分の強みを「人の顔と名前を覚えること」と答えていたそうで、そういうやり方もあるのかと思いました。
まとめ
渇望感がなくなったなら、無理してアクセルを踏み続ける必要はないと、今の私は考えています。大事なのはブレーキも覚えて、熱が来たときに飛び込めるようにお金と時間と人脈を最高の状態にしておくこと。同じフェーズに一瞬でも触れる人は多いと思うので、そのときのヒントになれば嬉しいです。
- 欲求が満たされて渇きがなくなったら、次は自己実現のフェーズ。無理せず、飛び込める準備をしておく
- 幸せとは「選べる状態」。選べないときにストレスが生まれるので、お金・時間・人脈を整えておく
- 「これ何やってるんだろう」と思ったら、それは自分がやらなくていい仕事のサインかもしれない
- 優秀な人に居続けてもらうには、入口はパッション、その後はロジカルに「握り続ける」ことが必要
