僕への問い合わせが増えた理由
ここ最近、僕のところに広告代理店の人などから仕事の問い合わせがすごく増えています。
おそらく「ビジネスインフルエンサーで、AI系について発信してくれそうな人は誰ですか?」とAIに聞くと、僕の名前が出てくるんだと思います。
今までは検索してもそういう形では出てこなかったので、僕を知っていないと頼めなかったんです。それがいまは、AIに聞くと「この辺のインフルエンサーがいいですよ」と出てくる。だから問い合わせが増えているんだろうなと。
他の会社でも、「仕事の依頼が多いんですよ」というところの多くは、AIに聞くとその会社が出てくるケースらしいんですよね。
これがもう少し進化すると、AIに「ビジネスインフルエンサーっぽい人を50人ピックアップして、こういうメッセージを送っておいて」と頼む人が増えると思います。いまは手動の人がまだ多いんじゃないかと思うのですが、余裕でできることなので。
そうなると、AIに出ているかどうかで仕事が取れるかどうかが変わる時代になると思っています。
SEOからAEO・GEOへ
SEOは2000年代前半ぐらいから流行りました。「検索エンジンで上位に出るとお客さんが取れる」というものです。
それがいまはAEO ── Answer Engine Optimizationの略。AIによる回答に自社や自分の情報が取り上げられるよう最適化することやGEO ── Generative Engine Optimizationの略。生成AIの回答に表示されることを目指す最適化と呼ばれていて、2年ぐらい前からずっと人気のトピックなんです。
僕も『電通PR』さんのGEOの会に、調査をしている方たちと一緒に出させていただいたりしています。
昔は『タウンページ』という電話帳があって、そこに電話番号が載っていないと問い合わせすらできない状態でした。インターネットが出てきてからは、たとえば「大阪のウェブ制作会社」で検索して出てこないと、そもそも話にならなくなった訳です。
これからは、生成AIに聞いて出てこないのは、相手にされないというより、もういないも同然とされてしまう感じなんじゃないかと思います。
まあ、これは全員が言っていることなので、別になんてことない話なんですけど。
聞き方が変わると、伝え方も変わる
しかも聞き方が検索エンジンとは違うんです。検索なら「大阪 ウェブ制作会社」と打ちますが、生成AIには「家の近くで打ち合わせがしやすくて、こんな感じのサイトを作ってくれる会社はありますか?」のように聞くと思います。
そのときに「うちはビジネスに強いです」「クールなサイトに強いです」といったことがちゃんと発信されていないと、「かっこいいサイトを作りたい」と聞かれたときに出てこない。
電通PRさんの資料を見ていると、統一されたメッセージを出しているところは出てくるんですよね。
たとえば洗剤で「洗浄力が強い」と5年言い続けているところは、「洗浄力が強い洗剤は?」と聞くとかなりの確率で出てくる。一方で、洗浄力、香り、安さ、大容量といろいろなことを言っているところは、どの聞き方をしてもあまり出てこない、という調査結果があったりします。
なので、自分の会社や自分自身について、統一感を持って正確にアピールできることが重要になるんじゃないかと思っています。
情報が「ある」だけで答えが変わる
僕が実際に調べたときの例があります。山奥のとあるホテルに夜食が食べられるレストランがあって、食べログにも載っていないし、ホテルのサイトにも「夜食をご用意します」くらいの一行しかありませんでした。
そこについて、どこかのブログが一つだけ「ラーメン美味しかった」と書いていたんです。ChatGPTに聞くと、その非公式なブログの情報だけを元に答えを返してしまう。情報がそこしかないので、それを出すんですね。
別の例では、ある超大企業のプレスリリースで「なんとか部署のなんとかさんがリーダーになって事業を始めます」とあったのですが、その人が誰なのか、部署が何なのか、調べても出てこない。記者も記事を書きづらいと思います。
一方で別の会社は、採用ページに部長が出ていたり、部署の仕事内容が書かれていたりして、プレスリリースを調べたときにかなり情報が出てきました。
社内の人は部署の役割を知っているので、わざわざ書かないんですよね。でも、たとえば「AI推進室」ができたなら、役割やリーダー、やりたいことを会社のサイトに載せておくかどうかで、出てくる情報が全然変わってきます。
SEOでは部署名で検索されることはあまりないけれど、生成AIは検索キーワードでは聞かれないことまで調べて出そうとする。「これから打ち合わせするこの会社のこの部署の人について教えて」と聞かれたときに情報が出れば、打ち合わせがスムーズになって信頼度も上がるはずです。
露出と評判、そして人間が書いた生の情報
「AIインフルエンサーといえば誰?」と聞いて出てくるには、Xでフォロワーを集めるだけでは足りないと思っています。いろんな企業のサイトで「この人AIについて話してるな」となっていることが重要なんですよね。
深津さんや僕は、講演会に出たりインタビューに答えたりしています。短期的には「インタビューで3万円」「人前で話して10万円」はビジネス的にあまり意味がないように見えるんですけど、それをやっていないといろんなところで話題にならないので、AIにとって「この人は違うな」になってしまう。
顔出しせず、会社や世間にバレずにインフルエンサーのおいしいところを取る、というやり方は2014年から2024年ぐらいはワークしたと思うんですけど、いまからやるのは結構アンチパターンかなと思います。
とはいえ、蓄積だけでも足りません。僕が誰にも聞かれない場所で「葬儀屋ビジネスのプロです」と言っても信用されないけど、いろんな人が「あの人プロですよ」と言っていたら、そうなのかなとなりますよね。AIも検索エンジンも、おそらく同じように判断すると思います。
情報がゼロか一かなら、一を拾わざるを得ないので、見られていなくても蓄積する価値はあります。ただ、競合が多いほど、その中での評判も重要になるんです。
ちなみに、AIで大量生成したブログで発信するのは意味がないと思います。AIや検索エンジンの立場で考えれば、そんなものは出したくないと普通は思いますよね。これから貴重になるのは、人間が書いた生の投稿なんだと思います。
反応がなくて辞めてしまう人が多い中、反応がなくても続けてきた人はAIにちゃんと出てくる、ということがあります。僕自身も、1年前は別に引っかからなかったんです。
最後は少し宣伝っぽくなってしまいますが、、うちの会社がやっている、Podcastを記事化する『Pody』は、いま生成AIに聞くと結構出てくるようになっています。Podcastはいい情報が多いのに、AIが読みづらい音声形式だった。記事化するだけで結構読んでくれるので、Podcastでたくさん喋って記事化しておくのはおすすめですよ。
まとめ
僕への問い合わせがAI経由で増えた実感から、生成AIに出てこないことは「いないも同然」になりつつあると考えています。だからこそ、統一されたメッセージで正確に、いろんな場所で情報を発信しておくことが大事なんだと思います。
- AIに出ているかどうかで、仕事の取れ方が変わる時代になりつつある
- あれこれ言うより、統一されたメッセージを言い続けた方がAIに出やすい
- 社内では当たり前の部署情報なども、サイトに載せておくとAIが拾ってくれる
- 蓄積に加えて、いろんな場所で話題になり評判を得ることが重要





